11月2日土曜日、福島県福島市の西部にある奥羽本線赤岩駅と付近の廃線跡のトンネルを訪れました。
まず始めに赤岩駅を訪れ、つづいて廃線跡へと向かいます。今度は分岐点を直進です。
正面のシダの生えた斜面へと入り込んでいきます。ここに道跡があり、しばらく辿っていきます。
最初の沢であっけなく道跡は消失。ここからは、急斜面の森の中を奥へと進んでいくことになります。
肉厚でおいしそうなキノコ。本当に食べられるものかは全くわかりませんが(笑)。
だいぶ奥へと入り込みましたが廃線跡が見つかりません。下を流れる松川からの高さを考えると高すぎる位置を歩いていたので、一気に斜面を下っていきます。
ようやく平場が視界に入ってきたので、さらに斜面を滑り下っていくと7号隧道の前でした。やや行き過ぎてました。5回目の訪問ですが、「ここを行けば間違いない。」というルートが未だに見い出せません。
あらためて旧奥羽本線7号隧道です。1899年(明治32年)開通、1911年(明治44年)内部変状・崩壊により放棄。
「7」の金属製プレートは今回も健在ですね。
トンネル内から生えている木に倒木が寄りかかっていました。
根がこんなようにしか張っていない木なので、重みで根こそぎ倒れてしまわないか心配です。
坑口付近の天井は、亀裂の走っている真ん中を境に左右で雰囲気が違います。左が谷側で右が山側です。
中へと入っていきます。
退避坑。
白華現象で真っ白けの坑内。天井部分は水が浸み出して湿っています。
横坑も健在です。
トンネルの閉塞箇所。崩土は湿っていますが、新たに崩れた様子はありません。ひとまずはこの状態で安定しているようです。
坑口へと戻ります。
怪獣が突っ立っているようです(笑)。
煉瓦の目地のアップ。坑門正面側と側壁側で塗り方を変えていますね。
それでは次の6号隧道へと進んでいきます。まだまだ鬱蒼としていますが、真夏に比べると下草が少なくなり快適にはなっています。ただ、やたらとハエが多いのが困りました。
6号隧道米沢側坑口。木漏れ日を浴びています。
こちらのトンネルも1899年(明治32年)の開通です。
中へと入ります。ご覧のとおり、反対側まで貫通しています。
道床はすっかり洗われてしまい、石がゴロゴロしていて歩きにくいです。
退避坑その1。これは当時のまま煤も付いてなくきれいです。
この辺りは最大38パーミルの急勾配区間ですが、このトンネルの壁面はあまり煤煙が付着していません。
退避坑その2。こちらは白華現象で真っ白です。
このトンネルで一番目立つ剥落個所です。煉瓦がすべて剥落して地山が見えています。
すぐ先にも側壁が崩れてしまった場所があります。
反対側の坑口に着きました。付近の地面を見ると犬の足跡が何列か付いていました。猟犬のものでしょうか、しばらく前に付いたもののようです。
「仙土技」のチョーク書きも健在。
6号隧道福島側坑口。
森の奥深く人知れず眠っているという感じがいいですね。まあ、実際は接近困難と言われながらも、私も含めて多くのマニアが訪れているわけですが(笑)。
おそらく「6」のプレートが付いていた跡。金具だけが残っています。
トンネルの先、松川橋梁跡を眺めますが、木々が生い茂っていて見通せません。
松川橋梁跡の手前の路盤跡に残る煉瓦構造物。
松川橋梁跡です。橋台に日光が当たり、白く反射しています。
破壊されたアーチ部分の跡。
橋台部分を見上げます。
川岸近くにある2番めの橋脚を見下ろします。
さらに降りて、1番目の橋脚と橋台を見上げています。急な斜面に建てられているのがわかると思います。
2番目の橋脚に取り付きました。長年の風雪と木の浸食により橋脚はボロボロで、あたり一面に煉瓦の破片が散らばっています。
2番目の橋脚を川側から見上げます。大きな煉瓦の塔です。
さて、いつもだとこの橋脚の傍らから10m程の急斜面を下って、松川を渡り、新5号隧道、旧5号隧道へと向かうところですが、前に来た時よりも土の斜面が狭くなったようで、2番目の橋脚から土の斜面へ移動するのに岩上の狭い段差伝いに横移動しなければならなくなっていました。
まあ、これが登りであればダイレクトに岩を登ってくる程度のものでしたが、下を見下ろして一瞬躊躇してしまったのがいけませんでした。
結局10分ほど逡巡していましたが、「撤退撤退。」と諦めました。この先も行ったことがある場所ですし、気持ちがダメになると体が動かなくてケガをするだけですからね(と言い訳して。)。
こちらは戻る道すがらに撮った、6号隧道を通り抜けて7号隧道前に至るまでの動画です。
帰りは、7号隧道の横坑から外へ出て、そこから登って帰ることにしました。
前よりも埋まった気がする横坑から這い出して外へと出ました。
7号隧道の沢渡り部分の外壁です。この左手で天井が抜けて埋没したわけです。
外壁に造られた排水口と覗いた内部。
同じく外壁の排水管。
そこら中に転がっている煉瓦。外壁の表面に使用されている焼過煉瓦とそれ以外に使用されている赤煉瓦ですね。
煉瓦でしばし遊んだ後、7号隧道を後にします。
沢伝いに比較的登りやすいルートで登っていったところ、途中で行きに辿った道跡に合流でき、息を切らせることもなく赤岩駅への林道へと戻ってきました。
このルートを覚えておけば接近が容易になりそうです(そして次回また間違えるんですよね。合っていても、最後はトンネル内へ這って入るという(笑)。)。
さて、林道を進んでいったところ、路上に猿が座っているのを発見。いったんこちらが下がって猿の視界から消え、その間に逃げてもらい、さらに林道を進んでいきます。
今度は前方から大勢の猿の鳴き声が聞こえてきます。しばらく周囲の様子を伺っていると猿の群れが目の前の林道を横断し始めました。50m以上は離れていたので、静かに立ち止まったまま猿たちが通り過ぎるのを待ちます。
何匹か子猿もいて、ヨタヨタしながら走っていて微笑ましかったですね。
最後の1匹がこちらを見ていたので、望遠で撮ってみました。何にしても、生身のまま野生動物と遭遇するのは緊張します。
出発してから3時間超。ようやく車へと戻ってきました。
このあとはいつも通りにあづま総合運動公園近くのあづま温泉へ。熱い温泉にのんびり浸かり、廃線歩きの汗を流した後、涼みながら快晴の下の福島盆地を眺めていました。