実は今月の3冊は、
全て、「筑波遠征」の前に読んでまして、
筑波から帰ってきた後は(写真整理とかブログ書き書きとかで)読書は全くのサボり状態(笑)。
んで、もう今週末からGWですよ!
初日の29日からゼンカイで遊びの予定いっぱいなので、もう本なんか読んでるヒマ無い!←
というワケで(笑)、ちょいと早めの「4月分」です。
ジャック・ヒギンズ 『鷲は飛び立った』 (1991)
原題『The Eagle has flown』
3月に読んだ『鷲は舞い降りた』の続編。
ですが、「最初から考えてあった2部作」ではなく、「後から思い付いて継ぎ足した」パターン。
古今東西問わず、大抵の場合この
“「実は生きてました」パターンw” は全然オモんない駄作になる事が多いですが、
どっこい、コレは結構良い出来だと思う。
前作のメイン2人、クルト・シュタイナとリーアム・デヴリン。
今作ではシュタイナはあまり大きな動きはせず、デヴリンが主役になって立ち回る。
そしてその2人以外は殆どキャストが入れ替わっているのだが、どうもその主要キャストは、著者の他作品の主人公キャラが何人か登場しているようで、
さながら、著者の “オールスターキャスト大感謝祭” 的な面があるようです。
とはいえ、僕は著者の他の作品は知らずにこれだけ読んで、それでも充分面白いと思いました。
他のもちょっと読みたくなりましたね。
「ヴァルター・シェレンベルク少将」なんて…
いかにも
“非ドイツ人が考える厨二病的「カッコいいドイツ人名」” みたいでゾクゾクしちゃうww
前作『舞い降りた』のエンディングのままでも、多少物寂しさは残るもののアレで一つ完成された形だったと思いますが、
今作『飛び立った』で、読後感が晴れやかになったのが良い。
終盤ではヒトラー暗殺を巡るドイツ軍内の攻防がありますが、
「ヒトラーが権力の座に居る方が戦争が早く終わる、だから暗殺を阻止する」という視点は
なかなか、歴史の表と裏を考えさせられる部分ですね。
ギャビン・ライアル 『深夜プラス1』 (1965)
原題『Midnight Plus One』
原題のままで良くね…?(笑)
えー…、ざっくり言うと
「命を狙われている要人を、フランスのカンペール(↓の地図の、左に突き出てる半島の先っちょ)から、
リヒテンシュタイン(スイスとオーストリアの間の国)へ、タイムリミットまでにクルマで送り届ける」というだけの話www
リヒテンシュタインといえば、今話題の
「Tax Haven」の一つであり、
この作品の中でも正にその側面を扱っています。
護送する要人は、とある会社の大株主であり、その会社はリヒテンシュタインに籍があり、そこで開かれる株主総会に行かねばならないのだが、命(と、その持ち株)を狙われている、という話。
それを送り届ける2人。大戦中はレジスタンスの工作員であった主人公がドライバーを勤め、護衛のガンマンは実はアル中w
ストーリーはそんな大した事無いんですw が、
小道具の描写がかなり凝ってる。
拳銃のコダワリやウンチクもなかなかのものですが、
メインで使用するクルマが、
シトロエン DS
と
ロールスロイス ファントムII
この本読んだ理由、ソレだけですwww
全ての制御系が油圧システムであるDSが、銃撃を受けてオイル漏れ→だんだん操作が効かなくなっていく
という描写が、みんカラ的には一番の読みどころ(笑)。
山岳要塞のトーチカ塹壕にファントムで突っ込むなよwwwというネタも。
RRでそういうことやるならペネロープ号でしょw
ストーリーよりも、キャラクターの作り込みを楽しむ作品ですかね。
クルマのチョイスもですが、2人が使う銃にもそれぞれの性格・美学が色濃く反映されていて
なんか背景とか細部が妙にカッコいい作品という印象。
こんだけ細かい描写を入れる著者というのは…
そーとーなオタクやで!ww
ストーリーだけならいかにもB級映画的なんですが、
映像化しても、この独特の空気感を再現するのは至難の業かと。
セバスチアン・ジャプリゾ 『新車の中の女』 (1966)
原題はフランス語なので割愛…
↑上の『深夜プラス1』と同年代の作品で、これまたクルマが重要なファクター。
作中では「サンダーバード」としか言われず、正確な年式は不明だが、
作品の発表年が1966で、「最高速200km/h」とか「2ペダル」といったキーワードで “最新式” という扱いをされているので、おそらく4代目のコレであると思われる。
ヒロイン・ダニーは、
借り物のサンダーバードで、気まぐれの旅に出、初めて訪れる南仏へ。
しかし、なぜか訪れる先々で自分の事を知っている人が現れ、
身に覚えの無い “事実” ばかりを突きつけられ、次第に「自分がオカシイのでは?」と思い始める。
立ち寄ったガソリンスタンドで何者かに背後から襲われ、片手を負傷。
出発時には空だった筈のトランクに、男の死体。
「誰かが私を陥れようとしている」
「いや…それとも、私は誰なの?」
という、ジャンルとしてはスリラー?犯罪小説?です。
見えない流れに飲まれて、『私』が私でなくなっていく過程に読者も引き込まれて行く。
『私』は二重人格なのか?記憶喪失なのか?と思い始めた所で、謎解き編へ。
トリックは古典的でシンプルなんですが、ハイテクでサイバーな世界に辟易している現代人には
ある種、牧歌的でホッとする “スローライフ” な犯罪です(笑)。
「電話をするのにも、交換手の呼び出し待ちで1時間かかる」とか、もう平和過ぎる(笑)。
こういう世界の方が好きだなぁ。
…しかし、なんかフランスの小説って犯罪小説が多いようなのは、気のせいか?( ̄▽ ̄;)