
ビートのエアコン修理が面倒な理由の1つは、フロア下に配管が通っていることにある。そのためエアコンシステムを分解するには、車全体を持ち上げる必要がある。これだけで一手間である。
まずリアバンパーを外し、コンプレッサーを取り外す。前日にボルトにラスペネを吹いていたせいか、難なく取れた。次に、コンプレッサーにつながるエアコンホースを外す。ホースに大きな傷みや漏れはないようだ。
続いて、エンジンルーム横を走るエアコンパイプのステーを取り外し、ボディから外そうとする。しかし、上からやっても下からやっても、ひねってみても抜けない。ごそごそしていると、パイプにクラッチホース(すでに廃盤)が当たっていることを発見し、諦めた。しかし、エアコンホースを動きやすくにしたことで、他の脱着作業はやりやすくなった。
次に車の下に潜り、フロア下の配管を外す。配管の接続部にスパナとモンキーで挑む‥外れた。こちらもガス漏れはなさそう。しかし垂れてくるオイルの綺麗なこと!少し黄色っぽいが汚れもなく、まるで新油、といっても過言でない。ということは、コンプレッサー本体の故障の可能性は少なそうである(マグネットクラッチはダメかもしれないが)。
続いてボンネットを開け、再び車の下に潜り、コンデンサーを外す。コンデンサーとディスチャージホースの接続部が、埃と汚れでコテコテになっていた。ガス漏れの跡と思われる。ホースを外そうとするが、どう頑張ってもナットが緩まない‥。コアとして送り返す予定のコンデンサーを壊してもいけないので、外すことを諦める。高圧ホースの中も錆や汚れはなく、きれいな状態である。このことから、故障の原因がガス系ではなく、電気系であることが推測される。
続いて車内に移動。ダッシュボードのパネルを取り、ブロアファンとエバポレータを取り外す。ブロアファン、汚い‥。ファンモーターからは黒い埃の塊が大量に出てきた。エバポレーターユニットを分解すると、エキスパンションバルブの入り口と出口に大量の埃が付着していた。先ほどのホースと同じく、ガス漏れの跡と思われる。
ここまでの分解でエアコン故障の原因は、高圧側の圧力が高くなり過ぎ、ガスが漏れたことが原因の1つと推測される。すなわち、高圧側の圧力が下がらないのであれば、コンデンサーの冷却に問題があると考えられる。
コンデンサー自体に大きな損傷はなかった。外したコンデンサーファンモーターに12vを通電すると、「ひょ‥」と弱々しく回った。ファンモーターが劣化しているようである。しかし、後日入手した新品のファンモーターのと比較して、極端に回転が遅いようには見えなかった。とはいえ、30年以上働いた(少なくとも取り付けられていた)部品なので、交換する。
ここまでの分解、診断作業に数日を要した。エアコン作業はとにかく時間がかかる。まず、部品は各所に点在する。分解しようとすると、緩まない、外れない。部品の錆や汚れや埃も多く、外した後に部品側、車体側それぞれに掃除が必要である。思い出すだけでため息である。
しかし、「分解」「診断」「清掃」「組み付け」「試験」、これら全てをパスしないと修理は終わらない。エアコン修理は、それらの作業一つ一つが別の場所で発生し(特にビートのようなリアエンジン車は)、部品の点数も多く、部品が壊れやすく繊細で(新品のエキパンは二度と手に入らない!)、そして作業の一つにでも抜けがあると修理が失敗する(ガス漏れ、動作せず、等)。要は、作業の全てに完璧を求められるのである。辛い。辛すぎる…。(続く)
Posted at 2025/07/05 20:39:34 | |
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