
元ワールド・チャンピオンであるジョン・サーティスは、アグレッシブと言われる佐藤琢磨の走りを見て次のようにコメントしている。
「佐藤は若干ワイルドで荒削りだけども、エンツォの言葉を思い出すよ。エンツォは常に情熱のあるドライバーが好きだと言っていたよ。それに、発展途上にあるドライバーがミスをしないならば、それはハードに攻めていないだけだと語っていたんだ。」
琢磨、あとは表彰台に上るだけ
速さを見せつけたが不運に泣く
表彰台は時間の問題
残念ながらヨーロッパGPでは3位表彰台を逃がしてしまった日本人F1ドライバーの佐藤琢磨だが、次のカナダ戦とアメリカ戦で再びポディウムを目指すと意気込んでいる。
B・A・R‐ホンダ・チームに所属する佐藤は、日曜日のレースで日本人ドライバー最高位タイの3位を獲得するかと思われた。60周のレースで勝利を挙げたミハエル・シューマッハ、2位のルーベンス・バリチェロに続くポジションを途中まで走行していた。
だが、やや強引な飛び込みでルーベンス・バリチェロをパスしようとし、マシンに傷を負ってピットインを強いられ、表彰台の望みをふいにしてしまった。最後は残り13周というところでエンジンがブローし、リタイアに終わった。
「本当に
悔しいです。でも、次のモントリオールとインディアナポリスに期待したい」と琢磨は語った。 「マシンの調子が良かったのに、エンジン・トラブルという形でレースを終えてしまったことが残念でなりません」
「いいリザルトが残せると思ったので常に攻め続けました。ルーベンスをかわす自信があり、チャンスだと思ったので飛び込んだのですが、残念ながら接触してしまいました」
バリチェロはこの1コーナーの一件で佐藤のことを“経験不足”と語ったが、B・A・Rのチーム代表、デビッド・リチャーズは次のように反論している。 「琢磨はレース・ドライバーだ。何か勘違いしていないか? 彼にのんびり手を振りながら走れとでもいうのか?」
「ホンダの40周年を記念するレースでもあったので、初ポディウムを逃がした琢磨の落胆を皆が共有したよ。 チーム内は重苦しい雰囲気に包まれていた」
しかし、琢磨が涙を呑んだ一方で、イギリス人ドライバーのジェンソン・バトンが堅実なレース運びを見せてチームを救った。琢磨の後ろを走っていたバトンは、リタイアしたチームメイトの代わりにポディウムを獲得した。
スタート後、B・A・Rチームを含む集団は2番手のキミ・ライコネンに抑えられ、その間にフェラーリがリードを広げたため、ミハエル・シューマッハとの直接対決はできなかった。
この週末、バトンはマシンの調整に苦しんでいたが、レース後に次のように語った。 「色々と問題があったことを考えれば、この3位は素晴らしい結果だ。表彰台のチャンスが大きかったのはタクの方だけど、トロフィーをもらえて良かったよ」
琢磨がルーベンスの発言をはねつける
「完全に僕のペースだった」
“ペースを握っていたのは僕だ”
佐藤琢磨が“未熟な”ドライビングと批判されたことに反論した。
ニュルブルクリンクで琢磨は2番手に上がろうとルーベンス・バリチェロを抜きにかかった時に接触。琢磨は自分のフロントウィングを壊し、バリチェロのバージボードにもダメージを与えた。
ルーベンスはそんな琢磨のことを「ちょっと未熟だ」 と呼んだ。
「ルーベンスが僕のことをそう呼んだと聞いたとき、笑ってしまいました」と琢磨。琢磨は接触でのダメージを直すためにピットに入った数分後、ピット前のストレートでエンジンから白煙を出してリタイアした。
「あれは全くのうそですよ。彼はリプレイを見てないんですよ」
「完全に僕のペースでした」と琢磨はレース後に語っていた。
B・A・Rホンダの代表デビッド・リチャーズはシーズンの序盤で、琢磨は勇敢だが攻めすぎだと言っていた。だがそれがレーシングドライバーたちが持つべき要素でもある。
「ちょっとだけ意欲的過ぎたのかもしれない」
フェラーリのバリチェロは、琢磨は速いクルマを楽しんでいたと語る。 「だから結局は僕のことを抜いていたかもしれないよ。でもあの場はないよ、あそこでは抜けなかったよ」
なぜ佐藤琢磨にだけ不運が?
答えは簡単には見つからない
白煙を上げてストップする琢磨のマシン
B・A・Rでは、なぜ佐藤琢磨にだけトラブルが起こるのだろうか。
ニュルブルクリンクで琢磨は、ルーベンス・バリチェロと接触し、修復作業を強いられるまで2位を狙っていたが、コースに復帰直後、ホンダ・エンジンが白煙を上げてストップ、リタイアするはめとなった。
しかし、代わって表彰台に立ったバトンのほうは終始、順調なレース運びだったように見える。
なぜ、琢磨にだけトラブルが起こるのかと、バトンに尋ねてみたところ、 「どうしてなのかわからないよ。でも、彼はいいレースをしているし、ものすごく速いドライバーなんだ」と、やはり首を傾げる。
そして、4回目のピットストップの後、琢磨のマシンを襲ったエンジン・ブローについては、こう言及している。
「はっきりしたことはわからない」とした上で、マシンが止まったことによってオーバーヒートするケースがあると説明し、 「いずれにしても、たった一つのミスがレースでは命取りになるということだ」と話していた。
「F1には佐藤琢磨が必要」
デビッド・リチャーズが熱弁をふるう
果敢なプッシュを見せた琢磨
F1には佐藤琢磨が欠かせない存在だと、所属するチームのボスが息く。
佐藤琢磨は、ヨーロッパGPでルーベンス・バリチェロをオーバーテイクしようとした際に接触。バリチェロからその時の挙動について“未熟だ”と批判を受けていたが、B・A・Rのデビッド・リチャーズ代表は琢磨の顔を立てている。
「あれは少し野心的だったのだと思う」と、リチャーズも批判の大方は受け入れている。
「チャンスだったんだ。その結果ルーベンスはしっかりとポイントを獲得し、ウチの琢磨はマシンに代償を支払った。果たして、誰もが彼にあのようなことをすべきでなかったと言えるのだろうか」
バリチェロは先のニュルブルクリンクでの会見で、琢磨を厳しく酷評した。さらに、2位の座をつかもうとチャージをかけた琢磨が、“完全に横並びになったてきた”と話す。
「運良く僕にはエンジンノイズが聞こえてきて、少し避けることができた」とバリチェロ。
リチャーズは一方で、同僚のジェンソン・バトンが、琢磨ほどの素晴らしい走りを見せていなかったことを認めている。
「分析をしてみれば、パフォーマンスで劣っていたということが確認できるだろう」
Posted at 2009/02/14 00:23:24 | |
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