「東京モーターショー2015」についての記事
※この記事は
東京モーターショー2015 について書いています。
引き続き東京モーターショーの見学記を思いついた順番に書いていきます。次はホンダということで。
ホンダのブースで目を引いたのが、2台のカブのコンセプトモデルだった。

1台はスーパーカブコンセプト、もう1台はEV-Cubコンセプトである。最初のエンジン車の方は、各部の仕上げは今風になっているものの、どこから見てもまごうかたなきカブであると思った。メカニズム面では、フロントサスこそボトムリンクからテレスコピックになっているものの、それ以外の主要な特徴である、フレームの構造、レッグシールド、自動遠心クラッチ+マニュアルトランスミッション、水平近くまで前傾させた4ストロークエンジン、17インチタイヤなど、60年近く前に出た最初のカブからすべてそのまま引き継がれている。これは本当に驚異的だと思う。おそらく、ギターの形があの形から変えられないのと同じようなレベルで、最初からこの完成度に達していたということなんだろう。カブの設計は本田宗一郎氏の考えが形になったものと理解しているが、それが正しければ、本当の天才だったんだろう。
これに対して、EVカブの方は、ちょっとどうかな?と思った。説明員の人によると、車体左側面の中央部に見切り線がある部分が、外して持ち運べるバッテリーで、航続距離20~30kmを目標で開発を進めているとのこと。でも、その程度の用途なら、原付スクーターをベースにした方が、使い勝手の点でより魅力的だと思う。というのは、カブの魅力は、17インチタイヤによる高い安定性、パワートレーンの頑丈さ、高い燃費効率などにあると思うので、EVにして、しかも低速、短距離に特化すると、そういった利点が薄れ、ヘルメットさえも収納できないとかの欠点の方が目立ってしまうと思うからである。まあ、おしゃれなアイテムとして売り出すのであれば別かもしれないが。いずれにしても、少なくとも日本では、電動スクーターの需要は電動アシスト自転車に完全に食われていることを考えると、EVカブはそう簡単にはいかないと思う。
次に目を引いたのが、二輪のエンジンを使って作った四輪、「Honda Project 2&4 powered by RC213V」だった。
販売とかモーターショーのためでなく、面白いからやってみようという趣旨で実施した、海外の拠点を含めての社内コンペで選ばれた案を形にしたものだという。外からよく見えるサスペンションなどを中心に、細部の作り込みはすばらしく、このまま売り出せるくらいじゃないか、と思った。
ただ、この車、どこかで見たような感じが拭えなかった。考えてみれば、二輪のエンジンを載せた四輪は決して目新しいものではなく、ゴードン・マーレイのロケットが少数ながら売り出されたのは20年以上前だし、最近では、10年ちょっと前にスズキの関連会社が試作した隼プロトタイプは、かなり市販に近いところまで行っていたはずである。
また、イギリスのラディカルSR4は、隼のエンジンを積んだのが市販されている。なので、天下のホンダが、今さらこのレベルのものをただ作ってみたというのは芸が無さすぎると思う。
また、二輪のエンジンを使う以上、エアコンはまず付かないだろうから屋根も付けられず、実用性はスーパーセブン並みかそれ以下だろう。おまけにバックギアを付けるにもひと手間が必要だろう。サーキットに行っても出られるレースはないから、仮に売り出したとしても、結局は一握りの好事家が買うだけで、よってきわめて高価になってしまうだろう。せっかくホンダがやるなら、こういったところにこそ工夫をこらすべきではないか?
と思って、コンペに応募された他の案を見てみたが、何となく、どれも似たり寄ったりである。
と考えながら詳細に見ていくと、規定の中に「V4エンジン ミッドシップレイアウト」という項目があるのに気づいた。これはかなり大きな制約になるはずで、ここまで枠を決められてしまうと、自由度はかなり限られるのではないだろうか。
もし、使うエンジンやその位置に制約が無ければ、私だったら、ゴールドウィングの1.8Lフラットシックスエンジンを積んだ超小型スポーツカーを提案してみたい。これなら、バックギアはセルモーターを使用する仕組みが最初から付いているし、エアコンも何とかなるだろう。他にも、ホンダ以外のエンジンでもよければ、トライアンフロケットスリーの直列3気筒2.3Lエンジンなんかは、四輪でも強烈な乗り味になるだろうし、BMWの1.2Lフラットツインを使って、現代のシトロエン2CVやトヨタスポーツ800を作るのも面白そうだ。
というわけで、新型NSXや、立って乗る形のWANDER STAND CONCEPTなど、期待できるものももちろんあったが、ホンダは本当に大丈夫?と思わされる一面もあった。有名なコピペで、「面白い人が面白いことをする」から始まる「コミュニティの一生」というのがあるが、これと同じ落とし穴にはまらないことを願うばかりである。
と、ここまで書いてきて、上から目線の屁理屈と知ったかが多すぎるといういつものパターンに嵌ってしまったのに気づいた。ここからは、素直に凄いと思った車についても書いていくことにする。
その筆頭は、何と言ってもマツダのRX-VISIONだった。たぶん、フェラーリの横に並べても全然負ける気がしないと思ったくらい、その存在感は圧倒的で、見ていて本当にドキドキした。

そういえば、FD型のRX-7が出た当時、あの形はちょっとやりすぎかな?と思っていたが、24年後の今見てもさすがと思わせる存在感があるのは、当時それくらい徹底的にやったからこそ、と思うに至った。今回のRXーVISIONも、そのくらいの意気込みを感じる一台だった。ロータリーエンジンを今の時代に合うようにもう一度開発するのはかなりの難関とは思うが、是非とも市販化に向けて頑張ってほしい。
日産の「ニッサンコンセプト 2020 ビジョン グランツーリスモ」もすごかった。
ジェット戦闘機を連想させるようなこの形で、2+2とはいえ4人乗りというだけでも驚きだが、前輪を2つのモーターで駆動するというメカニズムもたいへん進歩的と思う。これも「やっちゃえ日産」と応援したい。
あと、自分が買って乗るところを想像しながら見ていたのは、今になって思い出すと、スズキエスクード、BMW218iグランツアラー、ミニクラブマン、シトロエンC4カクタスといった、いずれもBセグメント級のSUVやワゴンだった。この中ではBMW218iグランツアラーがいちばん好みだったが、その前に乗っておきたい1990年代、2000年代の車がいくつもあるので、実際に買うことがあっても、10年くらい先かもしれない。。
という訳で、久しぶりの東京モーターショーだったが、本当に楽しかった。ただ、土曜日に3時間、日曜日に8時間使っても、全然時間が足らなかった。やはり、2輪と4輪の両方、そして部品の展示を全部見るとすると、丸2日くらい必要だった。仕方がないので、2週間後にある名古屋モーターショーも見に行ってみることにしよう。。
Posted at 2015/11/09 23:44:56 | |
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