2014年10月06日
のっけから身も蓋もないのだが、ガソリンよりもオカルトがはびこっているのがエンジンオイルの世界だと個人的には思っている。
ガソリンはレギュラー、ハイオクという明確な区切りがあり、JIS規格でも最低限満たすべき性能が決められている。しかしオイルはAPI粘度、ドーナツマーク、ILSACのスターバーストマークなどで一応の規格化はされているものの
ベースオイルを明示している商品は少ない
ご存じの通り、ベースオイルには鉱物油(グループ2)、高度精製鉱物油(グループ3)、合成油(グループ4並びに5)という区切りがある。
グループ2:水素化精製鉱物油(水素で精製した鉱物油)
グループ3:高度水素化精製鉱物油(グループ2をさらに水素化)
グループ4:PAO(ポリアルファオレフィン)
グループ5:エステル(現代では複合エステルが使われるらしい)
ちなみに水素化というのは、炭化水素であるオイルの分子に水素分子をぶつけて、炭素と水素の並びを修正したものだ。乱暴な表現だが当たらずとも遠からずではないかと思っている。
問題は、グループ2とグループ3が精製度合いが違うだけなのに方や鉱物油、方や合成油と呼ばれていることだ。グループ3でも合成油として表記することが許されている現状では、本当に化学合成して作られたPAOやエステルなのか、水素化精製したオイルなのか外見では判断できない。
そして製造コストの都合上、リッター2000円を割る全合成油はほとんどがグループ3のベースオイルと思って間違いない。多分(笑)。
このへんは推測が多分に含まれるためオカルトたる部分だが、モチュール300Vとかシェルアドバンスなどのお高いオイルはPAO+エステルみたいな本格的合成油ではないかと思われる。というか、そうでなければ困る(笑)。
結局のところ成分が明示されてない以上、表記と値段で判断するしかないのだが、これ何ておみくじ?と思うのは自分だけではなかろう。
ちなみにオイルにおけるエステルは添加剤的な使い方がメインで、ベースオイルとして使われることはあまりないようだ。「ようだ」というのは100%エステルを明記したオイルにお目にかかったことがないからである。
モチュールなんかはダブルエステル処方などと書いてあるが、成分の全てがエステルだなんてどこにも書いてない。エステルは金属吸着因子として数%加えるのが多くの使われ方で、ベースオイルとしてはグループ3とグループ4(PAO)がメインであろう。
エステルは加水分解しやすいので(近年は研究でだいぶ耐久性は上がったらしいのだが)その高コストとあわせてベースオイルとしては使いにくい。バナナで釘が打てる温度でも流動性を保つMobil 1はPAOがベースオイルだそうだ。
まあ何が言いたいかと言うと、合成と書いてあれば何でも100%合成された油ではないということ。そして結局のところ、合成かそうでないかより使ってどうなのかというのが重要だということ。
鉱物油(グループ2)でも基本的なオイルとしての性能は担保しているが、蒸発や燃焼に弱いため3000kmで500cc減るなんてことはよくある話らしい。
GSX-1300R隼にシェブロン(グループ2)を入れている人の話では、性能は問題ないが上記のように減る量は多めだと言う。個人的にはグループ2でもグループ3でもいいと思っているが、そのかわりに交換サイクルは指定条件より早めにしたいところだ。
以前にも書いたが、スパークプラグ・オイルフィルター・エンジンオイルなどの劣化が直接的にはわかりにくい部分については、チューインガム理論で味がなくなる前に交換するしかないのである。貧乏根性丸出しでいつまでも引っ張っていると、大きなトラブルにつながりかねない。
その点、バイクは四輪と違ってある程度はオイルの劣化がわかりやすい。ギアまでオイルに浸かっている関係で、シフトフィーリングに劣化が表れる。また、四輪よりも高回転型なのでエンジンの吹けや回転フィーリングの変化も割と感じ取れる。
最近は下の粘度が低いと上の粘度があっても劣化が早いという印象を持つようになった。0W-16とか5W-20が全盛の四輪オイルは、二輪からすれば考えられない低粘度である。ほとんどシャバシャバ。こんなんでよく動いていると感心してしまう。
エンジンやミッションの設計からして違うものを比べるのはナンセンスだが、低価格のオイルを入れるなら交換頻度にだけは注意したい。
Posted at 2014/10/07 00:19:41 | |
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