(年寄りが、ピチピチの若かった頃の自慢話)
もうおばさんの聖羅です。
前回話した「たか」との4回目の本当の別れは
この言葉が引き金でした。
「俺と踊り(ディスコ)とどっちが大事なんだ?」
「・・・・ディスコ」と答えた。バブルの時代だった。
若いときは、彼氏と別れた翌日にはもう次の候補が
現れる(若いときは!!!)
マハラジャで顔はそんなハンサムじゃないけど
背が高くいつもお洒落なスーツを着てとてもスマートに
上手に踊る「すぎじ」が居た。遠くからガンミしてた。
私がカウンターへ行き「モスコミュール」と注文したとき
「同じく!モスコミュール!」と隣に笑顔のすぎじが居た。
彼は長くつきあっている彼女がいたけど別れて
すぐに私たちは付き合いだした。
彼はハウスマヌカン・オムだった。どうりでお洒落なわけだ。
洋服が趣味で仕事に繋がり、東京で勉強してデザイナーに
なる夢を持っていた。
両親と暮らしており私も週の半分は彼の母親と一緒に
夕飯を作ったり彼の家にとけこんでいた。
このままこのお宅に嫁いできたいなって思っていた。
優しい穏やかな日々が続いた。
「俺、デザイナーの夢辞めた!
今のショップで店長になる道があるんだ。そっちなら
給料も安定しているからセイラと結婚できる」
ん~ん、ちょっと私は複雑だった。
夢を諦めるの?
そんなある日、私の勤務先のホテルにスーパーマンが
入社してきた。
東京のYMCA国際ホテル専門学校卒
風間トオルそっくりの日焼けしたサーファー、ゴルフはシングルの腕前
英語フランス語ぺらぺ~ら
あまりにもハンサムなのでホストクラブやモデルにスカウトされていた。
モデルを副業としていた。バリ島へサーフィンしに行きその帰りに
おみやげを会社に持ってきた彼はボード片手にあまりも
かっこよすぎで写真を撮られそれをプロマイドみたいに
女性達は皆持っていた。私も一枚もらった(すぎじにも見せた)
トオルさんが社員食堂に行くと情報をキャッチした女性達が内線で
知らせ社員食堂はきゃーきゃーと騒がしくなり、
彼はというとそういうチヤホヤされることにとても怪訝な表情で怒って
無視していた。それがまた女性の心をくすぐるんだよねぇ
ミスなんちゃらとつきあっているって噂だった。雲の上の芸能人だった
会社の創立パーティがあった日、
トイレから帰ってくる廊下で満面笑みのトオルさんが一人でいた。
思わず私は後ろを振り向いた。誰もいない。
私?
「相談があるんだけどいい?」と私をカウンター席へ
エスコートした。背中につきささる女性人の視線がきもちよすぎるっ(^-^)
「結婚を前提につきあっている彼氏がいる人を好きになってしまったんだ・・」
「えートオルさんが?大丈夫ですよ!トオルさんが言って
振り向かない女性はいないから、彼氏と別れてトオルさんとつきあいますよ!
絶対!」
「絶対?」 「絶対!」
「わかっているんでしょ?」と聞かれ私の頭の中は突然騒がしくなった。
結婚を前提にしている彼氏がいる→私?んな~ことあるわけない
ばかばかばか!
気を取り直して彼の方を見ると鮮やかな綺麗な二重で情熱的に
私を見る・・・・その訴えるような瞳に私は、わかっているんでしょ?の答えに
「うん」と答えてしまった。
ばかばかばか!!!違ったら超自惚れやの赤っ恥!!!どうしようと震えてきた。
「別れられる?」あ・・やっぱりアタシだ。。。頭が真っ白だ。
「混乱して考えられない」
「そうだよね。突然だものね、判断する材料として明日の休みドライブに行こう」
そりゃ~行くさ~キムタクにドライブに誘われて断る人はいないでしょって感じ。
サーファーの車はどんな車かしらと自宅前で待っていたら
遠くから「ブッブ~~~~~~~~ン」とセコンドで引張るエンジン音。
まさかと思いきやバリバリ弄っている白いカムリでバケットシート
ブルースカイという言葉がぴったりの半そでのポロシャツに短パン
トムクルーズばりのウェファーラーしたトオルさんが登場。
もう私はノックアウト・・・その日のデートは有頂天でほとんど覚えてないけど
旭山公園の階段でサンダルのバンドが外れたときかがんでトオルさんが
ボタンをつけてくれたことで憧れから『好き』に変わった。
一切キスも手も握らずまっすぐ自宅に
送ってくれて「考えておいてね」と去っていったことしか覚えてない。
翌日すぎじに「話があるの」と伝えると
お洒落なレストランを予約していた・・・
せっかくの食事がこれから言おうとしている事を考えると
食べれなかった。すぎじも食べてない・・
「あのね・・・・」と言うとすかさずすぎじが
「あのプロマイドの彼?」と・・・
図星すぎて黙っていた。。。
「こんな高価な時計、もらえない」と30万円の24回払いで私が買った腕時計を外した。
「これはすぎじにプレゼントしたものなので、返さないで」
「・・・ありがとう」とまた腕につけていたとき
大粒の涙の雫がテーブルに落ちた。すぎじの堪えていた涙。
それを見て、私はなんて酷い女なんだ・・・こんなに愛してくれている人を
裏切ろうとしたなんて・・と涙が溢れた。
「ごめんなさいっ今の話、なかったことにして」「へ?」みたいな・・(^-^;
翌日会社で何してもかっこいいトオルさんが読んでる新聞に4つ折したメモを
ひっかけて何も言わずその場を離れた。内容はベタな
『彼と別れられませんでした。トオルさんとはお友達で・・・セイラ』
「待って!今日、仕事終わったら大通りのベンチで待ってる」
あ・・・揺れ動く・・・返事はしなかった。
その日一日揺れ動く気持ちで仕事にならなかった。
大好きな上司(女性)に相談した。
「えー?!トオル君をフルだなんて、なんてもったいない!
だけどトオル君は初めての敗北感を味わっているでしょうね。イイコトよ。
でもね、セイラちゃん、まだ21歳でしょ?結婚しているわけでもないのに、
もっといろんな人とつきあってもいい年頃じゃない?
トオル君ともデートは一回だけでしょ?まだ判断しなくていいんじゃない?」
なんかふっと悩んでいたことがふっきれた。
そうすると仕事終わってからトオルさんと逢えることが死ぬほど嬉しくなった。
薄暗い大通り公園のベンチで煙草を吸いながら下を向いてるキムタクがいた笑
その日から私は彼のマンションに住む事となる。
3日後トオルさんが仕事で私が休みの日
「今日、彼ときちんと別れるから」と約束して見送った。
その休みの日はすぎじと小樽へデートする予定だった。
3日間連絡もしなかった。
逢って顔を見たら別れる勇気がまたダメになってしまいそうで
電話にした。
「やっと連絡くれたね・・セイラ」
「・・・ごめんね。今日、小樽へ行けなくなっちゃった・・」
「あぁ・・いいよ。今日は雨だからね」
「すぎじ、ごめんね、ごめんね」
「いいよ・・・最後にこれだけ言わせて、
俺はこれからまた彼女を作る、その彼女に前,俺がつきあっていた彼女は
最高の女だったんだっていえるくらい、セイラはいい女だったよ」と
声が震えていた。
この名台詞は、一生忘れないしいい女を目指すために励みとなる言葉になった。
5~6年後知り合いの結婚式で私は欠席だったけど出席した友達から教えてもらった。
「すぎじに逢ったよ!ロンゲで後ろでひとつに束ねて業界人って感じで
今、東京でデザイナーしてるんだって!それとまた名台詞を言ってたよあのね・・
『騙されてでもいい。もう一度セイラとつきあいたい』って。」
あ・・・夢を叶えたんだ!よかった・・・
トオルさんとは一緒に暮らして半年後に
出来ちゃった婚をし、もう一人子供も授かり、後に離婚した元旦那デス
郷ひろみさんと涙で別れてすぐに神田正輝さんと結婚し離婚した
松田聖子さんの真似しているの?とよく友達に笑われたぁ
おしまい