
共和党のトランプ氏(70歳)が次期アメリカ大統領になることが、3日前に確定した。
彼は不動産ビジネスで成功を収めた金持ち実業家で、議員や知事や公務員の経験がない人物だという。日本の首相は、国会議員である与党の党首が指名されるが、この日本の常識で考えると、「あの人で大丈夫なのか?」と思わざるを得ない。
今回の大統領選挙では、得票数では民主党のクリントン氏が勝っていた。
2000年の大統領選挙でも、ビル・クリントンの副大統領だった民主党のアル・ゴアが、共和党のジョージ・W・ブッシュに、得票数では勝ちながらも敗れていた。
アメリカ大統領選挙は、ほぼ直接選挙なのに、必ずしも多数決では決まらないという奇妙なルールになっている。それは、有権者の投票によって州ごとに勝者を確定し、その勝者に、州に割り当てられた選挙人の全員が投票するという仕組み。全体の得票数で勝る候補者が最終的に敗れる選挙制度というのは、よほど説得力ある理由がない限り、大半の有権者には支持されないと思うのだが。
アメリカは来年から、連邦議会から大統領まで、共和党が政権を握る。行政や議員の経験がない老齢実業家のトランプ氏が、共和党の政策や主張に対してどの程度協調した政治を行うのか、そして得票数で勝っていたクリントン氏の支持者・民主党の主張にどれだけ耳を傾けるのか、そしてどんな変革を実行するのか、今後の動向を注視したい。
近年の先進国の経済は、異常な低金利・ゼロ金利によって下支えされている状況だが、その中でアメリカ経済だけは全体として好調を維持しており、政策金利の緩やかな上昇も見込まれている。米国株価の指標である S&P 500 の最近の値は、リーマンショック後の2009年の安値と比べて約3倍まで上昇している。元金が7年で3倍になる利率を計算すると、年率17%になるはず。経済成長が安定して持続すれば、低リスクの投資先として世界から投機資金が集まり、株価は更に上昇する。しかし、人口増加には限界があり、社会の年齢構成は変わり、国際的競争の環境も変わる。平均株価の下落傾向が明らかになると、「山高ければ谷深し」となり、特に米国株式に投資している世界中の企業・金融機関・投資家は、大きな痛手を被ることが予想できる。来年からのトランプ・共和党政権においては、一段と困難な仕事が増えるのではないかと思う。
Posted at 2016/11/12 12:36:14 | |
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