パーツレビューに掲載したアテンザ中華ナビについて、各種補足と忘備録として記録に残しておきます。
これから、中華ナビを買おうかと悩んでいる方への参考になればと思います。
私の購入したアテンザ・CX-5用中華ナビのスペックは下記のとおり
SOC : RockChip RK3188 Cortex-A9 Quad-Core 1.6GHz
RAM : DDR3 1GB
ROM : 16GB
OS : Android 5.1.1 (4.4もある)
画面サイズ : 10.2インチ 1024×600 静電容量式タッチパネル 5点タッチ
FM : 65MHz - 108MHz
AM : 522KHz - 1710KHz
Wi-Fi : IEEE802.11a/b/g
Bluetooth : 規格不明(v3.0?)
対応プロトコル HTP、a2dp、avrcp
USB : USB2.0 × 3ポート
SDカード : microSD × 1スロット(SDHC 32GBまで)
入出力 : バックカメラ入力(RCA) × 1
映像入力(RCA) × 2 ※フロントカメラ等兼用
音声入力(RCA) × 1
映像出力(RCA) × 2
音声出力(RCA) × 1
サブウーファー出力(RCA) × 1
付属品 : GPSモジュール、電源ケーブル(マツダ24P)、USBケーブル、入出力ケーブル、外付けマイク

<本体と付属品>
数あるナビの中で、私がどうして得体の知れない中華ナビを選んだのか、
メリット・
デメリットから紹介したいと思います。
中華ナビのメリット
●Android端末なので、スマートフォンと同等"程度"の機能が使える。つまりTwitter、インターネットブラウザ、Amazonプライムビデオ、ネットラジオ、Youtube等ありとあらゆるネットサービスが使えます(ただしdTV等使えないものもある)
●バックカメラやラジオ、アンプ内蔵、RCA各種入出力といった車内で使うであろう機能はある程度網羅されている
●車種によってはパネル一体式の専用設計があり、設置が比較的簡易で純正感を失わない
●サイズが選べる。7インチから10.2インチまで。10.2インチの場合は仏壇ナビ感が薄れる(アテンザ用)
●各種機能が拡張できる(ドライブレコーダー、TMPS等)
●AndroidスマートフォンおよびiPhoneとミラーリング表示ができる(AndroidはUSB接続又はWi-Fi、iPhoneはWi-Fiのみ)。つまりスマートフォン内の動画や写真がそのままナビのモニタに写せます。音声も出ます(音声はBluetooth経由)。
●EML327等のBluetooth式OBD診断機があれば、Torque等で水温、油温、DPF周りなど常にモニターできる
●値段が安い(2~5万円程度)
●Wi-Fiデザリングでインターネット接続可能、または3G・4Gの通信ドングルとMVNO等の格安SIMを用意すれば単独で通信可能
●Bluetoothを使ったハンズフリーや音楽再生(ただしバグだらけ)
●日本語対応
●CAN対応のものもある
中華ナビのデメリット
●VICS、ETC連携、フルセグがハードウェアレベルで対応していない。つまり、地デジもECTの利用履歴もVICS情報も見れない使えない。地デジに関しては別途地デジチューナーをつければ使えますが・・・(Android端末用USB接続タイプの簡易地デジチューナーは使えるようです)
●ナビはスマートフォン向けに提供されているサードパーティ製のサービス(GoogleMaps、Yahoo!ナビ、MapFan等)に依存する。また、それらの起動にちょっと時間がかかる。そして一部オフライン専用アプリを除くナビアプリは通信環境が必須
●各種センサー(車速、加速度、方位、三次元ジャイロ)が搭載されていないのでナビにおいてはGPS情報のみとなる(トンネル等では自車を見失ったり、高架下走行などの誤検知など)
●液晶パネルがTN型液晶で視野角に問題あり(国産ナビもほぼそうですが)
●HDMI入力がない
●光学ドライブがない(DVDが見れない、CDが聴けない)※ついているものもある
●Android機としてみればロースペック(Antutuベンチ 25000程度 初代XperiaZよりちょっと劣る)
●起動に20秒程度かかる。(ただしバックカメラは即使えます。※後述)
●カスタムROMへの書き換えがほぼ必須(※後述)
●寿命が心配
●作りは大雑把
●単独ではサウンド周りが弱い(各種調整機能・アンプが貧弱)
●技適非対応(Wi-Fi・Bluetooth)
と言った具合です。
まとめると、ほぼAndroidスマホと変わりません。メリットもデメリットもほぼ同じです。
それじゃあ、安価なAndroidタブレットをマウントして使えばもっと安いんじゃないか?と思われますが、最大の利点は車載用として専用設計されている点です。
エンジンスタートとともに自動で立ち上がり、エンジンOFFとともに自動でシャットダウン又はスリープ。アンプも内蔵で車内スピーカーにつなげれば単独で音が出せる。ステアリングスイッチも使え、バックカメラ等もサポートしています。
ナビはGoogleMapsやYahooナビ等のサードパーティに依存するため、ナビを頻繁に使う人には向かないと思います。
また、車速を見ないうえ、加速度・ジャイロ等のセンサーを内蔵していない分、GPS頼りとなるためスマートフォンよりも精度は落ちると思います。ですが、私が購入した中華ナビのGPSユニットは常時7~10のGPS衛星を受信しており、精度も全く問題なく実使用にさほど問題はありませんでした。電子コンパスを搭載していないので、ナビを起動したときに明後日の方角を向いているのはご愛嬌。
どちらかというと、エンターテインメント向けの機器ですね。
SDカードやUSBメモリ、ポータブルHDD等(最大2TBまで)をサポートしているので、大量の動画や音楽ファイルを再生できます。
中華のSoCにありがちな無駄に高性能なデコーダーを積んでいるので、ほぼすべての動画ファイルを再生できます。
極彩ナビも720Pまでの(1280×720)のBaseLineでエンコードしたmp4のみサポートしていましたが、解像度やファイル形式を問わずある程度は再生できるので、そのままUSBメモリに入れておけば大抵を再生できます。
ミュージックファイルも、好きなミュージックアプリで再生でき、アプリによっては汎用性の高いm3u等のプレイリストもサポートするので、極彩ナビ使いでは悪評高いKME(KENWOOD MUSIC EDITOR)を使ってプレイリストを組む必要もなくなります。
最近流行りの聴き放題サービル(GooglePlayMusicなど)を単独で使えたり、インターネットラジオやYoutubeなど様々な動画や音楽サービスを制限なくいつでも使えるのは大きなメリットです。
運転中の画面への注視は厳禁ではありますが、TwitterクライアントやLINE等も使えるので、停車中にさっと確認するくらいは使えます。
Google音声入力ももちろん対応しているので、純正ナビや国産ナビよりは目的地検索なども正確で早いです。
ナビを操作するのが億劫であれば、手持ちのスマホの画面をミラーリングでそのまま映せますので、「スマホの画面をただ映すモニタ」として使えます。HDMIが非サポートですが、コンポジットで映すよりもきれいに映るのでHDMIが使えないデメリットもあまり感じられないと思います。タッチパネルもそのままサポートしています。
これらの使い方にハマる人は選択肢に入ると思います。ただし、DVDをよく見る方やCDを聞く方、テレビを見る方は選択肢から外れますし、カーサウンドを気にする方は、やはりDIATONEナビなど専用品には劣りますので、やはりニッチな選択肢には変わらないと思います。
私は、初めて行くところや長距離運転時くらいしかナビを使わないし、極彩ナビもルート学習機能がないなどナビとしての正確さや使い勝手は褒められないところもあり、むしろGoogleナビの方が安心して使えます(渋滞情報なども加味されているので到着予想時刻が正確)。最近はVICS情報を加味されたナビサービスが多いので操作性を除けば専用ナビでなくとも問題はないと思います。
また、地デジも試しに映したことがあるくらいで、普段はまず使いませんし、光学ディスクを入れたことすら無いので、私のような使い方をする場合はむしろ国産ナビよりも、自由な中華ナビのほうが合っていると思います。
カーオーディオはそこそここだわっているので、中華ナビ単体では鳴らすつもりはありません。そのためのDEH-P01なので、内蔵アンプは使わず、プリアウト出力からP01に入力して鳴らしています。純粋にプレイヤーとして使っていますので内蔵アンプのダメさ具合のデメリットは関係がありません。
といった具合に、ある程度の妥協が必要ですが、国産ナビとは比較にならない自由度と便利さがあります。
また、アテンザ用の10.2インチ中華ナビは、2DINナビとは違い前期アテンザの通称【仏壇】と呼ばれる感じが多少薄れます。見た目の好き嫌いはあると思いますが。
さて、概要は終わりましたが、特徴や機能を個別に見ていきたいと思います。
ただし、これらの機能は私が購入した中華ナビであって、すべての中華ナビが同様に動く保証はありません(特に拡張機能およびその他)。
■自動起動および自動シャットダウン・スリープについて
エンジンONでOSが自動立ち上がり、エンジンOFFでスリープします。ACCが切れても常時電源を使いスリープ状態を継続します。次回乗車時に数秒で前回の状態に復帰してくれます。ただし、スリープ保持時間の上限は2時間までとなっているため、コンビニに寄ったりサービスエリアで小休憩といったシーンしか使えません。時間経過後は自動でシャットダウンされます。これは、ナビ自体にバッテリーを持たないためスリープ中は車のバッテリー(常時電源)から供給される電気を使っており、バッテリー上がりを防ぐ意味合いもあって上限を2時間としているものと予想できます。
■バックカメラ
エンジンを掛けた際に自動でAndroidが立ち上がるようになっていますが、操作が可能になるまでに20秒程度かかります。極彩ナビは10秒程度なので、体感的には遅い。それでは、その「立ち上がっている時にはバックカメラは起動しないのか?」という疑問が生まれますが、後述するMCUという制御基板により、エンジンオン直後からバックラメラは使えます。ただし、フロントカメラやサイドカメラなどはAndroidが立ち上がらないと使えません。ギアをリバースに入れると国産ナビと同等レベルくらいにはバックカメラの映像が映るので使用上は問題ありません。
なお、GJアテンザは標準でバックカメラがついており、操舵角に応じてサポートラインが動くようになっています。これはカメラ固有の機能なので中華ナビにしようが他の国産ナビであろうが使えます。
■各種入出力機能について
バックカメラの他に各種入出力(RCA)が使えます。
出力関係は起動時から自動的に信号を出しているので、音声出力では他のDSPやアンプ等へ音声を流してくれます。映像はヘッドレストモニターやルーフモニター等つなげれば映るものと思います(未検証)。
映像入力、音声入力に関してはAndroid上で専用アプリがありますのでそれを起動しなければ映らない仕様になっています。前述したOS起動中にバックカメラは使えてもフロントカメラ等が使えない理由はここにあります。
■FM・AMラジオについて
グローバル向けの製品なのでかなりバンド幅が広いです。機能設定でバンド幅を日本国内向けのバンド帯にプリセットできますので国内では放送されていない帯域はオートチューニングの際にカットされます。
あまり、ラジオは聞きませんが切替速度は爆速です。画面をタッチした瞬間に切り替えた局の音が出始めるのでザッピングしやすい。なお、ラジオ局名をプリセットする事ができないのが残念。オートチューニングを使えば、有効なバンドを自動ピックアップしてはくれます。
■外部ストレージについて
外部ストレージはmicroSDカードスロットとUSB2.0が3ポート(物によって2ポートなどもある)あります。
microSDはSDHC対応なので32GBまで。USBポートはFat32形式でフォーマットされたもののみ2TBまで対応しています。ただしUSBは3ポートありますが、うち1ポートしかストレージを認識しません。どのポートに挿しても認識はしてくれますがUSBメモリを2本挿しても認識されるのは最初に挿したUSBメモリのみです。なお、microSDとUSBストレージは混合で使えます。
ちなみにNTSF形式でフォーマットされたものに関しては読み込みはできるものの書き込みはできません。
exFAT形式では読み込みすらできませんのでフォーマット形式は注意。
余ったUSBポートはワイヤレスマウスやキーボード等をつなげることができます。
■通信機能について
Android機なのでUSBメモリやSDカード内の動画や音楽を再生するだけであればオフラインでも十分に使えますが、インターネット回線に接続しなければ、その機能をフルには発揮できません。Youtubeを見たりネットラジオを聴いたりもできません。1番問題なのはナビですね。MapFanなどオフラインで使えるナビもありますが、使い勝手もよくありません。
中華ナビに通信機能をもたせる方法は2つ。一つはスマホのテザリング機能やポケットWi-Fiルーターを使いWi-Fi接続をすること。そしてもう一つが3G回線や4G回線用のUSBドングルを購入し、USB接続するとナビ単独で通信機能を持たせられます。
ただし、USBドングルは相性や使えるバンド帯があるのでセレクトに注意が必要です。
■スマホとの連携について
スマホとの連携は、BluetoothかMirrorLinkで行います。Bluetoothはハンズフリー機能(ナビ側でダイヤル等も可能)および音楽再生です。
MirrorLinkはスマートフォンの画面をそのままナビのモニタに映し、ナビからもタッチパネルで操作可能という機能です。iPhone・AndroidスマホともにWi-Fi接続でMirrorLinkが可能のようですが、iPhoneを持っていないので検証はできません。AndroidスマホではUSB接続でのMirrorLinkが遅延も比較的少なくスマホへの充電もされるため便利です。USB接続でのMirrorLink使用の際は、スマホ側の開発者オプションからUSBデバッグを有効にする必要があります。
Bluetooth、MirrorLinkともにナビ上の専用アプリを立ち上げる必要があります。
■ステアリングスイッチ
ステアリングスイッチの学習機能がついています。曲送り、ボリューム、ミュート等はもちろん、Androidのホームボタンや戻るボタンなども割当が可能です。また、GJアテンザのシフトレバー後ろにある謎の小物置き。北米仕様ではTOMTOM製のMMIコマンダーがオプションでありますが、これもうまく繋ぎこめば割当が可能なようです(値段も高く手に入りづらいので私は持っていませんが)。また、2DINタイプの汎用中華ナビであれば、純正のスイッチパネルも使えるようです。抵抗変化式のスイッチであれば多種のMMIコマンダー等も流用できるものと思います。
■拡張機能について
●ドライブレコーダー機能
USB接続のカメラや車載用のコンポジット接続できる汎用カメラを接続することで、それらカメラをドライブレコーダーとして使える機能です。(ただし、アテンザ用はDVR用カメラ入力は専用端子でした・・・)録画データはmicroSDカードやUSBストレージ、内蔵ストレージに保存でき、自動上書きモードも搭載されています。専用品に比べると解像度は低め。フレームレートも30fpsあたりが実用的です。バックグラウンドで動作しますが、他の負荷の高いアプリを使っているとフレームレートが変わっていたりしますのであくまでオマケ機能。
●TMPS
専用オプションのTMPSキット(1万円程度)を購入するとナビ画面で空気圧やタイヤ内空気温度を確認することができるようです。アラート機能もついているようで、設定空気圧より低くなったり高くなったりするとお知らせしてくれるようです。
■その他
私が購入した中華ナビではCAN Bus信号に対応していました。
マイナーチェンジ後のCAN Bus対応車両用で、純正のパーキングセンサーやドア開閉状況をモニターできるようです。Youtubeにマイナーチェンジ後のCX-5で動作確認している動画がありバック中などを含め、どの位置でパーキングセンサーが反応しているか、どのドアが開閉しているかを確認できるようですね。
ただし、CAN Bus監視はオプションのコネクタが必要なようです。
また、アテンザ中期・後期用のマツダコネクトを置換するようなナビはまだ販売されていませんが、アクセラのマツダコネクトを置き換える純正チックな形状のAndroid中華ナビが販売されています(コマンダー付きで)。恐らく車両特有の設定機能は有していないものと思われます(HUDの調整や照明設定等)。
以上、中華ナビの特徴やメリット・デメリットでした。次回は取付について解説したいと思います。
(MCU等の内部構造やカスタムROMについては取付編後に解説します)