
あれから20年…
今日みたいに雨が降り続ける日
彼女との出会いはとある教習所
「あ~あ…単車なんて免許取らなくても乗れるだろ、教習所なんて面倒くさ…」
んっ?
あの人いつも一人でポツンと待機してるな?
「こんちわ!今日も一緒の時間ですか?女の子なのに中免取りに来るなんて凄いすね♪」
いつも気になっていた一人の女性に声をかけてみた
「あっ♪こんにちは♪いやどうしても乗りたいバイクあって♪勢いで教習所通いしちゃいました♪」
初めて話をするのに何か昔からの知り合いのように感じる不思議な年上の女性でした
「へぇ~何のバイク乗りたいんですか?えっ?VRX?ホンダの?女の人が選ぶ単車としては珍しいですね!」
「そうやねん♪あの武骨なスタイルがメッチャ好きでな♪免許取ったら絶対あれ乗る!って決めてるねん♪」
あれ?
関西の人かな?
「メッチャ関西弁ですけど名古屋じゃないですよね?」
「うち出身は広島!」
関西関係ねぇーwww
「あ~前まで大阪で働いてたんだ♪それで今は名古屋に移動してきてな♪ほんま誰も友達いなくて教習所もメッチャ不安やねん」
「何の仕事してるんですか?」
「うちパティシエやねん♪今は◯◯ってケーキ屋で修行させてもらってるんや♪」
◯◯??
「ちょw そこ俺の家の近所だしww」
何か運命を感じたかと錯覚した
「よかったらさ♪友達になりません?俺の知ってるバイク屋も紹介するんでVRX探してもらいましょうよ♪」
「ほんまに!あんた神や!友達になる♪なる♪」
お互い無事にほぼ一緒のタイミングで免許を取得
知り合いのバイク屋に探してもらってた紅いR1-Zと黒いVRX
「やったー♪一緒の日に納車やね♪このままどっか走りに行こうよ♪」
出会ってから一ヶ月…
単車に乗れるドキドキなのか…
彼女と一緒に遊べる、走れる、ドキドキなのか…
それから数ヶ月
気がつけば彼女のまわりには数十人のバイク仲間が集まっていた
「ねぇ♪みんな!バイクチーム作らへん?」
「チーム?リーダーは?チーム名は?」
「リーダーは…ゴウ(仮名)!あんたや!」
俺!?
まさかの指名…
「いやいや💦そんなの無理!無理!そんな器じゃねぇーし!ナオミさん(仮名)やりなよ!」
「そうなん?あんたにはそういう才能あると思ってるやけどなぁ~」
「チーム名はどうするんよ?」
「んっ?もう決めてるで♪単車って素敵な音色を奏でながら走るやん♪」
【流音】
「ルオンや!ええ名前やろ♪」
ここに総勢23名
女性リーダー率いるバイクチームが誕生する
それから数年
楽しかった…
ただひたすらバカな仲間たちと走りまくってた最高な日々…
この素晴らしき日々が永遠に続くと誰もが思っていた…
けど…
「大変だ!トモ(仮名)が事故った!」
突然の親友の死
仲間たちは泣き崩れ
一人…一人と…
「俺…バイク乗るのやめるわ…ゴメン…」
気がつけば残ったメンバーは数人
所詮は軽いノリで作ったチーム
このまま解散か…
「あかーん!解散はせぇーへん!走るんや!トモの分まで走るんや!そうじゃないとトモも報われない!」
「そうだな…俺はまだ単車乗るよ…アイツの分まで背負ってチームで走る!」
事故から引き上げたアイツの青い火の玉カラーの単車
使える部品を一つ一つ組み合わせ紅い火の玉カラーへ復活
「やっと直ったよ…俺がお前の分まで一緒にこれからも走るから…ずっと見守っていてくれよ…」
離れていったメンバーも少しづつ悲しみの呪縛から解放され、また一緒に走れるようになった
楽しく生きよう…
アイツの分まで…
時は流れ
決してアイツのことを忘れることもなく楽しく過ごした日々
「あっもしもし?ゴウ?ちょっと話あるんだけど会える?」
彼女からの呼び出し
「どしたの?」
「あのな…私…広島に帰ろうと思ってる」
えっ…
「なんでよ?ずっと一緒に走ろうって約束してたじゃん!」
…
「やっと夢が叶えれるようになったんや…うち…広島でケーキ屋オープンしようと思ってる」
…
「そっか…おめでとう♪チームの皆もきっと喜んでくれると思うよ♪ 天国のトモも…」
…
「チームどうする?解散?それともアンタが二代目やる?」
「いや…ナオミさんいてのチームだったし…駆け抜けたよ…ここらで皆も休憩だよ♪」
ありがとう…
前日の送別会
メンバーは満面の笑顔で彼女を盛り上げた…らしい…
そこに俺はいなかった…
別れの日
「ちわー♪暇なんで遊びに来ました♪単車メンテしてくれません?」
彼女を見送ることもなくいつものバイク屋に顔を出した
「おい!お前!ナオミとちゃんとお別れはしたのか?他のメンバーは前日に彼女と会ってたんだぞ!」
「いやぁ~俺はいいっすわ…なんかそんなの苦手だし…」
バカヤロー!!
「お前が会わなくてどうする?彼女はお前がいたから今まで故郷離れても幸せな日々を送れたんだぞ!まだ間に合う!いけ!彼女に会ってちゃんと話してこい!じゃないとここも出入り禁止にする!わかったな!!」
わかってた…
絶対に彼女と会わないと後悔することも…
ただ悲しくて…悲しくて…
外に出ると雨はどしゃ降り
お構いなしに単車に火を入れ「くそったれがぁー!!」と気合いを入れ彼女のもとへ…
滑る路面…
視界が狭い…
怖い…
こんな日に単車で飛ばすなんて…
無理だ…
間に合わない…
もう…
彼女には会えない…
【大丈夫 俺が一緒に行ってやるから 大丈夫 きっと会えるよ】
声が聞こえた…
それは自分が乗ってる単車から…
トモか?
勇気がわいてくる
会う!彼女に!間に合え!間に合え!
彼女の家の前にはトラックに乗せられたVRX…
間に合った
まだ出発してない
すぐにでも彼女に会いに…
いや…
違う…
彼女には夢がある…
そこに俺がいてはダメだ…
彼女の単車のシートにそっと愛用していたヘルメットを置き無言のメッセージを残しその場を去った
気がつけば雨もやみ
一言
心の中で
さようなら…
ずっと応援してるよ…
大好きだったナオミさんへ
10年後…
実家の母親から電話があり
「あんた!ナオミちゃんから手紙届いてるよ!」
そこには一枚の写真と一言だけメッセージ
小さなお店
隣には素敵な旦那様と天使のようなお子さん
そしてピカピカなVRXと共に
【私はまだまだ走り続けてるよ】
なぁーんて素敵な話があったらいいですねw
信じるか信じないかはあなた次第!爆
以上!
キュンキュン妄想爆発な紅侍からでしたwww
Posted at 2020/06/18 20:14:39 | |
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