2015年12月22日
子供向け燃料電池車
トヨタが子ども向けに本気で作った燃料電池車、運転免許なしで乗れる
[MONOist]よりコピペ
アムラックストヨタが運営するメガウェブ(東京都江東区)は2015年12月26日から、燃料電池車(FCV)の子ども向け走行体験を始める。運転免許なしでも運転できる本物の燃料電池車「FC-PIUS」を、コンセプトカーの製作などを手掛けるモディーが開発した。量産モデルでも製造コストが高いといわれる燃料電池車をあえて子ども向けに開発したのは「『燃料電池車=水素爆発で走る』という根強い誤解を解き、正しく知ってもらうため」(アムラックストヨタ)だという。燃料電池の仕組みを教える教室や燃料電池車を運転する体験を通じて理解を促し、将来の燃料電池車ユーザーの拡大につなげる。
運転免許なしで運転できる子ども用燃料電池車「FC-PIUS」 (クリックして拡大)
【「FC-PIUS」の水素タンクなどその他の画像】
燃料電池の仕組みを知らない人々と2020年の水素社会
燃料電池車が走る仕組みを知らない、あるいは誤解している人は少なくない。アムラックストヨタ 運営企画室 商品訴求グループの和田真氏は「特別クルマに詳しくない限り、水素でどうやって燃料電池車が動くか知らない人は多い。水素が爆発して走るという誤解もよく聞く。学校の理科の実験でのイメージが強いのかもしれない」という。
政府は2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに水素エネルギーシステムを普及させ、水素社会として世界にアピールする方針だ。燃料電池車もその1つ。ただ、水素社会で暮らすであろう当人たちが燃料電池の仕組みを正しく知らないのでは、本当に水素社会を実現できるか疑問符が付く。
そのため「走行体験の対象とする子どもたちや、その保護者に燃料電池車について理解してもらいたい。また、水素も一般的なのエネルギー源の1つで、燃料電池車は特別なエコカーではないという感覚を持って大人になってもらえれば」(同氏)との狙いで、メガウェブで燃料電池車の走行体験を始める。
メガウェブには「ライドスタジオ」という子ども向けの走行体験コースがあり、運転免許なしで運転できる車両を使った試乗イベントを実施している。2015年11月の1カ月間で3000人が参加したという人気イベントだ。ライドスタジオでは1人乗りの電気自動車(EV)「PIUS」など複数のタイプの車両で、未就学児から小学生、親子でも運転を体験できる機会を提供してきた。2015年12月26日から、この走行体験用の車両にFC-PIUSが加わる。
子ども用だと侮れない本物の燃料電池車
モディーが開発したFC-PIUSは、子ども用とはいえ、れっきとした燃料電池車だ。水素タンクと燃料電池セルスタックは、燃料電池の研究開発会社、FC-R&Dが提供した。外観デザインはトヨタ自動車の「MIRAI」に似せているが中身は異なる。トヨタ自動車が無償開放している燃料電池関連の特許技術は使っておらず、開発にはかなりの時間を要したという。
MIRAIの燃料は圧縮水素だが、FC-PIUSは水素吸蔵合金を使用する。水素吸蔵合金は「金属の粉末に水素を染み込ませたもの。タンクの中に水素を吸ったスポンジがあるイメージ」(和田氏)。トヨタ自動車が2001年に発表した「クルーガー」ベースの燃料電池車「FCHV-3」でも採用されていた方式だ。
トヨタ自動車は燃料電池車への水素の搭載方法を模索する中で、水素吸蔵合金やメタノール改質型、ガソリン改質型、圧縮水素を比較し、最終的に実用性の高い圧縮水素を選んだ。FC-PIUSでは「圧縮水素よりも安全性が高く、水素タンクが危険物扱いにならない水素吸蔵合金を選んだ」(同氏)という。
小さくても本物の燃料電池車 (クリックして拡大)
小さくても本物の燃料電池車 (クリックして拡大)
子どもに燃料電池車を体感させるために労力を惜しまない大人たち
FC-PIUSに採用した水素吸蔵合金は安全性が高い。その一方で、クルマとしての作り込みは難しくなった。水素吸蔵合金から燃料電池セルスタックに水素を供給する際、水素の供給量を増やそうとするとタンクの温度が下がり過ぎて効率が悪化する。しかし、子ども用の車両とはいえ、車体は255kgもあり発進時には大きな負荷がかかる。そこで、モーターの出力や電流を調整して最適な駆動システムを完成させた。
FC-PIUSの水素タンクはカートリッジ式で、専用の装置で水素を充填し、およそ8時間を目安に交換する。タンクは一般的な消火器を二回り小さくしたサイズだが、重量は4kgと見た目に反して重い。
FC-PIUSのサイズは全長2535×全幅1233×全高1070mmで後輪駆動方式。燃料電池セルスタックの定格出力は360W、瞬間最大出力が500W。最高速度は時速5km。身長115cm以上の小学生が対象となる。身長160cmの筆者ではステアリングに膝がぶつかり、座席はかなり窮屈だった。動かし方は運転免許が必要なクルマと同じで、シフトレバーや方向指示器も使用できる。
クルマの運転をリアルに体験できるつくりになっている (クリックして拡大)
クルマの運転をリアルに体験できるつくりになっている (クリックして拡大)
クルマの運転をリアルに体験できるつくりになっている (クリックして拡大)
ライドスタジオで走行体験に参加するには、初心者講習の受講が必要になる。受講後、運転免許証を模したスタンプカードが発行され、乗車の回数が増えると“ゴールド免許”に切り替わる。FC-PIUSに乗車するには、ゴールド免許の取得と、ライドスタジオで実施する燃料電池教室の受講が条件となる。
燃料電池教室では、燃料電池で駆動するラジコンカー「RC Car MIRAI」を使用する。ラジコンカーメーカーの京商が開発したもので、市販されていない。実験キットで化学反応を学んだあと、水素タンクと燃料電池セルスタックの組み合わせでラジコンカーが走る様子を確認し、講座を修了する。
燃料電池で駆動するラジコンカー「RC Car MIRAI」。水素タンクと燃料電池セルスタックは小さいが本物 (クリックして拡大)
モディーと京商は、これらの子ども向けの燃料電池車に関連する利益は見込んでいない。採算を度外視してでも取り組むのは「燃料電池車について正しく知ってもらいたいと思うから」(モディー デザイングループの橋本崇宏氏)だという。
FC-PIUSはただのオモチャではない
モディーが開発したPIUS/FC-PIUSは単なる子ども用の乗り物ではなく、大人向けの教材としても活用される。メガウェブで使用している電気自動車のPIUSは子供が乗ることを想定したサイズだが、大人が問題なく乗れるタイプも取りそろえている。またPIUSは、誰でも分解/組み立てができるよう部品点数を減らしながら、実走も可能な点を特徴としている。
これらの特徴を生かし、大学などで技能実習や研究開発のベース車両として利用されている。また「ベトナムやサウジアラビアなど新興国の技術者育成にも貢献している」(橋本氏)という。FC-PIUSも、分解/組み立てが可能だとメドがつき次第、教材用としてメガウェブ以外にも広く展開していく。
以上。
エネルギーオタクの息子は絶対に行きたいと言うと思う(爆)
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Posted at
2015/12/22 15:42:47
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