本日はプロボックス納車から丸4年です。
…4年間乗った距離は写真の通りで「77107km」となりました。年間平均走行距離は19275kmとなりました。一般的な自家用貨物車の年間平均走行距離は14325kmだそうで(データは'04年現在)、少し平均より多い程度となりました。
ここまで乗ると良いところ・悪いところがある程度見えてきます。
一方で「あばたもエクボ」とばかりに、当初気にしていた欠点が気にならなくなることもあります。
そんな偏見と独断に満ちた「マイナーチェンジ前トヨタ・プロボックスのイイところ・悪いところ」をまとめておきます。
…まとめる前に、今一度愛車の簡単な紹介をします。
車両通称名:トヨタ・プロボックスバン
原動機型式:1NZ-FE(無鉛レギュラーガソリン指定・1,500ccガソリンエンジン・自然吸気)
減速機型式:C54型マニュアルトランスアクスル(前進5速、後退1速)
駆動方式:前輪駆動方式
全長×全幅×全高:4195mm×1690mm×1525mm(自動車型式認定申請書数値)
ホイールベース:2550mm(同上)
車両重量:1030kg(同上)
サスペンション形式: 前:ストラット式コイルスプリング
後:トレーリングリンク車軸式コイルスプリング
ブレーキ形式: 前:ベンチレーテッドディスクブレーキ
後:リーディングトレーディング式ドラムブレーキ
エンジン最大出力:109ps(80kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:14.4kgf・m(141Nm)/4200rpm
10・15モード燃料消費率:17.0km/L(国土交通省審査値)
(以上、車両購入時点パンフレット記載値または車両発売時の新型車解説書より)
グレード:バン 1.5 DX
ボディカラー:ベージュメタリック(カラーコード4T8)
装着メーカーオプション:ラジオレス、フロント時間間欠式ワイパー+リヤワイパー、寒冷地仕様
メーカー希望車両本体小売価格:1,218,000円(消費税5%込)
装着メーカーオプション合計価格: 12,600円(消費税5%込)
車両本体価格:1,230,600円(消費税5%込)
(金額はすべて車両購入時点('11年7月)のもの)
走行性能
1.5Lのガソリン車としては概ね満足の出来るものです。
使い方として片道300km以上の高速道路、ないしは市街地走行がメインとなります。
市街地走行で私が気にする項目は発進加速性と車両取回し性です。
発進加速性能はやや物足りない場面があります。つまりは1速の常用速度域が低く、CVT車を筆頭とするAT車のスムースな発進加速に追いつかない時があります。もっともシグナルダッシュを決めれば、の話ですが…。車両取回し性は「満足している点」に記します。
高速道路で気にする項目は巡航性能と中間加速性能(80-120km)です。
巡航性能は概ね文句ありません。80kmなら80km、100kmなら100kmでスロットルペダルの操作はわりあいに楽で、ペダル操作に対する鈍感さも適度です。過剰反応する気配はありません。
中間加速性能は文句なしです。5速で踏み込んだとしても車速の上昇加減は適度で、もちろんギヤを予め落とせば必要十分以上の加速性能を見せます。
ステアリング周りについては、高速道路でも神経質な面は見せません。ただしスポーティというほどの手応えや反応の良さもありません。一方で、首都高速道路のコーナーを割合早めに駆け抜けようとすると、きちんと手応えが返ってきます。必要にして十分以上の操舵感覚は残っています。
乗り心地
ほぼ空荷状態で乗っていますが、おおむね満足のいくものです。
この車両は約150kg(だったと思う・記憶違い勘弁)程度を境にリヤタイヤのメーカー推奨空気圧が変わっていて(空荷220kPa、積載280kPa)、空荷の空気圧に合わせるとリヤサスペンションの跳ねやヒョコヒョコ感はだいぶ変わります。(空荷で積載状態の空気圧だと結構跳ねるのでツライ一面あり。)
音については、正直静粛性を期待してはいけません。特に石・砂が巻き上げられてリヤタイヤ周りの鉄板(=タイヤハウス)を叩きつける音はかなり耳に付きます。他にも雨天時の天井を雨粒が叩く音もそれなりにあります。加えて、路面状況によっては「ゴーッ」という音も目立ちます。
より顕著にでるのはタイヤがライトバン用タイヤ(車両標準装着タイヤは横浜ゴム製SUPER VAN 355E)のときです。乗用車用タイヤ(横浜ゴム製BluEarth A)にすると割合我慢できるレベルにはなりましたが、基本的なタイヤが原因の、それに付随する音は気になります。
前席シートの造りについては文句なしです。構造は非常に単純ですが、シート骨格の大きさ、クッション部分の弾力性、シート表皮の柔らかさのすべてが程よくマッチしています。巡航時に腰が痛い…とはなりづらいシートです。ホールド性は特筆して高いものでもありませんが、座って程よくクッションがつぶれると不思議とホールド性も不満を抱かない程度にはなります。
燃費
現時点での生涯燃費は14.24km/Lでカタログ値と比べて83.8%程度、至って特筆すべき点はありません。(カタログ値の8掛け程度、に概ね則っているため。)
ちなみに過去最低燃費は10.66km/L(カタログ値62.7%)、最高燃費は17.90km/L(同105.3%)となります。カタログ値超えは過去6回あります。(がいずれも乗用車タイヤ交換後の燃費です。)
故障経験
これまでの間に1度もありません。手がかからず、非常に優秀です。
満足している点
走行性能が車両の性格や当初の期待に比べて、非常に高いこと。
車両重量が寸法の割に軽いことも理由の一因であると思います。また積載時を想定している車両の為かサスペンション周りも最初から硬めであること、リヤサスペンションの堅牢な構造も一役買っていると思います。
車両の取回しがしやすく、およそどこにでも入っていけるボディサイズ
低速時の車両取回しが楽で(パワーステアリングも軽め)、見切りの良いボディ形状と立体駐車場対応の全高、最小回転半径の小ささ(4.8m)も手伝っています。
不満な点
小物入れは入れ易さを考慮しているものが多く、すっきり見せる工夫は割り切っているところ。
ほとんどの小物入れが運転者から見やすくなっていることはプラスでもありますが、何でもホイホイ突っ込むと途端にみすぼらしく見える…ことに加え、例えばA4用封筒を車内のどこかに、見られたくない場所にしまおうと思うと前席シート下くらいしかないこと。
後席シートの構造、造り
プロボックスバン標準の後席シートはビニール表皮の非常に簡素なもので、乗員をまともに着座させることさえ満たしていません。座っただけでお尻が痛くなり、運転時の振動吸収などはほとんど考えられないものです。プロボックスワゴン・サクシード(バン・ワゴンとも)のシートなら多少はまともになります。ただし後席を畳んで荷物スペースを確保した場合、前席シートの使用範囲(前後調整、背もたれ角度調整)を大幅に制限するものとなります。
車両の性格上、個人向けに思われないところ
どんな人でも車を紹介すると「会社の車?」とか「何でこんなもん買ったの?」とか「つまらない車でしょ?(=だからもっといいクルマを買えば?)」と言われるところ。
(これはグレード選択の間違いですが)
集中ドアロックはあった方がいい。
人を乗せることが全くないのならば必要ありません。しかし乗せることも考えられるのならば、集中ドアロック付を絶対にお勧めします。後付けも可能ですが作業は面倒なうえ、鉄板の穴あけ作業を伴います。
総評
誰彼問わずお勧めできるクルマではありません。
上記不満点のうち、個人向けに思われないところが一番の理由です。と同時に、車に対して多少なりともの付加価値を求める人にはお勧めできません。買ったことを満足させる見た目も造り込みもありません。
車両の基本的性能、つまり走る・曲がる・止まるに関しては必要十分以上の性能があると思います。ただしいずれも「運転を楽しませる」類のものではありません。トヨタ車らしい「運転していることを考えさせないが、きっちり期待には応えてくれる」性格を有しています。
(=ここが同系列のスバル・サンバーやルノー・カングーと大いに異なるポイントと思います。)
ただし「きっちり期待に応えてくれる」レベルは高いものにあります。これがプロボックスの走りの秘密にあたるのではないかと思います。