コワモテのあんちゃん
205 :203 :03/01/26 16:58 ID:DhZHGN87
バイクに乗る前、大学に入って上京した年のこと。
年末、高校時代の同級生と新宿で飲んで(浪人したんで20歳だったよ。)
終電を逃してしまい、とぼとぼと歩くことにした。
当時は府中に住んでいたんだが、「口臭街道」という看板を見て
「ウチのそばにもあったな、この道。ってことはずっと歩けば着くんだ」と
田舎モン&若さゆえの論理で納得し、テクテクテク...
しかし、酔いが醒め始めると結構寒いし、ハラが減ったので、わずか2kmほど
歩いた笹塚あたりでとりあえずラーメン屋へ。
中にはコワモテの革ジャン&チャップスのあんちゃんがカウンターに座っていた。
小さな店だったので、ちょっとあんちゃんから距離を取るように座り(ハイ、怖かったんで)
ラーメンを店のオヤジに注文。
出てきたラーメン食いながら、「口臭街道って、歩いていけば府中に着きますよね?」
とオヤジに尋ねると、「確かに着くけど...結構あるぞ、そりゃ。」と呆れられた。
「まぁ、大丈夫ッスよ。」と内心に生じた不安を打ち消して笑い、食い終わって
店を出た。
店を出てみると、一足先に出たはずのあんちゃんが、立っていた。
一瞬ドキッとして、「俺、なんか悪いことした?」と思ったが、
心当たりは無かったので足早に立ち去ろうとした。
が、後ろからあんちゃんが「おい」と声をかけてきた。
おそるおそる振り向くと
「...ここから府中まではかなりあるぞ。乗せてやるからヘルメットかぶれよ。」
と半帽を渡された。
有無を言わせぬ口調に、「あ、ありがとうございます...」とへどもど
しながら従ってしまう。
で、深夜の野郎タンデムとなったわけですが、当然バイクなんて乗ったこと
無いので、最初はしがみついて「くっつくなよ。シーシーバー付いてるだろ?」
(あんちゃんのマシンは国産大型アメリカンでした。でもシーシーバーなんて
知りません。「背もたれ」と言い直してもらってやっと理解。)とか、
「ブレーキかけたら足を踏ん張れよ。」<<停車の度に前に動いて
ヘルメットをゴツンとやってしまった。
と低い声でつぶやくように言われ(怒っている様子は無いが、ぶっきらぼうな
口調なのでこちらは怖くて仕方が無い)、ドキドキしながら乗っていました。
しかし、さすがに暫く走っていると慣れてきて、生まれて初めてバイクに
乗っていることの楽しさが感じられてきました。交差点の度にあんちゃんに
話しかけてみました。
「カッコいいバイクっすね。」
『カッコよくねぇよ。ハーレー買いたかったんだけど、ハーレーなら○○と
決めてたから手がでなくってよ。仕方なくコレだ。』(○○覚えていない)
「(...話が続かない...)あの、送って貰って良かったんですか?
家、こちらの方なんですか?」
『シャクジイだから大したことねぇよ。俺が好きで送ってやってんだから
気にすんじゃねぇ』
あんちゃんの口調は、僕が想像していた通りの「バイカーは怖い」という
イメージを強化し続ける一方、言っていることは親切な基調があるので
僕の困惑は高まりました。
とかやっているウチに府中着。駅で降ろして貰って、ありがとうございました、
と言うと、「ヘルメット、カノジョ用だからよ。香水くさかったか?すまんな。」
とだけ言い残して、勢いよく去っていきました。御礼に何か...とも上手く
言い出せないまま、為すすべもなく見送るしかありませんでした。
その後、なぜか3年経ったころにはすっかりバイクにはまっている僕がおりまして。
そのころになって、府中~石神井、というのが決して近い場所では無い
(地図的にはそれほどでは無くても、道路的に非常に行きにくい)ことを知り、
やっとあのあんちゃんの心遣いがステキなものだったんだと理解しました。
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今日の一台
ナローポルシェ
73カレラRS仕様のナローポルシェ!(*'-'*)
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海
Posted at 2013/08/03 19:59:33 | |
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