今年になってこのシリーズは一度書き込んでいますが、その第22話を読まれた複数の方からの同じ様な質問で、自分の学歴・職歴について詳しく書き込んだつもりですが、「電子パーツを扱っている会社で働いていた事を始めて知りましたが、まだ何か書いていない事がありますよね?」という事を聞かれました。
特に「特別な発想力があるから、何かビジネス塾などで勉強していませんか?」という事を聞かれて、確かにこれまでその手の経歴は一切隠していました。
その発想力の一つが、ほぼ全てのカーオーディオの専門店が大手メーカーやオーディオ評論家の話を信用するのに、サウンドピュアディオだけは同じ方向に行かないという、よほどの根拠が無い限りそんな事は出来ませんが、あるビジネス塾的な勉強を確かにしていました。
28歳の時に長男が生まれて、その時はまだディーラーや中古車店の取付の下請けをしていて、2台の仕事をして直接お客様からの受注の半分ぐらいか、それ以下の収入しかない安請け合いの仕事を大量に受けていて、結局体を壊して一番小売りの仕事が多い12月に入院する事になりました。
その時まで自分はビジネスについて勉強する事は一切なく、ただ仕事の量が入っているのが心の支えで、それが原因で12月に1か月入院となって、ベットでやる事が無いのでビジネス書籍ばかりを読んでいました。
その中であるビジネス講座の通信教育があるのを知って、退院してから早速そこに連絡を取ってみました。
ところがその会社の山口支部に話を聞きに行ったら、「私は以前Sという会社のM社長の紹介であなたの店に行った事がありますが、その時は自分には必要無いと話を聞かずに断られたんですよ。」と言われてビックリしました。
確かに下請け仕事で忙しい時に、何かビジネス教材か何かのセールスマンが来て、邪魔だなと追い返した人に、こちらから探して合いに行くとは、自分の愚かさに呆れました。
自分の所に言ってみてと言われた社長さんは、素人が集まってDJのサークルをしていた時のメンバーのうちの一人のお父さんで、そこの教材を使って仕事を成功された方で、「あのやり方をしていたら、あそこはそのうち行き詰るだろう。」と心配してセールスマンをよこして下さったのに、何と自分はその方の顔に泥を塗る様な事をしていたのでした。
ただその会社のコースが終わってある程度の発想力が付いた後に、今度はもっと上のセミナーが受けたくて、博多や東京などの別の会社が用意しているビジネスの勉強をする様になりました。
そこで知った発想力でサウンドピュアディオの独自のやり方と思われる手法は、小さな会社でも大手が出来ない隙間的な部門で成功するという考えで、例えばラジオとかテープレコーダーが無い時代にこれを発明するのがオリジナルビジョンで、ラジオとカセットセットテープレコーダーを組み合わせたのがラジカセで、これはハーモニックビジョンになります。
ピュアディオで一番売れているのがピュアコンで、これはパッシブネットワークという既に世の中にある商品をラジカセの発想の逆の今ある物を分割してブロック化して、値を細かく変更するというハーモニックビジョンから成り立っています。
ZSPやコントロールコンバーターは「こんな物あっても売れないだろう。」と誰も手を出さなかったジャンルを作った、オリジナルビジョン的な製品で、ただ行き当たりばったりで作ったら当たったという物では無く、エンドユーザーの方の多くの声を聞いて、ありそうで無いけど、あったら欲しい!」という『欲しい』というニッチな需要に応えた製品なのです。
もう一つの発想力として、『少品種大量生産』という考えと、『多品種少量生産』という考えがあります。
例えばこれをスピーカーのパッシブネットワークに例えると、大手メーカー製のネットワークは1種類のネットワークで多くの車や店頭のディスプレイに対応しないといけなくて、実はかなりのカー用スピーカーのネットワークが店頭のディスプレイで最も効率が良い事をご存じ無いと思います。
1990年代には某メーカーがセダン用とクーペ用とワゴン用で専用のチューニングをしているというネットワークがあって、3種類分解して比べたら全て値が同じで、それだけ同じ組合わせでないと利益が出なかったのでしょう。
そんな少品種大量生産の大手メーカー製のネットワークに対して、ブロック化したユニットを手作りで少量づつ値を変えて作って、数百種類ストックして、その都度合うも物を探して付けるのが『多品種少量生産』という考えで、小さな会社は大手が出来ない『多品種少量生産』という手法が成功への道につながるという考えです。
カーオーディオ業界はソニーが1980年代に一度撤退して、1990年代に再参入して、でも2000年代になってまた撤退して、三菱電機のダイヤトーンは1990年代にカーオーディオを撤退して、2010年代に再参入して、現在は事業撤退している状態で、大手が撤退するぐらい厳しい業界の中で、『エンドユーザーが本当に必要な製品は何なのか?』と、『音楽を作った人がファンに聴いて欲しい音はどんな音なのか?』を追求して結果、何とかヒットアイテムを続けて発売し続けています。
人は自分に自信が無いと何かショップとしての名誉が欲しくなり、『カロッツェリア✕認定店』とか『クラブダイアトーン認定店』などの冠を手に入れれば一流と勘違いしてしまいます。
この2つの冠が無くても普通にビジネスが出来ているというか、逆に冠があるがために脇が甘くなって、メーカーや評論家の力が弱くなるとそれに連れて店の売り上げも下がるので、最初から無かった方が長い目で見たら良かったというのが今の結論です。
目先の損得ではなくて、『中期・長期的な事業計画』という10年後20年後にどうなっているかという物の見方で考えると、大手メーカーの作った『冠ビジネス』は危険と思った自分の判断は、今となっては正しかったと言っていいでしょう。
ただそういった物事の原理原則に基づくビジネスをして来たつもりが、加盟店と呼んでいたグループ店には浸透していいなくて、次々に閉店していく事態となり、その原因は『長話による効率の悪いお友達ビジネス』と、『インピーダンス無視の音造り』の2つにあったと考えています。
あっ、前にも長話の事を書いてお客様に気を使わせてしまった事がりますが、1時間2時間の話ではなくて、3時間4時間の事で、1・2時間は常識的な範囲ですので気にしないで下さい。
せっかく成功出来るビジネスモデルを作ったにもかかわらず、そのモデルと反対の我流を通したために採算が合わず閉店ばかりで、今は自分が直接音調整をしている2店のみになって、多くのお客様から「加盟店がある時よりも音が良くなった。」と言われています。
いくら言っても言う事を聞かない店の世話が無くなったために、目の前の仕事に集中出来る様になったからでしょう。
『インピーダンス無視の音造り』についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
以上、お客様の質問にお答えして『第23話』でした。