第6章 魔銃光殺砲 9
「ねえ、美緒りん達いた?」
「いや、わからん。」
「そう…」
ライブ会場のお客を避難させた後、はぐれた美緒りん達を探してはみたのもの、避難客が
多い為見つける事は困難を極めた。
「無事であることを祈るばかりです。」
シルビアも「もしかしたら…」という不安を隠しつつ、そう思うしかなかった。
美緒りん達の行方も心配だったが、レオーネ達にはもう1つやらなければいけない事がある。
「今泉が放った魔銃光殺砲をどうにかしないと!?」
そう、1発でここまでの被害を被る破壊力を持つ魔銃光殺砲をここでどうにかしないと、
また甚大な被害が起こる可能性は大である。
レオーネは決心した。
「よし、魔銃光殺砲を破壊しに行こう!」
「本気で言ってるアルか、レオ?」
「ああ、本気も本気、超本気だ。」
「そうですね、今の状況だと軍が動くまでにかなりの時間がかかると思いますので、
私達で出来る事はやっておいてもいいでしょう。」
シルビアも同意してくれたので、レオーネ達の考えはまとまった。
「では、魔銃光殺砲があった所まで案内します。」
「ぜひ、お願いします。」
こうして、カルディナの案内で魔銃光殺砲があった場所まで行く事にした。
ズーチクーモスから離れる事10キロ入った山間にレオーネ達はやってきた。
「あ、あれです、あの大穴です。」
「何だありゃ!?」
カルディナの案内の元レオーネ達がやってきた場所には大きな穴が開いている。
「これはどういう事アルか?」
「今泉から逃げる際に出来た穴で、かくかくしかじか…」
(詳しくは
第6章・魔銃光殺砲7」を参照あれ)
カルディナが今泉の持つ魔銃光殺砲を撃つ時の出来事をみんなに説明した。
「そうだったアルか。」
「まあ、無事でよかったわ。」
「…でも、攻撃を止める事が出来なかったのは悔しい。」
「仕方ないわ、1人で出来る事は限られてるもの。」
確かに1人で出来る事には限界がある。だが、
「4人いれば1人で出来る事よりは多くの事が出来るわ。」
「そうネ、4人は
仲間アル。」
「協力出来る仲間がいる事が重要さ。」
「仲間、か。うん、そうだね。♥」
巡り合ったきっかけは偶然でも、こうして知り合った中で苦楽を共にする事によって仲間となる。
実に素晴らしい事じゃないか。麗華から「仲間」という言葉が出た事には驚きだが。w
「それにしても魔銃光殺砲ってデカイんでしょ、それがこの場所から消えるなんて…」
「そうアルなぁ、神隠しにでもあったかもネ。」
「麗華、お前アホだろ。」
「むか~っ、何で私アホなのぉ?」
「良く見ろよ。」
そう言ってレオーネが指差した先にはず~っと何かを引きずった跡が。
「これって何アルか?」
「そりゃ、見ての通りだ。」
「見ての通り、って何アルか?」
「だから見ての通りだって。」
「だから見ての通り、って何アルか?」
「だから、だから見ての通りだって。」
「だから、だから見ての通りだから見ての通り、って何アルか?」
「だらからだから、見てのと…」
バコッ!!!
「え~い、うっとしいわ!?」
普段はおとなしいシルビアもさすがにこの押し問答は我慢の限界だったようだ。(爆)
「で、結局何アルか?」
「結局は見ての通りだっ…もごもご…」
「もう、レオーネは喋るな。(爆)」
「要は引きずってこの場所から移動させたって事ですよ。」
「な~んだ、そうだったアルか。レオーネがもったいぶるから何だろうって思っちゃったネ。」
「モッ、モゴモゴッモッ。」
「レオーネは罰としてしばらく猿ぐつわしたままの刑。」
「(*´;ェ;`*) ソンナセッショウナ…。」
つまり、砲台を移動させたという事だそうだ。
「では、後を辿れば魔銃光殺砲の砲台が見つかるって事か。」
「ま、そういう事ね。」
「じゃ、みんなで後をつけるアル。」
「前置き、長いっちゅ~の。w」
話が脱線したが、レオーネ達はこの跡を追っていく事にした。
ステーキは~ 歩いてこない だ~から買い物に行くんだネ~ 1日1枚 3日で3枚
散歩の合間に買い物だ~♪
「な、何なんだ麗華、その歌は?」
「え、さっき即興で思いついた歌アルが、どうかしたか、レオ。」
「う~ん、あんましツッこんで聴かない事にするわ。」
「そうか、レオ、ちょっと変アル。」
(変なのは麗華のその歌だよ)
な~んて思ったが、後が怖いので口に出して言う事はなかった。w
「あ、ここで跡が終わってる。」
「そうですね、ってここは…。」
ずっと砲台を引きずった跡を追って行ったレオーネ達だったが、途中でその跡が消えている。
そして、その先には長いレールが。
「こ、これは…」
「これは
ウィルベリーニ横断鉄道ですね。」
「ウィルベリーニ横断鉄道?」
「そう、ウィルベリーニ横断鉄道ってのは魔道列車っていうヤツなのよ。」
「魔道列車って何アル?」
「う~ん、ちゃんと説明する必要があるわね。」
<ウィルベリーニ横断鉄道>
左右に長いウィルベリーニの物流をつかさどる貨物運搬鉄道をウィルベリーニ横断鉄道という。
列車を引っ張る機関車の動力は
エネルギア鉱石という放熱魔力を持つ鉱石を用いる。
これらの放つ熱を凝縮し発散される熱を燃料に変換させ列車を引っ張る動力に使うのである。
その為、ウィルベリーニの人々はこの列車の事を魔法の力で道(線路)を走る列車という意味で
『
魔道列車』と呼んでいる。
貨物運搬鉄道というからには貨物運搬がメインの鉄道であって、人の運搬は行っていない。
人の運搬を行わない理由は、2つ。この列車の名前を魔道列車というのは先に述べたが、
エネルギア鉱石かた放たれる熱を動力の元に変換する際、超高周波が出る事が判明した。
その為、客車を設定してもその超高周波が人体に与える影響が非常に大きく人を乗せての
交通手段には不向きなモノになってしまっていた。
「失敗作」と言われていたウィルベリーニ横断鉄道を作っていた会社は志半ばにして倒産。
その続きは国有化という形で継続され、貨物運搬専門の鉄道として何とか日の目を見る事が
出来たのだった。超高周波を避ける為、引かれた線路は主要街道を外れた山間を走る事に
なり、その存在もあまり知る人も少ない。シルビアはウィルベリーニ教会組合所属であるが、
実は教会組合って団体は国営なのだった。そんな訳でその組合員はいわゆる公務員である。
その関係でシルビアはこのウィルベリーニ横断鉄道の事を知っていた。
「どう、わかった。」
「なんとなくは…」
「がくっ、こんだけ説明したのになんとなくなの?」
「このウィルベリーニ横断鉄道って存在はわかったが、それが何か問題があるのか?」
レオーネは率直な疑問をシルビアに問う。
「いいレオーネ?このウィルベリーニ横断鉄道が国有化された話は理解してるわよね?」
「ああ。要するにウィルベリーニという国が経営する会社って事だろ?」
「そうです。で、今回魔銃光殺砲の砲台が移動されこの線路の所で引きずった跡が消えた。
それがどういう意味を持つのか、わかるレオーネ?」
「それはつまり、砲台の移動をここからこの鉄道を使って移動したって言いたいんだろ。」
「そうです。で、この鉄道は国営です。つまりウィルベリーニの政府関係者が経営してて、
鉄道の使用には国の許可がいるのです。」
「え、って事は政府に関係あるモノしかこの鉄道は使えないアルか?」
「そうです、麗華さん。ここで1つの結論が出ると思いますが、おわかりになりますか?」
「ま、まさか…今泉は政府関係者と通じていると。」
「残念ながら、その線が非常に高いという事です!」
「何という事だ…。」
一同のため息が同時に出る。
-つづく-