2013年11月07日
鉱物油はスラッジができやすい説につながるネタ。
最近はAPIグレードの高度化にともなって、低灰分化・・・すなわち燃焼や化学変化を
起こしても固形物を発生させにくいオイルが求められていると聞く。そんな中、とある
オイル販売業者のページを読んだら、クリアランスの大きい空冷のようなバイクには
ZnDTPという添加物が必要だと書いてあった。最近の合成油には、ZnDTPが不足で
旧車にはよくないとも。
ばらしてしまうとそのメーカは米国Kendall(ケンドール)のオイルを輸入販売している
代理店なのだが、そのZnDTPという成分に興味を持ってグーグル先生に聞いてみた。
情報はいくらでもヒットするので気になる人は各自で検索されたい。
この添加物は、亜鉛分子1個に硫黄分子4個とリン分子2個、炭化水素分子4個が
結合したような構造になっていて、金属表面の極圧剤や潤滑剤として働くそうだ。
問題は金属イオンの亜鉛と、燃焼による化学変化でH2SO4、つまり硫酸に変化する
可能性がある硫黄、リン酸に変化する可能性があるリンである。硫黄とリンは熱や
化学変化を通してオイルを劣化させるのだが、残された金属イオンの亜鉛がどんな
形になるかというと、灰分すなわち固形物=スラッジになるのである。
最近のオイルはスラッジの元になる成分を減らす動きがあるので、あまり心配する
必要はないと思うのだが、そのKendallのオイルは旧車や空冷用と称して鉱物油に
ZnDTPを含んだ添加剤を加えているそうだ。それはHPにも書いてあった。
この成分は規制のゆるい昔から使われていたもので、潤滑油の添加物として現在
でも割とポピュラーに使用されるものらしい。オイルの劣化が進まないうちに交換
していれば問題はなさそうだが、交換をさぼっているとスラッジがたまるというのも
あり得る話だ。
じゃあ化学合成の2大成分であるPAOやエステルはスラッジにならないかというと
なるのである。PAOについては調査不足でよくわからないのだが、エステルは熱
や酸化、加水分解などによる高分子化(分子構造が変化して粒が大きくなる)に
よってスラッジになっていく。エステルで作った繊維であるポリエステルはご存じの
方も多いだろう。
なんだかよくわからなくなってきたのだが、結論としては鉱物油でも合成油でも、
添加剤と運転状況と走行距離によってスラッジができるときはできるということに
ならないか?鉱物油のほうができやすいって根拠はどこに・・・・
いずれにせよ四輪と比べて最高回転数が2倍から3倍、常用回転数は約2倍、
クランクケースのオイル量は約50%~80%ぐらいしかない二輪は、四輪より過酷な
環境で使われていることに変わりはない。メーカーが交換距離としているのは
5000km程度らしいのだが、2000km~3000km程度で変えたほうがいいのかも
しれない。このへんはまあ各自の判断になろう。
やはり定量的なデータがないとこの手の話題はなかなかオカルトの域を出ない
というのが結論かな。オイルとは奥が深いものなり。
Posted at 2013/11/07 23:49:16 | |
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