「泣いてもいいっていってくれてありがとう」
470 :774RR :02/04/21 19:45 ID:GtClzz6R
私が京都で一人旅をしていた時でした。
離婚という大仕事を終え、自分自信の気持ちもやっと落ち着いた頃でした。
でもやっぱり、傷が癒える事はなくて、バイトしてためたお金を握りしめて、
大原へいったんです。
最初は、バスにのっていたんだけど、バスの中でどうしても涙を
我慢できなくなりそうになって、途中でバスをおりました。
大原は、別れた主人と一緒に行きたいねっていっていた所だったんです。
主人とは、一度も大原を訪れる事はありませんでしたが、一緒にいきたかった、
一緒にこの景色を見たかったって、未練ばかりで恥ずかしいくらいですが、
そんな事を思って、観光客が降りるはずもないようなバス停で降りてしまったんです。
しばらく泣きながら歩いていました。
幸い誰もいなかったので、結構派手に泣いていたように思います。
その時、横を通り過ぎたバイクのお兄さん3人が、一度通り過ぎたんですが、
また戻ってきました。
泣いている私を、見たんでしょう。
一瞬、女一人でこんな所に降りてしまった事を後悔しました。
絡まれたりしたらイヤだなって。
もしなにかあっても助けなんか呼べないかなって。
でも、そのお兄さん達は、「どうしたの?道に迷ったの?」と心配してくれました。
私が、大丈夫です、といって、先にいこうとしましたが、泣きながら歩くのは危ないよ、と。
泣いているのが恥ずかしかったのと、知らない人だという事で、私は先を急ごうとしました。
その時、一人のお兄さんがいいました。
「君がどんな事があって泣いてるのかわからないけど、
泣くのが悪い事や恥ずかしい事だと思うなら、オレもここで泣くよ」と。
お兄さんは、とても真剣な目でいっていました。
例えば、冗談や嘘だったりしたら、どこかしらそんな雰囲気がするものではないでしょうか。
でも、その人は本当に真剣に、私が呆然としていたら、泣き始めてしまったのです。
見ず知らずの女一人の観光者に対して、この人はなにを熱くなってるんだろう?って、
冷静な時なら思ったかも知れません。でもその時は、感動すら覚えました。
ぼろぼろ泣きはじめる私を、彼等はずっと黙ってみていてくれました。
そして、何で泣いているのかも聞かず、どこからきただとか、そんな事も聞かず、
一緒についていてくれました。
ひとしきり泣いて、スッキリした私が顔をあげると、お兄さんたちは、
もう大丈夫だね?といって、バイクに乗ってまた山道を登っていきました。
降りた次のバス停まで、私を見送ってくれました。
紳士だなぁ、と思いました。
女ひとり、手篭めにしようと思えばできるシチュエーションです。
しかも、証拠も残らない。
男なら、誰でもそういう事を考えているものだと思っていましたし、
そういう話だってたくさん聞きます。
それなのに、どうしてあの人たちは、あんなにいい人だったんでしょう。
一緒に泣いてくれたお兄さんは、何かあったんでしょうか。
今は、いい想い出の中で、それが気掛かりな事です。
あの時のお兄さんたち、私は元気になりました。
泣いてもいいっていってくれてありがとう、
私はあの時泣けたから、今元気に笑う事ができるような気がします。
今度は私の番です。
旅に出たら、きっといろんな想い出を捨てに来ている人もいるでしょう。
そして、泣きたい気持ちを抱えている人も。
そんな時、私はきっとバイクを降りて、一緒に泣いてあげられるような
人間になりたいと思います。ありがとうございました。
いつまでも忘れません。
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Posted at 2013/05/24 20:24:31 | |
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