アメリカでのトヨタ叩きは政治的な臭いも濃いのだから対策して欲しいということなのだろうけど。
その前にトヨタは、日本国内で大企業という圧倒的な立場を利用し、下請けをいじめ派遣社員をこき使い、その結果莫大な利益を上げてきたことを忘れてはならないと思う。
そして既に世界の自動車産業の中で強さという意味では横綱的な立場にいる企業なのだが。
我々日本人は土俵際で体(たい)の無い格下力士を力任せに土俵下に叩き落すような企業は本当の意味で横綱とは認めないだろう。
海外ではそのような横綱の品位を求めるような考えがあるかどうか知らないが、こと安全性の問題となると大企業に莫大な損害賠償を要求しその結果裁判に勝ってしまう例があることはよく知られている。
その金額だけを見ると常識はずれの大金のようにも思えるが、実はこの金額は、大企業に本気で安全対策に取り組ませる目的を持つという。
例えば大企業にとって人間一人が死んでも1億程度の賠償金で事が済んでしまえば、根本的な安全対策にお金をつぎ込むのと比べれば安いのである。
それが一人死んで何百億もの賠償金を請求されるならば本気で安全対策に取り組まなければ経営が傾いてしまうのであるからそうせざるをえないのだ。
具体的には自動車のブレーキのような直接的な安全性から社内でのセクハラや過労死などの対策に大企業が本気で取り組むことになるのである。
日本では残念ながらそのような仕組みはないのですべては大企業の倫理観に頼ってきたわけだが、最初に書いたとおり大企業は下請けをいじめ、労働者をこき使いその結果莫大な利益を上げてきたわけだ。
自動車の安全性の問題については、電子スロットルと言われるアクセルペダルとスロットルバルブが物理的につながっていない車の場合メーカーによってはブレーキとアクセルペダルを同時に踏んだ場合にはコンピュータにブレーキを優先するロジックを取り入れている。
恐らくこのロジックを取り入れればドライバーのミスを含むかなりの事故が防げたはずだが、トヨタ車にはこのロジックは無いのである。
安全性の取り組みについては二十数年前第二次交通戦争と言われたころには欧米の車と日本車の衝突安全性の違いがクローズアップされたときがあるが、その後の日本車は、本当の意味で安全性をあげようと取り組んだメーカーと売り上げにつながる部分だけにとどめたメーカーがあり、この電子スロットル問題に関してトヨタは後者といえる。
弱小なメーカーならいざ知らず最近まで1兆円もの利益を上げてきたメーカーであるのに。
一方雇用や労働環境、下請けいじめについてや大きな視野でみれば社会問題化している自殺者の増加についてもトヨタは無関係とは言えないだろう。
いずれにせよトヨタは直接的利益しか追求していなかったのである。
もしトヨタがアメリカを含めた世界のトップに立とうとするならその流儀に従うべきだろう。
また日本国内においてもそうだ。
我々日本人は子供の頃から土俵下に落ちた相手力士に手を差し伸べたり、さりげなく相手力士が立ち上がってくるのを待っている強さにおごらない横綱の姿を見てきたのである。
オリンピックのフィギュアスケートでも荒川静香のイナバウアーはポイントにならないことを承知の上での演技だった。
浅田真央のトリプルアクセルもポイントだけを狙うなら別の方法があったはずだが、多くの日本人はトリプルアクセルに挑戦してくれたこを評価している。
このような美学を持つ日本人からすれば今回のトヨタの行動は理解できないのである。

画像と本文は直接関係ありません。飲んだら乗るな。おりたら飲もう。
Posted at 2010/03/09 14:16:42 | |
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