日常一番使うのがスクーターだと今更ながらに気づき、市街地戦闘能力の高いトリシティ125を日常使いしていたのだけれど、それでももう少し排気量があったなら、もう少し重心が低かったなら、もう少しコンパクトであったなら、などと考えているうちに、今は亡き成川商会出自のイタリア製ベスパGTS300ieの出物を見つけてしまい、考えに考えた末、おそらくもう日本でイタリア製ベスパを手に入れることはできないだろうと考え(現在はベトナム製が日本に割り当てられている)、思い切ってトリシティから乗り換えることを決意。
(1か月乗ってみてのレビュー)
なるほど。ベスパとはこういう乗り物なのかという感じ。
これはトリシティがバイクでもスクーターでも車でもない、新しいジャンルの乗り物である乗り味、というのとある意味似ている。
ベスパはたしかにスクーターなのだけど、ジャンルとしては「ベスパ」なのだ。
これはどう説明したらいいのだろう。
フロント剛性感の低さとクイックさ、路面ショックをどう処理しているのか分からないが快適な不思議な乗り味、300㏄クオーサーエンジンの余裕と絶妙な駆動セッティングによる超快適さ(というよりは快感というべきか)、これまた絶妙なシートの硬さ、こういった諸々が組み合わさって、スクーターというよりは「ベスパ」というジャンルを作り上げているのが分かった。
他の排気量に乗ったことがないが、自分はこの1か月、買い物オンリー、シティランオンリーだったが、この300㏄という排気量はベストだと思う。
イメージとしては、ベンツのEクラスで買い物に行くみたいな感じか。Eクラスと違うのは、ボディサイズがコンパクトであること。それゆえ、渋滞で動かない街中でも信号が赤になっても普通のスクーターと一緒に車の横をすり抜けて先頭まで行けること。
じゃ、Cクラスじゃんかと言いたくもなるが、いやエンジンはEクラスって感じなのだ。つまり、ボディサイズはCクラス(といっても今じゃかなり図体でかくなってしまったが)、エンジンと乗り心地はEクラスといった感じだ。
たしかにベスパはお洒落さんたち御用達なので、なんとなくそんなイメージだったし、そんな風にセールスされているのだけど、実際に乗ったら分かるが、そしてこれがGTSだからなのかもしれないが、そしてこれが300㏄だからなのかもしれないが、たしかにこれはGTなのだ。
旧型ミニで言えば、メイフェアやパークレーンではなく、たしかにあのクーパーSなのだ。
(8か月経過してのレビュー)
今どうしても気に入らないこと。
それはウォブリング(シミー現象)に悩まされてること。
これはリアボックスを付けて、フロントウィンドシールドを付けてから、発生した問題。
おそらくベスパってなにもつけない状態で完璧なバランスに設計されていて、ちょっとでもバランスが崩れるとキャスター角の関係な気がするんだけれど、この現象が発生する。世界的にも同様な意見を目にする。
二人乗りにすると、ほんとうに怖くて、アクセルオンならいいのだけれど、信号赤を見てアクセルオフにするとヤバいくらいにハンドルが左右にグニャグニャグニャ!と勢いよくぶれるので、近いうちに点検修理に出さないとと思ってる。(けれど、これといった原因はどうもないらしい。設計問題なのだろうと思う)
逆に言うと、不満はこの点だけ。
情報収集している中で分かったこと。
なんでこのベスパは乗り心地が他のバイクと異なるか問題。
これはベスパがバイクじゃなかったからなのだ。
つまり、スチールモノコックボディ(メインフレーム)と前後カートリッジ式サスペンション。
これを聞いて、車に詳しい人ならすぐに分かると思うが、この組み合わせはバイクではなくクルマなのだ。
普通のバイクは、ダブルクレードルフレームと前サスがフリーバルブ式、リアがカートリッジ式といった感じで、これがバイクの乗り味を定義しているようなものなんだけれど、ベスパは全くこれとは異なる。
つまり、ベスパは、二輪しかないイタ車のオープンカーってこと。
これが今一番自分の中でしっくりくるベスパの乗り味の表現。