
F430を買う前、私がこの車に抱いていたイメージは、速くて安定感もある程度あり、NAのよさを兼ね備えているいわば、ポルシェでいえば、カレラをさらに速くして、エンジンのふけがいい車というものでした。
結果として、乗ってみてそのイメージは、すごく間違ってはいなかったのですが、フェラーリのエンジンというものは、やはり独特の切れがあるもので、水冷カレラのエンジンと比べるのは、少々無理があったようです。私はポルシェのエンジンというのは、一種独特の粘り気を感じることができて、それが大好きなんですが、フェラーリには、そういった粘り気のようなものは、あまりありません。高回転まで回るエンジンなのに、透明感があり、上まで回したときには、むせび泣くようなサウンドを伴いながら、きれいに回っていきます。ただ、430はエンジンが大きいこともあり、トルクも結構あり、スカスカのエンジンでもなく、ただ、スムーズに回るエンジンというのとも違います。
一番の特徴は、レスポンスの速さです。とにかくちょっとアクセルを踏んだだけで、タコメーターが一気にあがっていきます。先ほどの粘り気に対して、アイスリンクの上のような、引っ掛かりのない鋭さが、印象的なエンジンです。
ただあえていえば、若干、トルクが下のほうで薄い感じはあります。本当に若干なので、ここに少しでもトルクが乗ってくれば、さらに素敵なエンジンになるであろうことが想像できます。(だからこそ、スクーデリアには期待大です。)
多分、ターボに乗っていなかったらそういう気持ちはわいてこなかったのかもしれませんが、あえて言えばそういう傾向があるということです。また、その代わりといってはなんですが、6000回転から8500回転にいたる、パワーの盛り上がりは素敵で、まさにフェラーリエンジンの真骨頂といえるでしょう。
すくなくても、430のエンジンとターボのエンジンは似ていません。加給機つきだからということを差し引いても、それぞれのメーカーの考え方や、作り方に違いがあるといわざるを得ないところです。
よく、フェラーリはそのサウンドが話題になります。確かにそれは素晴らしいものですし、意味もなくエンジン回転をあげて乗りたくなるほどです。しかし、もしかしたらこのサウンドがなければ、フェラーリのエンジンというのは、わりとクールなのかもしれませんね。でも、それがサウンドによって火がついて、熱いものになる。おもしろい表現かもしれませんが、そんな気がします。
よく言われるようにフェラーリのエンジンは、お金がかかっているのだと思います。なんだか、エンジンに乗っているような気すらすることがあります。それは、その部分が突出していいからなんでしょうね。他の部分がかすんでしまうような、エンジンということができるのではないでしょうか。そんな作り方も素敵なことだと思います。人はバランスが大切だとわかりつつ、ひとつのところに突出して魅力のあるものを求めるものです。
そういう意味では、やはりポルシェのほうが、理性的なのかもしれませんね。次回は、そんなバランスが特徴のターボについて書きたいと思います。
Posted at 2008/03/10 19:57:26 | |
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