2013年06月19日
5A-FEについてちょっと書いてみる
私のカリーナに搭載されているエンジンは1.5L直4ハイメカツインカムの5A-FEというエンジンだ。
実用性重視の黒子エンジンだが、自分の車のエンジンのことくらいは詳しく知っておこうと思い調べてみた。
カリーナの情報があまり出てこなかったためカローラから5A-FEの歴史を紐解くことにする。
エンジン記号から分かることは「5番目に開発されたA型エンジンで、ハイメカツインカムのEFI車」ということである。
あのAE86に搭載された名機4A-Gの仲間ということになるが、ベースは同じ1.5L直4の3A-U型である。それなら3A-FEとなるはずだが、排気量が1452ccから1498ccと変わっているため数字が変わっている。
5A-FEをカタログスペックで分けると3種類あり、E80系とE90系カローラに搭載された前期型、E100系カローラに搭載された中期型、そしてE110系カローラに搭載された後期型となる。4代にわたってカローラのメインエンジンとして搭載され続けた。
私のカリーナの5A-FEは後期型の5A-FEで、5600rpmで100psを、4400rpmで14.0kgmを発生させる。レッドゾーンはタコメーターでは6000rpmとなっていることから実用性を重視したエンジンと言える。
本来はカローラのメインエンジンという位置づけのため、カリーナでは実用性重視の廉価グレードとなる。カリーナのメインエンジンは2Lの3S-FEだ。
5A-FEが最初に搭載されたのはE90系カローラである。カローラのメインエンジンは1.5Lだがそれまで使っていた3A-Uが古くなったので置き換えるために開発された。
開発コンセプトは
・トップレベルの高性能と低燃費を、求めやすい価格で実現する。
・低速から高速まで、よりフラットなトルク特性を持った、実用性の高いゆとりのあるエンジンとする。
・大衆車、小型車のレベルを超えた心地よい音色を持ったエンジンとする。
流石にトップレベルの高性能とは言い難いが、燃費は非常にいい。私のカリーナで17km/lである。
この5A-FEで最大のトピックはハイメカツインカムの採用による狭角DOHCの実用化だ。
従来のDOHCのようにタイミングベルトで直接カムシャフトを回すのではなく、1本をタイミングベルトで駆動しもう1本のカムシャフトをシザーズギアで連結して駆動させることでコンパクトかつ低コストで4バルブDOHC化を実現した。
4A-Gと比べて-60mmのシリンダーヘッド小型化を実現し、バルブはさみ角も27.1度小さくなっている。
DOHCであるためクロスフローやセンタープラグも実現されている。キャブ仕様とEFI仕様が存在したようだが、キャブ仕様はセダン系とFXの一部のみだった。
EFI仕様はインテークマニホールドがサージタンクと一体で細長くなっていて吸気慣性効果を利用し中低速トルクを向上させている。
スペックは94ps/6000rpm、13.1kgm/4400rpmである。
こうして生まれた5A-FEだが、DOHC16バルブなのに3A-Uと比べて数値上のスペックがあまり変わらないことから「単なるギミックに過ぎない」「何がハイメカなのかわからない」と酷評された。
確かに数値上はネット換算の3A-Uと比べて12ps 0.9kgmの性能向上だが、体積効率やフリクションロスは3A-Uを大幅に下回っている。
この前期型5A-FEは高性能をアピールするためにプラグコートが赤い。
1989年のマイナーチェンジでハイチューン版の5A-FHEが登場。主にレビンやFXに搭載され最高出力は105psだった。
1991年にカローラがモデルチェンジしE100系となる。
5A-FEも改良を受け中期型になる。まず吸気バルブ径を1mm拡大しリフト量も1mm増やした。バルブ挟み角に変更はないが吸気ポートを立ててストレート化、流速を増して燃焼速度を向上させた。
またエアクリーナー上流まで含めた長さを大幅に延長し低速トルクを増大させ、ピストン形状の変更でクエンチエリアも減少させた。その他にも細かいパーツを変更し様々な改良が加えられた。
これらの改良によりスペックは最高出力105ps/6000rpm、最大トルク13.8kgm/4800rpmとハイチューン版の5A-FHEとほぼ同じスペックを誇ることになる。このため5A-FHEは100系カローラには設定されていない。
1995年にカローラはE110系へとモデルチェンジ。このカローラが5A-FEを搭載する最後のカローラとなった。
今回のモデルチェンジで最も話題となったのはカタログスペックが下がったことだろう。それまではモデルチェンジで馬力は上がると言うことがメーカー側もユーザー側も常識であり、馬力規制などが無ければ下がると言うことはなかった。
E110系カローラでは、実用性や扱いやすさを重視してメインエンジンとなる5A-FEと4A-FEで馬力を下げて低速トルクを向上させた。逆にスポーツエンジンである4A-GEは大幅にパワーを向上させた。
5A-FEは後期型になり中期型よりも実用性を重視した改良が行なわれた。インテークマニホールド延長による低速トルク向上や、シリンダヘッド形状を変更して冷却水の流速を向上させアンチノック性を向上させた。
またフューエルカットを触媒保護のためだけでなく燃費向上のために使用するためにカット領域を増量した。
スペックは最高出力が100ps/5600rpm、最大トルクが14.0kgm/4400rpmと中期型5A-FEよりも下がっているが、低中速トルクの向上はドライバビリティの向上に貢献している。
私のカリーナもこの後期型5A-FEである。最大トルク発生回転数は4400rpmだが、2000rpmも回せば必要十分なトルクを出してくれる。VWの低回転重視型、ホンダのVTECのように高回転までビンビン回るというのではなく、どの速度域、回転域でも必要十分なトルクを出してくれるフラットトルク型と言える。
かと言って遅いエンジンというわけでは無く、アクセルに対するレスポンスや制限速度までの加速は非常に良い。ちょっと速度を出して遊ぶこともできてしまう。
いつもは可もなく不可もない実用エンジン。でも頑張れば結構走れる。そんなエンジンである。
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Posted at
2013/06/19 11:30:59
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