行きつけのキャバクラのなじみのってか、腐れ縁の女の子と談笑していた楽しいひと時
「もし、私が癌だったらどうする?」
会話がとまった。
和やかな空気が一瞬のうちに凍りついた
場を盛り上げようと
「もし、お前が癌だったら、・・・・・・・でもそんなの関係ね~~~」
「はいっ、おっぱっぴ~~」と笑いに持ち込もうとしたんだが
彼女からの次のセリフは「もし、癌で胸を切除しなくてはならなくなったとしたらどうする?」
この時点で言葉のキャッチボールではなく、もう、戦争に発展していたのかもしれない。
打ち返してやる・・そう思ったら、言葉は、もう暴力的になっていた。
「だって、お前胸、男じゃん、これ以上どこ削れってんだよ~~~」
心の中では「やべっ、言い過ぎたかな?」と思っていたが、お灸をすえてやろうと考えてたのでエスカレートしていった。
口を押さえ、今にも泣き出しそうな顔で彼女は席を飛び出していった。
場のムードがもり下がったので、親父ギャグで盛り上げ、みんながほろ酔いになり、彼女も戻ってこなかったので帰ろうと席を立ち、会計を済ませようとしていたときだった
マスカラやアイシャドーが涙で落ち、人前にその顔で出るなよ~と思っていたのだが崩れた化粧の少し素顔が見えるその顔にドキッとした。
何か今まで雲がかかってたのが取れてすっきりとした快晴の笑顔がそこにあった
「何かあったのか?」 聞いてみた。
手に何か持っていたのはわかっていたのだがなんだろな?ぐらいにしか思っていなかった。
「はいこれ」差し出された手には本があった。
受け取ってタイトルを見た。
余命一ヶ月の花嫁 そう書いてあった。
「最近の小説ってみんなこんな感じなの?」この時点でせかちゅう(世界の中心で愛をさけぶ)かと思っていたのだが
「これ、ついこの間の出来事よ、実話だよテレビ観てないの?」
「俺んち、テレビ無いよ」
「じゃ~、これ貸してあげる」「泣けるよ」
まんまとお嬢のまた来い戦略にはめられてしまった。
年が新たな時代に変わり、仕事もひと段落し、借りていた本でも読んでみるかとページをめくっていった。
24歳、若い女性、癌、余命1ヶ月
物語を書くのだったらこれ以上無いソースだと思った。
最初のページの写真もかわいい役者、かっこいい役者、しぶい味のある役者だと、そう思っていたのだがお嬢の「実話だよ」が気になり動画サイトをさがしまくったら出てきた。
本と動画を見比べてみた
そこ映し出されていた映像にはかわいらしい女性が癌と闘っている、今まさにその最前線にいる姿だった。現実だった
余命1ヶ月 このことを彼女は知らない
その中で彼やお父さんや友達みんなが結婚式を挙げてやろうと、その心意気に動画を観終わったあと涙があふれ、止まらなかった。
ちょっとテレビを買いに行ってくるよ
お嬢に本を返しにいってくるか
あとがき
半分作り話(お嬢の設定)
半分ホント(余命1ヶ月の花嫁)
テレビが無いのもホントで、本屋で暇つぶしに何か無いかな?と探していたときこれを手にしてました。
動画のほうよりも本のほうが少し詳しく書かれています。
女性の20人に1人が乳がんにかかるそうです。
その中で若い人だと圧倒的なスピードで癌に蝕まれ他の臓器に転移しやがては死に至るそうなので、少しでもおかしいな?と感じたら検診を受けましょう。
2007年5月6日午後4時42分享年24歳
親父も癌で亡くしたので彼の気持ちは少しわかります。
あの世で、痛みが無い世界で何やってるのかな~なんて思いながら
亡くなられた長島千恵さんのご冥福をお祈りします。
Posted at 2008/01/04 20:45:01 | |
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