昨日、トライアンフタイガー1050で箱根まで行ってきた。2か月前に手に入れて以来、初めてのツーリングである。
この日、400km余り走らせて、タイガー1050は一見脚長ツアラーに見せかけておいて、実はオンロードスポーツの王道を行くモデルだと思った。一言でいうと、飛ばしても良し、流しても良しというもので、もっと細かく言うと…
まず、飛ばして良しであるが、走る、曲がる、止まるのすべてが高いレベルにある。走るについては、1050cm3の排気量で115PSと、兄弟車のスピードトリプルの130PSより中低速域寄りに設定されていて、どの回転域でも活発に回り、おまけに振動は無いのに鼓動感がある。1気筒あたり350cm3もある恩恵で、低回転域でもスロットルを開けた瞬間から間髪を入れずに加速を始めるし、そこからレブリミッターの利く9700rpmまでよどみなく吹け上がるのは快感だ。要は、よく言われる「2気筒と4気筒のいいとこ取り」という表現がそのまま当てはまる。排気音は、無理やり擬音にするとビュワオーッという感じの、うるさくはないが快音で、高回転時にはクォーーンという音もする。減速時のギョギョギョという変な音さえも好ましい。
曲がるについては、直進安定性は十分確保した上で、ハンドリングがかなりクイックであることがまず挙げられる。おまけに、峠道を走っていて、全く重さを感じない。これは、乾燥重量が198kgと、リッターバイクとしては比較的軽いこともあるが、エンジンが3気筒で、高い位置にあるものが4気筒と比べて軽いというのが大きいのでは、と思う。もちろんアルミフレームの恩恵も見逃せない。また、コーナリング時の安定性もすばらしい。止まるに関しても、ブレーキは利きもコントロール性もいい。ラジアルマウントの4ポットキャリパー、ステンメッシュホースがおごられているのだから当然か。また、サスペンションのストロークが長いためか、路面が荒れていても衝撃をよく吸収してくれて、車体がぶれることもない。総じて、シャシーはバリバリのスポーツバイクと言えると思う。
ただ、最初に箱根の山を走らせた時は、おっかなびっくりという感じで、どうやって走らせたら良いのか分からなかった。それは、今まで私が持っていた大型バイクのどれよりもハンドリングがシャープでクイックだったから。ホンダ車のように、コーナーの先に目を向けただけで曲がっていくというような感じとは違うが、スッと倒れ込む感じが、そのままスリップダウンしてしまうような錯覚を覚えて、ものすごく不安だった。
結局、いろいろ試して分かったのは、そのカーブに必要なバンク角を一旦与えたら、ハンドルには一切余計な力を加えず、下半身で車体をしっかりホールドしつつ、スロットルは一定かわずかに開度を増やしながら抜ける、という走り方をすれば安定するという、ある意味当たり前のことだった。また、低速コーナーでは、スロットルを閉めてしまわないようにリアブレーキを使うのが良いようだ。これが分かってからは、コーナーを抜けるのが各段に楽しくなった。
ただ、スロットルのレスポンスが良すぎる点については、もう少し慣れが必要なようだ。クランクの慣性マスが小さいような感じだが、それがこのバイクの個性と思うので、自分の乗り方を合わせるしかないだろう。それも含めて、まだ乗りこなすという領域にはほど遠いが、今後じっくり付き合っていきたい。
次に、流しても良しについてはどうか?これはまず、エンジンのフィーリングが独特で、どんな回転域、どんな速度域で走っていても、楽しいと感じられるのが大きい。バイクによっては、エンジンがもっと回せと主張するようなのや、一定速度で走るのが苦手なのがあるが、そういうところが一切ない。そういえば、帰りの圏央道で、八王子の手前が渋滞し、ローギアのアイドリングで転がすような速度(10km/h)で8km走ることになったが、それさえもストレスには感じなかった。これは、大型バイクではなかなか得難いことだと思う。また、ライディングポジションが直立していて、長距離も楽だ。それなのに、社外品の大型スクリーンの恩恵もあるが、かなりの高速でも一切伏せる必要が無い。また、シート高は835mmと高いが、片足ならべったり着くので、足つき性に不安を感じる場面も無かった。逆に、シートとステップとの間の距離が大きくて膝の曲がりが緩やかなので、疲れにくいし、バイクのコントロールもしやすい。
いくら箱根の峠道を走るのが目的といっても、そこに行くまでには、高速道路や一般道をえんえん走る必要がある訳で、そんな道でも楽しめることが重要だと思う。その観点からは、タイガー1050は文句の付けようがない。また、それでいて、峠道に入ってもすばらしく軽快に走るのだから、これ以上何を望むかという感じだ。日本ではトライアンフの中でもそれほどの人気が無いように見えるが、勿体ない話だと思う。まあ、他人がどう評価しようが、人気があろうがなかろうが、私には関係ないですが。
それで思い出したのは、トライアンフがスローガンに掲げる「GO YOUR OWN WAY(=自分の道を進め)」で、取説の裏表紙にまで書いてあるが、この言葉もとっても好きである。
たしかに、このタイガー1050に似た乗り味のバイクって他に無さそうに思える。まあ、3気筒エンジン自体が他にあまり例がなく、タイガー以外のモデルにも同じことが言えるし、バーチカルツインも、昔からトライアンフのお家芸であるが。
スタイリングもかなりクセがあり、最初はテールが跳ね上がったような形がなじめなかったが、最近は好きになってきた。
という訳で、バイク自体は文句の付けようがない。今後、体力が続く限り乗り続けたいものだ。あとは、どうやって乗りこなせるようになるかと、今のコンディションを保っていくかが問題である。前者はそんなに簡単ではないが、バイクが消え失せて自分の体だけが走っていくような感覚を、いつかタイガーでも味わってみたい。
最後に、この日は午前中に箱根の山を下りた後、みん友さんのS-1さんが主催したヴィヴィオのオフ会に参加させていただいた。今月で発売から25周年ということで、記念のケーキまで準備していただいていた。
熱心なヴィヴィオ乗りが遠くは長野県からも集まり、たいへん賑やかだった。私は2か月前に降りてしまったが、昼食の時の相乗りでt-bird vivioさんのRX-Rの後席に乗せてもらったら、またヴィヴィオが欲しくなってしまった。いつかは復活したいが、その時は、1号、2号のようなNAのマニュアルでなく、スーパーチャージャー付きのECVT車がいいかなと思った。
ブログ一覧 |
トライアンフ・タイガー | 日記
Posted at
2017/03/20 21:18:52