北海道の旅も終盤戦です。
ここでこの旅のまとめを。
一日目 大阪?舞鶴?新日本海フェリー
二日目 新日本海フェリー?小樽、旭川
三日目 旭川?稚内?利尻
四日目 利尻?宗谷岬?興部
五日目 紋別?サロマ湖?網走?屈斜路湖?陸別?帯広
ぐるっと北海道の北半分を走破して、帯広でラリージャパンのLEG1を飛び入り観戦し、道の駅で車中泊しました。そして・・・
六日目の朝、士別の道の駅で目覚めた私は、フロントウィンドに滴る雨粒とその向こうに広がるどんより曇った空を見て、泥だらけのラリーステージを想像します。
眠い目をこすりつつ、再び陸別へ向かいます。同じ道を通っても面白くないので、北周りで足寄方面から陸別に入るルートを選択。士幌から北へは絵にかいたような北海道の農場が広がっています。まっすぐの道、防風林、一面に広がる畑。牧場。あいにくの雨ですが。
農場地帯を過ぎ、東へ進路を変えると、森の中を進みます。車もほとんど通らず、たまにイトウが棲んでいそうな美しい川を超えます。更に長い峠道のようなワインディングを下り、足寄の町へ。足寄から陸別へ。
陸別のオフロードコースに着きます。駐車場には車がいっぱい。
荷物を背負って、コースに入ります。
観戦ポイントはいくつかあるのですが、山の上の方なので完全にトレッキングです。それに雨が降りしきっているので足元はぬかるんでます。会場わきの広場には、参戦メーカーの新車が展示しています。ランエボワゴン、スイフトフポーツ、インプレッサWRXStiなどなど。出たばっかりのシトロエンC4もあったかな?
なぜか当時の私、ホイールに興味があったみたいです。
ひとまずSSのスタート地点の先に行ってみます。コース脇に登山道のような小道があり、すぐ横で観戦できます。結構人が多くてあまりいい位置には入れないですが・・・。
目の前を全開加速していくラリーカーを眺めますが、一瞬で通り過ぎるので良くわかりません・・・写真もご覧の通り撮影不可能。
雨がとにかく降りしきって寒いし、結構難渋したので、コース後半が見渡せる丘の上に行ってみました。すると、結構迫力の走行シーンを見ることができました。でも小さくて、もっと近くで見たいなあ・・・。道路脇がベストのようです。
SSも終わり、びしょぬれになって車に戻ります。この日は天気が悪いのでとにかく写真が無い!この後、夜の札内のSSに向けて、再び帯広を目指します。
朝のルートを引き返し、夕方前には札内につきます。しかし、駐車場が広大ですねえ。レンタカーのWRブルーのインプレッサ(1.5)が目立ちます。夜はSSを観戦。ソレナリに迫力が有りましたが、情報が無いのでただ2台が走るだけ、とショー的要素は低かったですねえ。
最近の札幌ドームのスーパーSSは良くなっていることでしょう。
それより、連日の爆走と車中泊でどうも疲れているようで、布団で寝たい願望が高まってきます。なんとか宿を探すべく、携帯じゃらんで検索してみますが、帯広市内に宿があるわけもなく・・・遠く阿寒湖温泉に一軒だけ宿が空いている・・・ひたすら悩んだ末、予約し、阿寒湖に向かいます。2食付きだけど、晩御飯には絶対に間に合わないので、電話で飯が要らないことを連絡します。
真っ暗闇の中、阿寒を目指します。この時の記憶はほとんどありません・・・。
なんとか阿寒湖につきましたが、宿の場所がわからずうろうろ。宿に電話して場所を聞いたら何となくわかって、宿に到着。宿の前でおかみさんが待っていてくれています。この時点でほぼ夜中の12時。翌日は朝の6時に宿を出ないとお昼のSSに間に合いません。なので、5時過ぎにモーニングコールをお願いしました。そして、とにかく寝たかったので朝ごはんもキャンセルお願いすると・・・
あら、そんなに早くどこに行くの?
帯広です。ラリージャパンを見に行くんで・・・
あらそんなに遠くに大変ね。
今日も帯広にいたんです。
あらまあ、わざわざこんなところに泊まりにきたの。
布団が恋しくて・・・。
どちらから来たの?
大阪です。休みをとって、北海道に来てます。フェリーで小樽について、利尻島に行きました。ソイがいっぱい釣れました。いいところでした。
ソイには2種類あって、アオゾイとクロゾイだったかしら。アオソイの方が美味しいのよね。
そうですか、僕が釣ったのはどっちだったかな・・・。
とにかく、朝ごはんは食べないとだめよ。用意してあげるから食べて行きなさい、ね?
という成り行きで朝食も5時半にお願いしました。迷惑な客ですねえ。でもおかみさんはほんとに丁寧でやさしくて、いい人でした。
宿の主人は、釣りやスキーやらなんでもするんだけど、普段はタクシーの運転手をしているとのこと。それでおかみさんが一人で宿を切り盛りしているようでした。
どうも、客は私一人の様子。けっこう大きい宿なんだけど。部屋に通されて、温泉に入りますが・・・暗くてワイルドな温泉でした・・・。
風呂に入って、部屋に戻ってバタンキュー・・・
・・・
気が付くと部屋の電話が鳴っています。旧型の電話の鳴り方でジリリリリリリ・・・ジリリリリリリリ・・・・
ここはどこだっけ・・・
そうだ、阿寒湖温泉の宿だ。今日は北海道最終日。帯広に行って、SSを一つ見て、小樽まで行って、フェリーに乗り込むんだった。
頭はちっとも目覚めず、冷たい廊下に出て洗面所で顔を洗います。
荷物を支度して、1階の広間で朝食です。広い宴会場の端に中央に向かってお膳がひとつ。
「あら、おはようございます。ぐっすり眠れました?」
「ええ、まあ」
「朝ご飯大したものは無いけれど用意しましたから食べて行ってね」
私が一人で食べていると、部屋の反対側の端におかみさんがこちらに向かって座っています。とっても奇妙なポジショニング。
うーん食べにくいなあ。3割くらいしか覚醒していない頭でそう思いながら、でも美味しいと言いながら朝飯を食べます。
何とか食べて、おかみさんに礼を行って宿を出ます。
さあ、相棒よ、北海道最後の日、頑張って走ろうぜ。
阿寒湖から十勝方面に行く途中、横道にそれると、オンネトーがあります。
一昨日は急いでいた為、スルーしていましたが、今日は寄ってみることにします。今日も急いでいることに変りは無いのですが。
国道から脇道に入って、しばらく行くと湖が現れます。朝日を浴びて美しい湖面と、雨上がりの素晴らしく新鮮な空気に深呼吸してしまいます。
でも、ゆっくりしている時間がないので、先を急ぎます。国道に引き返すのももったいないので、この先ダートですが進みます。
道幅は結構広いのですが、深い森の中のダートワインディングを往きます。そのうち森が開けて巨大なフキが生い茂る林になります。フラットな砂利道なので、リアを滑らせながら意外とスピードは出せます。気分はグラベル。フォレスターStiⅡはリアのトルク配分が高いので、安定したFRのような挙動で楽しいです。
グラベルを突破して国道に合流。あとはひたすら帯広を目指します。
お昼前に北愛国のサービスパークに到着。明るいうちにサービスパークを見たかったのです。Leg2までは、スバルのペターソルベルグが一位。もちろん地元スバルの勝利を信じていたのですが・・・サービスパークの順位表からペターが消えています・・・。ん?なんでだろう?状況が良くわからないままスーパーSSに。やっぱりペターは走りません。
(その後帰宅してからペターは最終日午前のステージで、前車が掻き出したと思われる大岩にヒットして、リタイアした事を知りました。優勝目前だっただけに、スバル関係者の落胆ぶりは想像に難く無いです・・・)
結局、結果を見届ける前に小樽へ走りだしました。狩勝峠を越えるあたりから、一本道なので、ノロノロ運転が始まります。
日も傾きだし、名残惜しい帰路です。夕張を超え、道央道を抜け、小樽についたころはもう夜。
フェリーに乗り込み、横になります。本当に疲れました・・・。
次の日は台風が近づいていることから、一日中荒れた天気。船は尋常ではない揺れ方をします。絶対船酔いすると思ったので、ひたすら横になっています。5秒かかって3メーターあがり、5秒かかって3メーター落ちる、という大きい揺れを感じながら・・・今回の旅を思い返していました。
今しかできないことを全力でやろう、20代最後の年を前のめりで終えよう、そう思って飛び込んだ北海道は、それはそれは内容の濃いものでした。思い残すことは無く、全力で走った一週間でした。全行程2000km以上走りました。20代に別れを告げ、ちょっと大人になったんじゃないかな?という手応えの様なものが芽生えていました。
翌日の夜、舞鶴に到着、真夜中の舞鶴道をひたすら走ります。本州の道に軽い違和感を感じながら。
すると、真っ暗な高速道路の前方を走る一台の車にくぎ付けになりました。
走行車線をどっしりと安定感抜群に走り続ける一台の車に。
車高は低く、ヒップは高く、幅が広く、それでいて上品。
だんだん近づくと、それが今年出たばかりの新型ロードスターだということが分かりました。
うー、なんだかいいなあ。軽くてコンパクトで必要最低限で、でも大人が乗っても似合う。
けっして偉ぶらず、自分のペースで人生を楽しんでいるような、そんな雰囲気を感じました。
そのクルマに近づいて、トンネルの中で追い抜いた時の事は今でも良く覚えています。
これが、NCロードスターを実車で見た、初めての瞬間でした。
その後、このクルマを2台も買ってしまうなんて、もちろん想像だにしませんでした。
でも、この出会いが少なからず潜在意識に入り込んで、ロードスターを買ってしまう一つの要因になったのではないか!?と今では思っています。
以上、個人的に重要な旅の記録でした。