去る2月10日、僭越にもハイドロ初心者の小生が言いだしっぺになって、某SNSメンバーのハイドロ・オフ会を開催させて頂きました。
メンバーは4人、それぞれの愛車はC6、C5 V6エクスクルーシヴ・ツアラー、そしてみんからにも参加していらっしゃるの福太郎さんCXプレステージュ、小生のC5 1.6ターボ セダクション。
場所は八王子インター近くの“ニトリ”の駐車場を起点に、八王子~高尾間の高速道路と八王子市街地で4台のハイドロを乗り比べようという趣向です。
福太郎さんのCXは別格として、C6と2台のC5は基本同じプラットフォーム。C6とC5V6は同じエンジン+トランスミッション、そして2台のC5は同じモデルのグレード違い。その違いがどれほどのものなのか、とても興味がありました。
そして、実に図式通りの結論ですが、CX ⇔ C6 ⇔ C5V6 ⇔ C5 1.6Tという感じでグラデーションのような乗り味であると実感しました。試乗した順番は新しいほうから遡っていきましたが、以下は古い順の感想です。
やはり前後のフラット感はCXが別格です。その代わり左右にはロールする。そしてフラットでありながら細かい不整に対しては結構硬めに振動が伝わる。でもその細かい不整も足廻りからフロアには伝わるもののマシュマロのようにソフトなシートが乗員の身体にその固い振動を伝えないので、乗員はその振動を“音”と“フロアの振動”として感じ取りますがお尻や背中には不快な振動はほとんど伝わってきません。
小生自身は数週間前に福太郎さんのCXの運転を堪能させて頂いたので、当日は後席専門。現代のシトロエンより極端に低い位置に寝そべるような姿勢で座りマシュマロのようなシートに包まれていると・・・・・完全に熟睡しました(爆)
そしてC6。C6は如何にプラットフォームがC5と共通と言われようとも、周囲に与える“威厳”が異次元です。そこにあるだけで価値があるとすら思えます。これに匹敵する存在感は、ロールズ・ロイス・ファントムかセンチュリーくらいではないかと個人的には思います。ところがそのC6が、格下のC5と並べると何故かC5より若干小さくすら見えるのが、また厳かな感じです。
C6を運転するのは日本に導入された直後に販売店で試乗して以来です。C6はCXほど頑迷ではありませんが、それでもC5よりも頑としてまっすぐ走るクルマである事が実感されます。車体の前後のフラット感も抜群。これに比べると小生のC5は明確にピッチングを許しているのだということがC6に乗ると明らかになります。そしてCXとの違いは細かい不整も柔らかくいなします。そしてロールも少ない。抜群の乗り心地です。エンジンはV6のスムーズなハミングが遠くで囁いているような感じです。高速で思い切って加速するとスムーズに回転を挙げますが、加速感を背中に感じるようなことはなく、あくまで穏やかな加速です。更にCXと比較すれば、ステアリングの手応えが全く違うもの。当日の4車の中でC6のステアリングが一番軽く、切った時の反応もスローに感じました。スローであるというのはギヤ比の問題というよりも、切り始めの反応の穏やかさという感覚的なものです。これはCXのステアリングがかなりクイックでしっかり意識して運転していないと意図せぬほど敏感にノーズが反応して左右にロールするのとは好対照。C6のステアリングの反応の穏やかさはリラックスした高速クルージングを可能にすると思いました。その代わりというのか、高速の進入路などの長いコーナリングの際、CXや小生のC5に比べると所謂アンダーステアが明確に感じられるような気がしました。そしてCXともう一つ好対照だと思ったのがシート。C6のシートは小生には4車の中で一番硬く感じました。硬いという表現より、分厚い革が“パン!”と張ったような印象といえばいいのかもしれません。
そしてC5 V6ツアラー。昨年の夏にまさにこの個体をこの場所で運転させて頂いて、一気にシトロエン購入に傾いていったまさにその個体です。C5 1.6Tに乗りなれてからV6に乗ると改めてどのように感じるのか、楽しみなような怖いような気持ちで運転しました。室内に入っての第一印象は、小生のC5とのシートの違いです。形状は同じで素材違い(V6はフルレザー、1.6はレザーとファブリックのコンビネーション)かと思っていたら、形状も違うこと判明。みゆうさんのエクスクルーシヴ仕様のほうがシートバックも座面もサイドサポートの“土手”が明らかに浅い。そして座り心地も硬いというかC6的にパン!と張りのある座り心地です。次に駐車場からの走り始めの最初の印象。ステアリングが小生のC5より軽い!これは速度を上げるにしたがってどっしりと落ち着いてきますが、低速では明らかに軽いと感じました。そしてコーナリングでのステアリングの反応も、C6よりは素直である一方、C5 1.6よりは明らかにアンダーが強く感じられます。
そしてアイドリング直後の低速トルクはさすがのV6。更にはエンジン音の静かさや滑らかさもさすがのV6です。しかしアイドリングからちょっと回転を上げていった時のトルク感は思ったほどには太く感じません。そして自分の1.6を運転する時と同じような感じで“普通に”加速していくと、エンジンは3000rpmくらいまで回ってからシフトアップして2000rpmくらいまで落ちるというパターンを繰り返します。このエンジン音はC6より明らかに耳に届きますが、1.6よりは静かかつ音質がクリーンで綺麗な音です。そしてそこから更に踏み込むと、最高出力にむけて伸びやかにパワーが湧き出て力強く加速していき、爽快感があります。明らかにC6よりスポーティーな加速感。そして乗り心地はC6ほど頑固かフラット感は感じませんが、それはC6と比べればの話。小生のC5 1.6と比べるとフラット感は強く、そして重量感がある乗り心地です。C5V6の感じとしては、小生のC5よりステアリングやエンジンフィールはよりさらっとしていて、乗り心地はドシっとしている感じを受けました。そしてコーナリングよりもまっすぐ走る時に持ち味が生きる。
そして小生のC5。実はこの日、特にV6と乗り比べるのを半分恐れていました。V6のほうがあらゆる点で優れていたら、自分のクルマが色褪せて見えるかもしれないからです。でも幸なことにそういうことにはなりませんでした。V6のどっしりした乗り味とは別の種類の良さを自分のクルマに見出せたからです。まずクルマ全体に貫かれるねっとりした感触。ステアリング・フィールはC6やC5V6より切り始めから“ねっとり”しています。手ごたえはねっとりしているのですが、ノーズの反応は敏感です。舵の利きが確実で遅れの無い感じ。これはC6やC5V6よりもCXに似た性格に感じます。エンジンはアイドリング直後はほとんど力を感じませんが、その直ぐ上から“ねっとり”と粘るような低速トルクが立ち上がります。エンジン音もV6のクリーンな音とは違う濁った低音。そして大人しく加速する時には2000rpmをちょっと超えたところでシフトアップを繰り返しながらいつの間にか100km/hに達しているというタイプ。スロットルを深く踏み込むと、BMWの4気筒らしい快音を発して軽々に回りますが、でもV6ほどの加速感は当然ながらありません。大きなV6より小さなL4のほうが“回りたがらない”というのは、今までの常識とは逆なのが面白いと感じました。乗り心地は意外なことに4車の中で一番ソフトであると感じました。言い方を帰れば一番“押さえが甘い”ちょっとフワッとした乗り心地で、ピッチングも4車の中で一番多めです。そして乗り心地のソフトさを強調しているのが実はシート。C6やC5V6のフルレザーシートとは違う背中とお尻の部分がファブリックであるせいか、現代の3車のシートの中では意外なことにもっともソフトなシートです。左右の“土手”も深めの形状であるため、CXほどではないものの包まれ感が強く感じられます。そのようにソフトなサスペンションとシートですが、コーナリングの時のノーズの遅れの無い反応やクルマの軽さ、そしてロールの少なさなどは4車中一番で、今回の4車の中で“曲がるのが一番楽しい”のが自分のC4であると感じました。
CXは別格とすれば、当たり前のような結論ですが、現代のハイドロシトロエンではC6がもっともラクジュアリーでどこまでもまっすぐ走っているためのクルマ、小生のC5 1.6Tは曲がりも楽しいスポーティセダン、そしてC5V6ツアラーはその中間で直線の加速の爽快感は一番、という三車三様の持ち味が確認されました。
そしてその別格のCXは、現代のC6に通じる“威厳”、現代のC5に通じる“シャープなステアリング”を既に両方持っていたのだとも言えると思いました。
ご参考までに現代の3車の主要諸元を並べてみます。この数字の通りの性格になっているのだと思います。そして面白いのは、タイヤサイズは3車とも245/45-18で同一であることです。
数字は C6 > C5V6 > C5 1.6T の順です。
車重 = 1870 > 1790 > 1620
ホイールベース = 2900 > 2815 > 2815
全長 = 4910 > 4845 > 4795
エンジン形式 = V6 3.0 > V6 3.0 > L4 1.6ターボ
最高出力 = 215ps/6000rpm > 215ps/6000rpm > 156ps/6000rpm
最大トルク= 30.5kgm/3750rpm > 30.5kgm/3750rpm > 24.5kmg/1400-3500rpm
Posted at 2013/02/17 00:00:46 | |
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