新シリーズのお客様の質問にお答えしては今回で54話となりました。
今日のご質問は最近宇部店の店頭に登場したこのスピーカーで、小型ながらなかなか良い音で音楽を奏でているのですが、これを見られたお客様から「なぜもっとホーム用のスピーカーを大々的にPRして販売しないのですか?」というご質問を頂きました。
理由は2つありまして、まず一つはなかなかいいボックスにめぐり逢えなくて、やっと見つけた時はモデル末期で、急いで手に入れてもあまり数が無いので、少量を生産して終わるというパターンが多いので、それでPRして販売するほどの数が用意出来ないので、店で聴いて気に入って頂いたら購入されるという流れになっています。
今回の少量生産のスピーカーは赤いツイーターが特徴で、過去に某ラジオパーソナリティーの方の自宅用の編集スピーカーとして用意した物を使用しています。
あるお客様からお子さんが春から一人暮らしをされるのにこのぐらいの大きさのスピーカーで、何か良い音で鳴るスピーカーはありませんか?という事でワンオフ製作して、それが出来が良かったので追加生産してお店で鳴らしています。
それと2つめの理由として店頭にホーム用のスピーカーを沢山並べているとホーム用のお店と間違われて、一見さんから「ホーム用のスピーカーを試聴したい。」と言われる事があって、ホーム用に関してはカーオーディオのスピーカーを買われたお客様から、「車で鳴っている音と同じ様な音を家の中でも鳴らしたい。」と言われる方に限定して販売しています。
何故かと言うと、ホーム用のスピーカーは音がどぎつい物が多く、ピュアディオの音が欲しいと思っておられない方に聴いてもらっても、「何か物足りない。」と言われる事があって、物足らないのではなくて他が濃い過ぎるだけなので、あくまでピュアディオのカーオーディオの音が好きという方のみに試聴して頂いています。
もしホームオーディオに力を入れて、色んな方を販売対象とした場合は音造りが変わって来るので、あえてそのジャンルには足を踏み入れないという考えです。
次に「最近モノラルのセパレートハイローコンバーターの写真をブログで目にしますが、どういう風に良いのですか?」という質問を良く頂いています。
この新ハイローコンバーターはベースはオーディオテクニカのステレオタイプの物を2台使用して・・
それを片側のチャネルのパーツを取り外して、パーツとケーブルを大型化して音質をアップしています。
以前は4CH用の物の内側2レーンのパーツを撤去してトランスの影響を防いでいたのが、今は2CH用を2台並べて内側のトランスを撤去していて、左右のトランスが離れるのはもちろんの事、ケースが左右独立していて、更に左右が絶縁してあるのでこれまでのハイローコンバーターでいま一つ表現出来なかった音が再生出来る様になりました。
更に製品のテストはマークレビンソン製の135万円するプリメインアンプを使用して行っていて、ゲイン調整は市販のドライバーを切って削ってで専用の物でグラつきが無い様にピッタリと事前に合わせています。
なるべくハイローコンバーター側の調整を少なくして、車のアンプ側のゲイン調整で完了する様に、あらかじめ調整がしてあります。
これまでのハイローコンバーターから買い替えされる方も多く、現在ピュアディオのヒット商品となっています。
そして最後のご質問は「ブログでコイルを手巻きしている写真が載っていますが、なぜ手で巻くと音が良くなるのですか?」という事です。
実は自分は宇部店の店頭からバックヤードに入ったり2階に上がったりする部分でコイルを巻いていて、自分の70キロちょっとの体重をかけてピンと銅線を張ってコイルを巻いています。
たまに社員が後ろに入ろうとするとここでコイルを巻いているので、たまにお客様と目が合って「本当に手で巻いているんですね!」と驚かれます。
ただ誰が巻いても良い音になる訳ではなくて、イメージ的には特殊な知識がない人が力任せにコイルを巻いても機械巻よりも質の低いコイルしか出来ないというのが本当のところです。
以前専務が社員にコイルを巻かせろと言うのでやらせたら、力任せだと力の強い部分と気を抜いている部分が混在して、最終的に気を抜いた部分が災いして後で緩んでしまいます。
自分が優れたコイルに出会ったのは中学生の時に、当時アマチュア無線の中まで社会人の方がドイツのビジーのAF-10というアンテナを車に付けておられて、国産の第一電波製のアンテナの倍以上の値段がする高級品で、自分が学生でお金が無かったのでサガ電子の第一電波の値段が半分ぐらいの物を自転車に付けていたので、ビジーと比べたら4分の1か5分の1ぐらいの値段でした。
そのAF-10で全くノイズレスで受信出来るのが、自分のアンテナではノイズが混じってしか受信出来ず、自転車を押してその人の車の周りをグルグル廻って、それで良い場所があるのではと探しましたが、やはりAF-10の比にはなりませんでした。
それが悔しくて、「良いコイルとは何か?」、「Qが高いコイルとはどういう事か?」を求めて、自分でアンテナ用のコイルを巻く様になって、自分は運動部に入っていなかったので、ひらすらコイルを巻いて、AF-10の145MHzの8分の5波長では絶対にかなわないので、51MHzの4分の1波長と1本で兼用出来て高性能を巻こうと日々工夫していました。
その後28MHzの4分の1波長や21メガヘルツの4分の波長を1・5メートル以内のエレメントに収めるローディングコイルを巻いたりと、中学・高校は良いコイルをどうやったら巻けるかという実験を何度も行っていて、少しでも出来が悪いとほどいて巻き替えていました。
そんな良いコイルを自分に知らしめたビジーのAF-10をいつでも見れる所に置いていて、学生自分の無心に良いコイルを目指して実験していた時の事を御見出すために、あのノイズレスでバチっと受信出来たインパクトを忘れないために置いています。
勢いだけでは良いコイルは巻けませんが、同じ力で常に引っ張りながら巻いて行くという手法で、気が付いたら機械巻では表現出来ない音が表現出来る様になっていたという感じです。
ただ今考えたらAF-10のコイルは図太いステンレスの棒を機械で強い力で巻いているので実際にその性能は人の力では出せないのですが、大人になって実物を買って目の前に置くと、絶対出来ない目標に向かっていたのですが、学生自分にAF-10は絶対に追い付けない目標で、あの悔しさがあったからこその今のサウンドピュアディオの音造りと感じています。
以上、新・お客様からの質問にお答えして、第54話でした。