前回(
その4)の続きです。
前回は躍度分布を理想的に三角形と想定して、それに相当する加速度分布を描いて躍度と加速度の関係、躍度の勾配に注目しました。それを踏まえ今回は実測した躍度分布(タイトル画像)を観察します。
その前に
前回想定した躍度分布は作図を容易にするため躍度勾配を緩めの0.8G/s^2としたので、改めて私が日常運転の上限と見なす躍度勾配1.1G/s^2で描きます。この躍度分布と減速G立ち上がりが速やかなブレーキの目標(目安)。これをテンプレートにしたい。
躍度分布(と横軸が囲む面積)から加速度分布を描いてます。例えば0.4Gの場合、到達Gは三角形の面積(底辺×高さ÷2)から 0.66G/s × 1.20s / 2 = 0.40G となります。
ちなみに加速度分布は躍度(Jy)を表す式からその面積(つまり加速度Gy)を表す式が導けます。
例えば目標0.4Gの場合、時刻tに応じて躍度Jyを以下のように想定して加速度Gyを導くと
t=0〜0.6s : Jy=1.1t Gy=0.55t^2
t=0.6〜1.2s: Jy=-1.1t+1.32 Gy=-0.55(t-1.2)^2+0.4=-0.55t^2+1,32t-0.392
t=1.2s〜 : Jy=0 Gy=0.4
Gyをプロットすると上図になります。躍度分布をシンプルな三角形(1次式)と想定したので加速度は放物線(2次式)で表せます。立ち上がり始めとピークへ収束する曲線形は放物線です。
前置きついでに目標0.4Gの躍度と加速度に注目すると
左右とも躍度分布は同じですが加速度の初期値(t=0でのG値)が異なります。左は0Gで定速走行から減速開始、右は-0.1Gで0.1G加速から減速開始です。加速度分布の形(Gの変化)はどちらも同じですが出発値と到達値が異なる。躍度は加速度の勾配(変化率)を表すので、このような場合があります。
制動操作を考えると左はブレーキ踏み込みから始まり、右はアクセルの抜きから始まる... と思いがちですがよく考えると左も定速走行(パーシャルスロットル)から減速するのでやはりアクセルの抜きから始まります。一般的に速やかな減速Gの立ち上がり「∫」の始めの曲線はアクセル抜きですね。なるほどいきなりブレーキで始まるより立ち上がりはマイルドになりそう。それでも雑なアクセル抜きには用心。
右はアクセル抜きの時間が長いだけですがアクセルからブレーキへの踏み替えに注意しないとこんな綺麗に加速G減少から減速G増大へと繋がらない。加速と減速が同じ勾配で綺麗に繋がると躍度分布はシンプルな三角形となります。
以上を踏まえてタイトル画像の0.3Gブレーキのログを観察すると...
加速G減少から減速G立ち上がりに掛けて躍度分布が谷になってます。ペダルの踏み替えにわずかな遅れまたは躊躇いがあって、加速度の勾配が浅く(0.11G/sに)変化してます。躍度が短時間で上がり/下がり/上がりで乗り心地体感的によろしくない。ここは速やかな踏み替えで加速0.2Gから減速0.3Gへ躍度勾配を連続させたいところ。
ところでグラフを「前後Gのみ」で見ているので加速Gから減速Gへの繋がりが読めますが、これを「減速Gのみ」とすると躍度分布は通しで表示するものの、加速Gからの繋がりが読めません。
前後Gの躍度分布を読むには「前後Gのみ」グラフが適してます。
加速から減速へ、加速度の勾配が一様に繋がる(躍度分布がうねらない)が理想ですが、谷になる/ならないの違い、車の動きと体感を分かりやすく(正確性に欠けますが)図解するとこんな感じ。
車の挙動がひょこひょこと言うか一様な変化ではなく、せっかくアクセルオフから前荷重へ移行してるのにそれを途中で緩めると言うか勿体ないですね。そもそもサスペンションのストロークがどれほど線形かよく分からないので上図は漫画ですが、挙動の乱れは感じ取れそう。こんな風に姿勢変化したらドライバーはその挙動から躍度の無駄なうねりを感じ取るかもしれません。実際にこんな風にノーズダイブするのか分かりませんが。
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G-Bowl | クルマ
Posted at
2018/07/28 15:40:13