ムーヴが事故によりフロントガラス大破、左ヘッドライトカバー破損となってしまいました。
そのままビニールシートをかぶせて1週間以上放置状態だったのですが、警察から許可が出まして修理に出すことにしました。
父親「代車来たで!」
私「スペイド? ベルタ? パッソ?」
父親「ハチジュウハチ!」
私「なんじゃそりゃ」
父親「トヨタのスポーツカー」
私「ああ、ハチジュウロクか。ってそれは無理やろ」
こんなやり取りがありました。
なぜスペイド、ベルタ、パッソなのかと言いますと、ムーヴを購入したカローラ店の代車がこの3つなんです。2年くらい前まではカローラ3台だったのですが、女性ユーザーから不評だったこと、ハッチバックやミニバンが増えてトランクのあるセダンではリアオーバーハングをぶつける人が多かったことなどから入れ替えとなったとか。
今回は保険屋が指定してきた修理工場で修理を行うため、日産 モコが出てきました。
かくいう私ですが、日産車に乗る機会はほとんどありませんでした。父親はマークⅡを3台乗り継いだトヨタ派でしたし、トヨタ以外ではワゴンRとムーヴです。兄が乗っていた3代目リバティ、友人のフェアレディZ、山坂道で出会ったサニーVZ-Rの3台くらいですかね。

兄が乗っていたリバティ
CVTの滑らかな加速は魅力的でした。
さて本日の主役である日産 モコですが、ウィンググリルと日産エンブレムで日産車であることを主張しまくっていますが中身はスズキ MRワゴンです。インパネのデザインもほぼMRワゴンですが、そのほかのインテリアはモコ専用のものだ使用されているとか。
モコの試乗記と言うよりはMRワゴンの試乗記と言ったほうが良いかもしれません。
今回はライバルとしてMC11S型ワゴンRとLA100S型ムーヴを用意しました。
MC11S型ワゴンR SOHC 3気筒 NA 3AT 52ps
LA100S型ムーヴ DOHC 3気筒 NA CVT 52ps
残念ながら写真なし、代車と言うことで助手席試乗です。画像はWikipediaから借りてます。
□エクステリア

ウィンググリルが日産車であることを主張していますが、MRワゴンです。
ワゴンRから始まったとにかく無駄に広いほうが良いという2ドアクーペや高級セダンとはまたちょっと違った無駄の突き詰め方がこのモコにもあります。その販売上の制約の上でデザインをちょっと工夫して他車種と差別化を図っている努力の跡がいろんなところにあります。
可愛らしいデザインは女性ユーザーをターゲットにしたと思われますが、このデザインは個人的にもアリです。初代モコはウィンググリルが浮き気味でしたが、2代目はうまくまとまっていて好印象です。
ワゴンRやムーヴと比べるといくらか購入意欲を沸かせるデザインだと思います。
□インテリア

インテリアがモコの最大の特徴です。
丸を多く使った可愛らしいデザインが多用されていまして、ドアパネルのファブリック内貼りやインパネの白い部分などはちょっとデザインが工夫されてビスケットの様になっています。これは好印象。
室内はムーヴと比べるとやや狭いですが必要十分な広さ。天井も高いため乗降性の良さに貢献しています。
インパネ全体を低く抑えたことも好印象。視界がより広くなりますし運転しやすいです。
□シート
シートはワゴンRからは進化しています。軽自動車のシートというのは乗降性・低コストなどが優先されサポートもクッションもダメダメなことが多いです。LA100Sムーヴもそのお仲間。特に座面が短すぎてただでさえ低いサポート性がさらに残念なことになっています。
モコのシートはそれに比べればまだかろうじて最低限のサポート性が残っている感じですが、もう少し座面が大きいほうがよかったかな。
軽自動車は小さい空間を大きく見せようと様々な工夫を凝らしていますが、その一つがシートを小さくすること。中にある物を小さくすることで相対的に広く見せようと言う魂胆ですが、私が軽自動車と言うものを嫌う理由の一つでもあります。特に最近のダイハツ ノーマル系のシートは……。
□動力性能
最初はCVTだと思っていたのですが、エンジンの音から4ATだとわかりました。4ATなんていつ乗ったかなと思い返してみると、ついこの前に六甲で試乗したグレイスと、高速教習で運転したコンフォートでした。AT車の運転の仕方が分からず「すいません、AT車ってどうやってエンジンかけるんですか?」と聞いたほどAT車と縁がありません。最近は少しずつAT車に乗る頻度が増えてきましたが、それでも一つ一つの手順を確認しながらエンジンを始動させています。
古き良き響きを感じさせる4ATは変速ショックもなく淡々とシフトアップさせていきます。ただ、トヨタ系4ATやCVTに乗りなれてしまったのか、トルコンのスリップが非常に大きいと感じました。ロックアップしていると感じることが出来るのは4速のみ。1-2-3速では無駄に回転数が高くなってしまいます。これもまた加速の鈍さに繋がっているようです。せめてT210系カリーナのような絶妙なロックアップを実現できなかったのかなと。
シフトダウンは少し苦手のようでして、3速に入った状態で再加速しようとアクセルを踏んでも一瞬のタイムラグがあります。
また、最近のCVTと比べるとエンジン回転数がやや高めになってしまうため騒がしいと感じることも。
エンジンはK6A型 3気筒 NA DOHC 54psと、平凡なエンジンです。トルクは必要十分ですが、4ATではちょっと辛い部分もあります。またムーヴと比べてやや重いため加速の悪さに拍車をかけています。
□燃費
モニターに表示された平均燃費は13.9km/lでした。ワゴンRで約13km/l、ムーヴで約20km/lと考えるとやはり4ATとCVTの差は大きいです。
□足回り
ロールスピードの調整がスズキらしい感触があります。ワゴンRと比べると走行距離の違いもありますが(ワゴンR 8万km、モコ 3万km)、モコのほうがロール制御が良いと感じました。
普通に道を走るだけなら揺れが続くこともなく小刻みに揺さぶられるような動きもありません。ただ大きなギャップは苦手なようです。
問題はボディ。ワゴンRからあまり進化していないような印象があり、ちょっと大きい道路のギャップ(大きいと言っても見た目ではほとんどわからない)を乗り換えたときに大きな突き上げとボディ全体のキシミがありました。
こういう部分ではやはり設計が新しいムーヴが有利です。
□総評
インテリアのデザインはかなり頑張ったほうだと思いますが、全体的にはただの古い軽自動車。最近は走りがどうたら足がどうたらと軽自動車も「乗って買う」時代に入ってきていることを考えると、デザインと中古車価格の安さ以外では買う理由が見当たりません。
シティユースで見た場合では可もなく不可もなくな性能を提供してくれるのでデザインが気に入って動力性能に不満が無いのであれば購入候補には入るかと思います。また動力性能の改善が見込めるターボモデルをねらうのもアリです。
最近は軽自動車も「乗らずに買う」から「乗って買う」になってきまして、走りがどうたら乗り味がどうたらと昔では考えられなかった状況です。でもベーシックなNAの軽自動車ではまだまだ「乗らずに買う」時代は続くのかなと。
今回の試乗では修理工場の代車だったためいくつか気になることがありました。
・ヘッドライト
私が以前つけていたレイブリック サーキットクリアに迫る明るさでした。見た感じでは純正マルチリフレクター + ハロゲンだったのですが、もしかしたら純正バルブではないのかもしれません。
・ワイパー
走っていると雨が降ってきたためワイパーを作動させたのですが、猛烈なビビり音と盛大な拭きムラが……。帰宅後に確認してみるとワイパーはとっくの昔に寿命を過ぎていると思われる状態でした。フロントガラスもコーティングなどは施工されていないようです。
代車で雨の高速道路を走ることは滅多にないと思いますが、ちょっと保険屋指定の修理工場にしては酷いなと。
・フロアマット
動きます。マットは純正と思われ、裏面には固定用のいぼいぼがついてあるのですが、全く役に立たずズルッと滑って動いてしまいました。もしかしたらマットを2重に敷いてあったのかもしれません。