最近の車はシーケンシャルシフトなるものがついていることが多くなった。
MTのクラッチ操作を油圧で自動化したものや、ギアの系統とクラッチを2つもち切り替えるもの、トルコン式ATに切り替え機能を付けたもの、CVTでギア比を固定できるようにしたものなど様々だ。
一昔前までスポーツカー = MTという認識があった。スポーツカーでATなんて乗っていると馬鹿にされた。
でも今はF1でさえクラッチレスだし、0.1秒で変速してしまうATなんてのもあってMTは楽しむためのものという認識が広がった。ATスポーツがここまで市民権を得たなんて20年前のスポーツカー乗りに言ったらどんな顔をするだろうか。
MT設定が無いスポーツカーはどんどん増えていくのだろう。
スポーツ系ATは全自動のDレンジと、手動で切り替えるSもしくはMレンジがある。
トヨタのマークXはSレンジ、クラウンアスリートはMレンジで、違いはSレンジはシフトアップの上限を決めるだけのものなのに対して、Mレンジはちゃんとシーケンシャルでのシフト操作を受け付けることだ。要はSレンジは安物ということになる。
これはトルコン式ATの場合で、CVT車ではちゃんとシフトアップもシフトダウンも受け付けてくれる。
他社の車ではどうなっているのかよく知らないのだが、おそらくシフトアップの上限を決めるだけのものはマークXだけだろう。ちょっと古い6速ATだから仕方ないのかもしれない。
さてタイトルのプラスとマイナスだが、これはシフトアップとシフトダウンを表していてシフトレバー横に表記されている。
このプラスとマイナスの並びは「奥に倒すとシフトアップ、手前でシフトダウン」「奥に倒すとシフトダウン、手前でシフトアップ」の2種類がある。パドルシフトやポルシェのステアマチックもあるが、ここでは気にしない。
見た目では前者が自然に見えると言う人が多いと思う。確かにプラスが上側にあることになり、視覚的にわかりやすい。

プラスが上にある例。E16#系カローラフィールダー
しかし実際に運転してみると、後者の「手前でシフトアップ」のほうがやりやすいことがわかる。

ランサーエボリューションXのTC-SSTシフトレバー。手前にプラスがある。
加速時は慣性の法則でドライバーは後ろ方向にGを受けることになる。その状態では引っ張る操作のほうがやりやすいだろう。
減速時は前方へGを受けるから、加速時とは逆に押す操作がやりやすい。
トヨタが最初にシーケンシャルを採用したのはZZW30型MR-Sで、その時は手前がプラスだった。トヨタにもスポーツドライビングをちゃんと考えている人がいるんだなと思ったのだが、そのあとから出たトヨタ車はほとんどが奥がプラスだった。チーフエンジニアはDレンジでしか確認していないのだろう。
ちなみにレクサスのIS Fもトヨタと同じく奥がプラスだ。チーフエンジニアは初めてレースカーに乗った時の喜びを感じてほしいとか話していたが、そういうことを言うのであればちゃんと研究してほしい。あ、そうか。IS Fはパドルが付いているからシフトレバーなんてどうでもいいと言うことか。
BMWはちゃんと手前がプラスだ。やっぱりドイツ車は違うなと思っていたらアウディは奥がプラスじゃないか! 一体どういうことだとVWゴルフを調べたらゴルフも奥がプラスだ!
じゃあメルセデスはどうなっているのかというと、ちゃんと手前がプラスになっている。ああ、さすがベンツ。でも出来れば対抗ピストンを全車に装備して「最善か無か」をもう一度と言いたい。
ちなみにドイツ車以外ではフィアット500なんかはちゃんと手前がプラスになっている。
いやまあプラスとマイナスの位置だけで車の良し悪しが変わることは無いけれど、力の入れ方が違うなあと感じてしまう。
※追記
日本車初のクラッチレスMTであるいすゞNAVI5は、なんとHパターンだったらしいです。
左上に「1」、左下に「2」、右上が「D3」で右下が「D5」、更に右下に「R」。2代目ジェミニの最終型では「D5」の位置に「D4」が配置され「D5」は右上になり5MTと同じになりました。
一般的なクラッチレスMTはシフトダウン時に回転数が規定値を超えると判断されるとシフトダウンがキャンセルされますが、NAVI5はキャンセルせずにシフトダウンを待機し回転数が規定値を下回ると判断されると自動でシフトダウンしていきます。
当時のコンピュータ性能の限界からか制御がいまいちで評価を落としてしまいましたが、後の12速ATスムーサーに受け継がれています。
Posted at 2013/08/15 10:35:23 | |
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