2013年07月05日
それはドイツです。
ドイツは環境問題に対して積極的に取り組んでいるという評価を出している人が多いのではないでしょうか。
確かにメルケル政権はエネルギー・環境政策を最重要政策として扱っています。2009年頃から電気自動車推進政策を掲げています。
ですが、ドイツは2020年の欧州CO2規制に反対しています。不況下で企業の経営や雇用に影響のある規制は避けるべきというのが理由のようです。確かに一理ありますが、規制に賛成しているイタリアやフランスのほうがその影響は大きいと思います。またGM傘下のオペルや欧州フォードは経営状態が良くないにもかかわらず賛成しています。
確かにこの規制は非常に厳しいものです。1年間のメーカー毎に販売した新車の総平均CO2で規制すると言うもので、規制値は1kmあたり95g、燃費値では24.3km/lです。この数値を超えてしまった場合は罰金が科せられます。
おそらく欧州不況の中でも利益を上げているドイツ高級車メーカーを守るためでしょう。大きく重たい高級車では規制値のクリアは非常に難しくなります。対してイタリア・フランスの自動車メーカーは小型車が中心です。
おかしいと思いませんか?
本当に環境政策を重要視するのであれば今回のCO2規制に反対するなんて考えられないです。理由としている雇用への影響もドイツが一番大きな影響を受けるわけではありません。
反対する理由には2020年までに普及が進むと思われていたドイツ製電気自動車の普及が思ったよりも進んでいないという背景もあると思います。
電気自動車の売れ行きが良くなれば手のひらを反すように賛成の態度をとるでしょう。
上に書いたように日本ではドイツを環境先進国だと評価している人が多いと思います。
私はドイツをそのように評価していません。巧みなイメージ戦略で獲得した評価であり、実態が無い国だと思っています。例えば太陽光発電ですが、日本でも取り上げられて脱原発運動を後押しする形になっていましたが、これは完全に失敗しました。
自動車で言えばアウトバーンが有名ですね。確かに長距離を安全に高速で移動できる道路というのは非常に魅力的です。
ですが速度が上がれば燃費は悪化しCO2排出量は大幅に増えます。ドイツ政府は推奨速度を130km/hと定めていますが、150km/h以上は当たり前です。イタリアやフランス、ベルギーでは制限速度を120~130km/hに定め、一定区間の平均速度が5km/hでも超えたらダメと言う非常に厳しい取締りを行っています。
Youtubeでアウトバーンの走行動画を見ていると、250~300km/hで走る高級車やスーパースポーツカーが多いです。環境先進国を謳うのであれば、なぜこういう車を取り締まらないのでしょうか。ドイツが抱える大きな矛盾の1つです。
快適な環境を手放したくないと言うのはわかりますが……。
日本車はプリウス、アクアクラスのHV車はこの規制をクリアしています。アコードハイブリッドはクリアしていませんが、発売が噂されているフィットハイブリッドであれば十分クリア可能です。
欧州車では小型ディーセル車以外では絶望的と言っても過言ではありません。高級車や高級スポーツカーはディーゼル、ガソリンともに難しいでしょう。ダウンサイジングターボだけではもうやっていけない状況が訪れています。
まあこれは日本の高級車にも言えることです。特にレクサスの上級車種は厳しいでしょう。
日本にもこれと似たような問題があります。それは規制が緩すぎると言う問題です。
日本の2020年基準はJC08で20.3km/lです。あまりにも現実から離れすぎた規制値です。プリウスで32.6km/l、アクア35.4km/l、アコードHVは30.0km/l、新型フィットHVは36.0km/lです。もう完全にクリアしていますね。これは日本の規制値ではなく欧州や北米の規制値を念頭に車両開発を行った結果です。
欧米に全てならえばいいと言うつもりはありませんが、もっと厳しい規制値を設定して国内で競い合うことも技術の発展には必要なのではないでしょうか。
Posted at 2013/07/05 09:57:27 | |
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