今年も新しい年がスタートしたが元日の能登半島大地震、
2日は救援物資を積んだ海保の航空機と日本航空の国内便機が羽田空港で衝突し、炎上すると言う痛ましい年明けになった。
背景とか政治の話題には触れないが、とても国内は不安定な状況が起きている。
私事ではあるが、今年の誕生日で自分はついに高齢者のゾーンに含まれるようになり、いよいよ自動車の未来より自分がいつまで乗れるのかを、真剣に考えないといけないような現実も、今年のテーマになりそうだ。
師走の12月は旅が多く、前半に東京に行くことが有り、
後半は自動車を運転して西日本を長距離ドライブした。
その際に思ったことなどをまとめる。
まず、今は西暦2024年で、人類はまだ地球上で営みを続けている。
我らは移動と言う目的と行為をするので、交通機関が要る。
移動は鉄道のような公共交通に代価を払って乗り込むのと、
自転車や自動車のような、個人所有物で、自分の方法論でエネルギーを使い
道路交通などの社会的な場所でルールを守り移動する私的な交通との
2つに大きく分かれて、大半の人はこれまで両方を使いこなして来たが
今後は大都市圏に住み、公共交通大半+自転車程度の人が増加の傾向にある。
私的な交通機関の代表であるマイカーは、内燃エンジンの時代から
代替の動力である電気式になる可能性が高いが、日本はそこに「ハイブリッド」
などという中途半端な装置をツっ込んで、それが準主流になり20年以上。
それが一気に電気化になれぬ理由の大きな原因だが、おそらく「装置産業」
としての自動車を、ある日ガソリン廃止と決めたら、工業界から、燃料産業や
石油精製産業までが枯渇する怖れが大きいから、こんな中途半端な状況が続き
その間に日本は世界中から遅れをとるようになった。
私は東京に行くのに費用を抑えたいので、青春18切符をつかい、列車乗り継ぎで
10時間以上かけて、関東まで移動している。
宿泊は近年増えた安いゲストハウスで、1泊3000円程度。3泊で1万くらいに抑えた。
メリットは安さと運転しないので安全度が非常に高い。デメリットは
新幹線に比べると数倍の所用時間だが、移動の途中で飲食が出来る。
西日本への旅行は、目的は親戚訪問と墓参りで、当初は鉄道を予定したが
取り止めて、軽自動車を運転して行った。
高齢の親戚が墓参りに同行したいという希望が出たからである。
20年前の減価償却の終わった660ccの軽自動車でも、整備が出来ていれば
快適に350キロ程度の片道は走れる。
こういう時の機動力は鉄道にくらべて自動車に軍配があがると思う。
私はそして高速中心に走ってみて、周囲を意識するのが、自分と他人の
確認作業のように思えるので、これは必要な経験行為だと思っている。
自動車を一切乗らない、都会だけに住む下の世代にはこの経験値が無い。
私は趣味車とか旧車の遭遇率や、いまはどんなクルマが路上を走っている
のを見るのが楽しかったのだが、いよいよ旧車、趣味車はイベントか
特殊な用途に限られるようになったなあと、改めて思った。
東京旅行の際にも、街角でウオッチングしていたが、本当にコロナ3年以降は
珍しいクルマは得意になって乗る人がずっと減って来ている。
ここにそんなことをよく書くのは、自分の役目みたいなものと思う。
地味な古いスズキアルトを運転していても、ボロに見えるので肩身が狭い。
高速を走る車は、アクアのような廉価版のハイブリッド車が実に多くなった。
おんぼろアルトで抜くと向きになって追い上げて来るのは、格下に見ている
相撲取りに負けたような気分を味わうからだろう。
まだマイカー社会の中には20世紀的なヒエラルキーや優劣感覚が残っているのが
可笑しい。
マイカー産業を推進して売って来た原動力の中に、その辺の自尊心がけっこう
含まれてきていたと思えるからである。
東京電車旅の帰路、静岡駅前で買い物の用を足していたら、中国のバイドゥの
ショールームが出来ていたので、接客中の営業マンに一声かけ、カタログを
貰って来た。
見ていると結構廉価版にも力を入れて、流石はチャイナ。テスラよりも
私のような老後を視野にしたビンボー人をターゲットに入れていると思う。
値段も問題だが、アルトに20年乗れたように、やっぱりチャイナ製でも
10年から15年はもって欲しい気がする。まだ電気自動車の寿命は非常に
短いことがネックなので。
そんなことを今年65歳になる私が考えるようになった。
それと、クルマは「個性の象徴」と若い頃から主張してきたが、今や日本の
自動車産業の代表と言えるダイハツ工業やビッグモータが去年次々と不祥事が
明らかになり、もう自動車に過大な未来の期待をかけることは、本人らが
アップアップしているとさえ、思えるような状況だと思う。
中国は40年前は社会主義国で、今でも建前はそうであるが、自動車デザインに
自由競争の花なんて咲いていなかった。
だけど中国の自動車産業は、米国のような商業とモデルチェンジと言う
資本主義の毒のような時代がとっくに去り、テスラのような無個性の
新興企業が急成長する時代に、世界の覇権争いにまで躍り出た。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN022SE0S4A100C2000000/
これは時代を象徴している出来事だなあと思う。
バイドゥを将来私が買うことがあるかもしれない。850クーペの次はいきなり
電気自動車である。
私は過渡期の方法論が好きでないから、機械式1眼レフのあと、フィルムAF機は
使わずに次はデジタルカメラまで新品は買わなかった。
クルマに何を求めるか。妥協かもしれないが、日本がハイブリッドや
ガソリン・ディーゼルエンジンに固執している間に世界はこんなことに
なっていたのである。