今日ご紹介する1台は、現在の宇部店の作業から、トヨタのヴォクシーのベーシックのプレミアムパッケージとフル防振の作業の続きです。
プレミアムベーシックでもドアの純正スピーカーはそのまま使って、一般的に良いとされている国産メーカーのトレードインスピーカーはもう15年以上使った事がありません。
その理由はトレードインスピーカーは音のキレが良いものの、そのキレが行き過ぎていて、ピアノの調律の基本になる部分の音域が弱くしてあり、音楽が分かる方が聴いたらあきらかにおかしな音で、ノリと勢いのカーオーディオのトレンドの音を目指していない方を対象としているサウンドピュアディオは、純正のスピーカーまたは音楽の本来の姿を壊さない限られた銘柄のユニットしか交換しないという考えで音造りを行っています。
自分は2007年に自社の主催でお客様とそのご家族を対象としたコンサートを行った時に、初めて調律にお金を払うという事を知って、しかもリハーサルの前と後の2回行って、更に長時間のリサイタルでは途中の休憩時間にも調律を行って、合計3回の調律が必要で、その様子を見ていたら、その基準になっている音域を下げてこもった様に聴こえない様にするというテクニックは、音楽本来の音とは違う別な形で、その様なスピーカーは取り扱わない様になったのは、調律師の方の僅かな音の差を追い込む姿を見て聴いたからで、それからトレードインスピーカーは扱う気がしなくなり、年々その傾向はどんどん本来の音楽の音色から離れて来ています。
そうは言ってもノーマルのドアではこもる周波数が出来てしまし、それをきちんと整えるのがドア防振となります。
インナープレートとスピーカーを一度取り外して・・
外板裏を指ではじいて残響を確かめて、どのにどんな材質を貼るかマーキングします。
この方式のボクシーの防振を初めて行ったのは2年ちょっと前で、その時に調べた手順書があり、四角のシルバーの工場装着のマットの質も大きさも同じ物で、同じ手順書のままで貼れる事が分かりました。
工場装着のマットの他に4種類のピュアディオ製の防振材を貼り合わせて、青い丸の部分はシルバーのドットの付いているマットを2分割して貼っていて、合計11か所のピンポイント防振でドア全体の響きを抑えています。
外した内張は表と裏にマスキングを行って、粗目を付ける下処理を行ってからコーティング剤を塗っていきます。
90年代に最初にセメントコーティングの試作を行った時は均等に塗っていたのが、ドアが重たくなる割に振動が通過するので、ランダムに厚い薄いを作る事で振動が消えやすい事が分かって、今の規則性を持たないランダムという塗り方になりました。
一晩寝かせたら乾燥した部分は茶色に変わって、まだ青白い部分が残っていますが、石灰成分がカチカチになってひび割れを起こさない様にたわみを持たせる成分が混じっていて、それが化学変化を起こしたかその前かで色が変わっています。
このセメントコーティングの作業は、何回も内張を右に左へ動かすので、表にはかなり厚いマスキングを行って、キズが入らない様にしてあります。
全ての工程を考えると、セメントコーティングはかなりの手間がかかっています。
ドアのフル防振の最後の面は、大きなインナープレートのプラスチックがポコポコ鳴るのを防ぐ金属シート貼りで、強く密着させて貼り付けています。
金属とラミネート成分だけで、ブチルゴム等は一切使わない割高な施工で、ゴムのぶよッとした音が混ざらず、スカッとした小気味良いサウンドを奏でるドアになります。
今の時点では基礎部分の防振作業が終わって、これからは電気的な作業に入り、これより先は『その3』でお届け致します。
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Posted at
2024/10/07 11:04:00