Business Media 誠 4月4日(金)11時38分配信
「ToKoPo」をご存じだろうか。都営地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナーを利用するたびにポイントを獲得でき、ためたポイントをPASMOの電子マネーとして還元できる、東京都交通局が展開するポイントサービスだ。2011年8月に始まったサービスなので、すでに2年半が経過しているが、知名度はさほど高くはないように思える。
【画像:東京都交通局が発行する「ToKoPoカード」、ほか】
先日、消費税増税のタイミングを狙って企画されたムックに関わった。打ち合わせの席で「ToKoPo」を挙げたところ、おトク情報に詳しいという担当編集者もご存じではなかった。その編集部は都営地下鉄の駅に近くにあり、都営地下鉄を利用する機会も多いのに。実にもったいないことである。
もっとも、都営地下鉄については他に手段があるなら敬遠する向きはあるのかもしれない。東京メトロほか他社の綿密な路線網があって、たいていの場所に行ける。都営地下鉄は運賃が高いイメージもある。都営地下鉄の初乗り運賃は現金で180円、ICカードで174円(2014年4月現在)。対して東京メトロの初乗り運賃は現金で170円、ICカードで165円(同)。わずか10円程度の差だけど、都営地下鉄は料金区分が細かいため、遠くまで乗ると運賃の上昇幅が大きくなる。10キロメートル区間で比較すると、東京メトロは200円(IC:195円)、都営地下鉄は270円(IC:267円)。70円も差が付いてしまう。
一応、東京メトロと都営地下鉄を乗り継ぐと(そのまま初乗り運賃が加算されるのではなく)80円引き(現金の場合)になる。この割引額は2014年4月1日以降、10円おトクになった。これは2社の合算額に対して消費税値上げぶんの10円を上げる計算としたからだ。2社それぞれの料金は10円ずつ上がり、このまま合算すると20円上がるところが、10円のアップで済んでいる。
そんな割引があっても割高感はぬぐえないかもしれないが、誰でも使える「ToKoPo」はもっと注目されていい。
●誰でも使える「ToKoPoカード」、もっと注目されていい
「ToKoPo」は都営地下鉄を記名式PASMOで利用する人なら無料で入手できる会員カードだ。クレジットカードではないので、もちろん子どもや学生も利用可能。あまり知られていない理由は、手続きがちょっと面倒で、還元率もやや低いので、話題になりにくいからかもしれない。
東京都交通局によると、現時点の利用者は約8万人とのこと。都営地下鉄の1日の利用者数は約237万人(2012年度)のため、ToKoPo利用者はその約3%程度ということになる。
そのToKoPoカードのちょっと面倒な(笑)手続き方法を紹介する。東京都交通局の公式Webサイトで申し込むと、2週間ほどで郵送にてカードが届く。続いて、届いたToKoPoカードとPASMOを持って都営地下鉄の駅へ行き、チャージ機で2つのカードを関連付ける作業を行う。これでようやく使えるようになる。もちろんこの手続きは初回だけで、あとは普段通りにPASMOで都営地下鉄を利用するだけで乗車ポイントが加算されていく。ToKoPoカードはたまったポイントをPASMOへ還元するときだけ必要で、普段は携帯しなくてもいい。
ポイントは、都営地下鉄と日暮里・舎人ライナーの1乗車(改札入場から退出まで)で2ポイント、都電荒川線は1乗車で1ポイントがたまる。つまり、地下鉄で1往復すると4ポイント。たったの4円分かと思うと少しさびしいが、土休日であれば1日につきプラス2ポイント、さらに地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナー、都営バスを乗り継いだときも1日につき2ポイントが加算されるボーナスもある。ちなみに、都営バスは乗車ポイントが付かない。PASMOが使えるバスには、別途「バス得(バス利用特典サービス)」という10%ほどの還元制度があるからだ。都営バスは乗り継ぎ時のボーナスポイントのみ加算の対象となる。
ちりも積もればなんとやらで、土日に都営地下鉄で2往復ほど利用すると年間で624ポイント(52週で計算した場合)。還元は10ポイント単位なので620円分が還元される。私は都営地下鉄に乗り入れる私鉄沿線に住んでおり、普段も都営地下鉄を使うので、年間1500円分ほどの還元を受けている。
もっとも、割引率は回数券のほうがずっとおトクである。しかし回数券は都度買わなければならないし、相互乗り入れ先から利用するときは有人改札を使う必要がある。この面倒と比べると「ToKoPo」は無意識にためられる。チャージ還元されたものは都営地下鉄以外の乗車はもちろん、駅の売店や自販機でも使える。それがなんとなく愉快でもある。
●「東京メトロのポイント制度」は還元率が高い
東京のもう1つの地下鉄、東京メトロにもポイント還元制度「メトロポイントPlus」がある。
こちらは東京メトロ発行のクレジットカード「To Me CARD」の特典の1つだ。還元率はクレジットカードの種類によって異なり、年会費無料の一般カードは平日1乗車で2ポイント、休日1乗車で6ポイント。上位のゴールドカード(年会費1万円)は平日1乗車で20ポイント、休日1乗車で40ポイントの乗車ポイントがたまる。ゴールドカードは初乗り区間の1乗車では実質的1割以上の割引率となる。こちらもクレジットカード入会時に手続きを済まておけば、普段は意識せずに乗車するだけでポイントをためられる。一般カード以外であれば、PASMOの電子マネーを使った場合もポイントがたまる(「電子マネーポイント」がある)。
To Me CARDはPASMO機能付きも選択できる。PASMOなしのTo Me CARD(や前述した「ToKoPo」)は、既存のPASMOとひも付けできる。例えば、To Me CARDを入手して「メトロポイントPlus」と「ToKoPo」の両方を関連付けると、現時点最強クラスの組み合わせになる。これは東京で活動する人なら検討に値するはず。東京メトロの公式サイトでは、週あたりの利用回数をもとに年間獲得ポイントを試算するサービスを実施しているので、他のクレジットカードとの特典比較にも使えそうだ。交通系クレジットカードの特典として、よく航空会社のマイレージが話題になるけれど、私は年に数えるほどしか飛行機には乗らない。わずかにたまったマイルはいつも期限切れで消えていく。それなら、いつも使う鉄道系のカードがいいと思う。
消費税増税により鉄道の運賃も上がったけれど、こうした施策を活用すれば値上げ分はいくらかカバーできるし、交通費も少しは抑えられる。この機会に、普段利用する鉄道会社の割引情報や、鉄道系クレジットカードの特典を調べてみることをお勧めする。
●1日乗車券は料金据え置き、旅行者向けの乗り放題きっぷも新設
営業の外回りや、休日の買い物、観劇など、地下鉄を1日に数回利用するなら「1日乗車券」がおトクだ。都営地下鉄も東京メトロも、消費増税に合わせて運賃も上がったが、実は1日乗車券の価格は据え置かれている。東京メトロは710円、東京都交通局はバス、都電、日暮里舎人ライナーも含めて700円だ。初乗り区間で換算すると、東京メトロは5回目の乗車から、都営地下鉄は4回目の乗車から、1日乗車券が安くなる。また、東京メトロと都営地下鉄の両方で使える「都営地下鉄・東京メトロ一日乗車券」は1000円だ。
そして2014年4月22日から、旅行者向けとして新たに「Tokyo Subway Ticket」も販売される。
Tokyo Subway Ticketは、東京メトロ線全9路線と都営地下鉄線全4路線で乗り放題。価格は1日券で800円(子ども400円)、2日券で1200円、3日券で1500円と、かなり安い。ただ、旅行者向けのため基本的に都内では購入できない。販売場所は成田空港と羽田空港、地方の旅行代理店とのこと。在住地の証明書などは必要ないので、都内在住の人も羽田空港などへ行けば購入できるが、都内から空港まで買いに行く時間と手間、費用を考えると、やはり旅行者向けだろう。
これらの1日乗車券は、きっぷ代を節約するよりも大きなメリットがある。沿線の112施設、447のスポットで特典が受けられるためだ。ちなみに従来から東京メトロは「ちか旅。」、都営交通は「いっとく」という名称で沿線施設の特典を案内していたが、2014年4月1日からは両者が統合され「ちかとく」というサービスにリニューアルした。美術館や展望スポットなどの入場料、飲食店の会計で割引特典があるので、割引額によっては1日乗車券の料金のモトが取れる場合もあり得る。こうした施策は東京だけではなく、全国所要都市の地下鉄やバスで実施されており、自家用車の利用を控えて公共交通機関を利用してもらおうという趣旨だ。
●PASMOの可能性と、東京の地下鉄一元化
「ToKoPoカード」と「メトロポイントPlus」、そして(今回は詳しく触れなかったが)バスのポイント還元サービス「バス得」は、IC乗車券をより柔軟に運用した好例である。1日乗車券は鉄道会社の増収施策だけではなく、「公共交通機関利用の推進」という意味を持っている。ポイント還元制度はその範囲を一般の乗車にも拡大し、かつ休日の還元率を増やすことで、従来の1日乗車券よりも柔軟な運用ができている。
JR東日本のSuicaも含めて、いくつかの会社は電子マネーサービスについてポイント付与を実施している。しかし乗車についてのポイント付与の事例は少ない。こうした施策は地下鉄に限らず、関東大手私鉄でもぜひ実施してもらいたい。PASMO共通のポイント還元制度を作れば、マイカーから公共交通機関へのモーダルシフトがいっそう進み、環境保全にも貢献するだろう。
今回紹介したポイント制度について、東京都交通局と東京メトロは独自の施策をとっている。ところが共通1日乗車券のサービス向上には両者で協調する姿勢が伺える。これは石原・猪瀬東京都知事時代からの地下鉄一元化構想の影響だろう。国土交通省はいったんは反対の立場を取った。しかし猪瀬前知事は積極的で、のちに国土交通省も推進する方針に変わった。
地下鉄一元化について、賛成、反対のどちらの立場も「東京の地下鉄を利用しやすく」という意見は一致している。その1つの形が2013年に実施された「九段下駅の壁の撤去」だ。となり合っていた都営新宿線と東京メトロ半蔵門線の間の壁を取り払い、乗り換えを便利にしたというもの。今回の新しい共通1日乗車券「Tokyo Subway Ticket」にもその意思が継承されているとみられる。
さて、現東京都知事の舛添氏からは、地下鉄一元化について今のところ具体的な意見は出されていないようだ。石原・猪瀬時代の施策を継続するか否か、その発言と動向にも注目したい。
[杉山淳一,Business Media 誠]
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トヨタ自動車 カテゴリ:車 2014/06/09 20:05:01 |
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