2006年05月23日
小石川編の最終です。
*******************************************************
Lexusというブランド作り
・ブランド管理は誰がやるのか?Lexusがトヨタから分離した瞬間に
トップ、設計、広告、販売・・・皆が“俺がLexus”と思ってしまった。
⇒定義の無い”社員ひとりひとりがLexus”は危険ですね。
方向性が定まってよかったです。
・社内コンセンサスの確保として判断の軸を作り、
それを共有化する。解かり易さ、感覚の言語化が重要な要素。
・分散判断、合議制は軸を失う原因。マネジメントのトップが
全てのフェーズのジャッジメントに関与することが重要。
・ブランドは広告やマーケティングでなく接点で作られる
=社員ひとりひとりがLexus。このことはLexusブックにもきちんと書いてあり、
全員が共有している言葉。
・Lexusが掲げる“ときめき、おもてなし、やすらぎ”
(このキーワードもLexusブック記載)
は従来の自動車販売の現場では希薄だった考えなので、
販売現場への浸透が難しかったが、実践し、お客様が喜ぶ姿を体験することで
実感し、味方が増えてきた。理屈よりも共感の共有が大事。
開業から半年(当時)
・Lexusというブランドは認知率は80%に達した一方で、
高級車の純粋想起率はまだ15%以下の状況。実施したプロモーション活動の
中での認知は確保されたが、ブランドとしての確立は10年後に判る、
というくらいの長いスパンになる。現状はまだまだ途上の状態。
⇒つまり今のLexusユーザーがこれからのLexusのブランドイメージを形作る
礎ということです。うわ、責任重っ(^^;
ちなみに・・・
Lexusが想定している購買層
※前述のオリエンに使わなかったという理想の顧客像
職業:医者・弁護士、起業家、経営者など
Lexus 想定年収 世帯比率
LS 2000万~ 1.4%
GS 1500万~2500万 4.6%
IS 1000万~2000万 14.1%
想定のベースとなった数値:全国4600万世帯/平均年収600万円
・・・・会社員で買ってゴメンなさい(^^;;;
でも、この講演を聴いて素直に
”あぁ、このこれから出来上がるブランド作りに自分も参加してみたい!”
と思い、嫁さん口説いてLexusにするんだ!って決意しまたね。
あと、オープン当初のマニュアルみたいな接客や、
未だに地域(経営母体)によるサービスのバラツキみたいなものの理由が
判明して、大きな気持ちで見られるようになりました。
とは言え向上を怠らないようにはして欲しいですけどね。
それがLexusでしょうから。
す、すみません生意気言ってm(__;)m
Posted at 2006/05/23 22:38:00 | |
トラックバック(0) |
ブランド | 日記
2006年05月23日
長いレポートの続きでございます。
*************************************************
Lexus開業に向けてのプロモーション
・広告ではブランドは作れないと判断。放っておいても話題になると考え、
2005年8月の開業に向けてのプロモーションは徹底的にパブリシティーに特化。
発表会場として代々木にテントで会場を作ったり、PRキットをプレステージ性の
高い雑誌社へ提供(原稿チェックなど実施せずに素材提供に徹底したので
いろんな企画で取り上げられた
またモータージャーナリストや車雑誌への事前試乗会の実施。
⇒確かにことさらに宣伝をするよりも効果は高そうです。
しかし、ここで”アメリカで成功した”というタイトルがマスコミ側から
ついてしまったのも事実なのでコントロールは難しそう。
・パブリシティーの効果を広告換算した結果、初動1ケ月で**億相当にもなった。
⇒そりゃ、あの露出量ならそうでしょうな。
・開業に前後して一部で広告を展開したり、プレステージ性の高いDMを発送したり
したが、あくまでもレスポンスチェックが目的。
Lexusの広告作り
・元々設定していたターゲット像(年収1,000万以上、3,000万円をコアとした
医者・弁護士・起業家など)に関しては実感が湧かず“ホンマか?”と疑い、
収入の上昇が価値観の先鋭化を生むとも思えず、理想の設定とマーケットの
乖離を感じてオリエンでは広告代理店には説明しなかった。
⇒これ、笑いました。メーカー側が勝手にお客さん像を作り上げてしまった
典型的な事例です。さすがにこればかりは富裕層研究が進む欧米の方が
一日の長があると認識せざるをえません。
・一方でLexusらしいって何?ということに関してクリエーターの誤解があった。
“高級を表現する”という命題に対し、お金をかけて今までできなかった技巧で
表現をすることと受け止められてしまった。
⇒これも笑いました。クリエーターによってはお金掛けた広告が
高級の表現には必要と思ってしまうのでしょうか・・・。
・オリエンテーションの重要性を痛感し、対策としてトーン&マナー集を作成する
ことで判断の軸がブレないようにした。導き出された表現コンセプトは時間を
感じるギミックとデフォルメの無い表現。キーワードの“微笑むプレミアム”
は時間切れ引き分けで作った言葉。今でも正解だったかは疑問を感じている。
⇒実際現在は販売側苦戦の影響もあって広告の訴求ポイントを変えてきてますね、
例の赤いISの広告ですね。
・新聞・雑誌広告・TVCM全てにおいて静止している車が見えるショットは
ショウルームの一部をイメージした作りを行うことで、
広告とショウルームのイメージに一貫性を持たせている。
⇒これは見事だとおもったんですけどねぇ、少し方向を変えてきましたね。
・Lexus GS(ハイパフォーマンスモデル)のTVCMは新ブランドが高級ブランドと認知されて
いないことを前提に随所に高級をイメージさせるカット(風景、ホテルなど)
を挿入したら車のシーンが極端に減ってしまい上層部からクレーム続出となった。
・Lexus SC(オープンモデル)もGSと同様に随所に高級と風との一体感、
疾走感をイメージさせるカットを挿入した。
・Lexus IS(エントリーモデル)のTVCMは初期バージョンと現バージョンの
2パターンがある。初期バージョンに対し、走りを強調するシーンが少ない、
どんな車か感じ取れない、との販売サイドの意見を組み入れざるを得なくなり、
走行シーンを追加した結果高級感が減ってしまった。
Posted at 2006/05/23 22:20:06 | |
トラックバック(0) |
ブランド | 日記
2006年05月23日
残念ながら車をいじる方はからっきしダメで、いつもノーマルなmoichiです。
唯一一点皆様方と異なる方向として、ブランド構築を生業としおりまして、
「レクサスは経験価値...」などと標榜したので、たまにまじめに書いて見ますか、ってことで。
今年の2月に小石川の凸版印刷で開催されたセミナーで
「レクサス」導入における広告上のブランディングについて
という講演を聴きました。講師の方はトヨタ自動車㈱ レクサス国内営業部営業室マーケティンググループの谷口さんという方でした。
仕事の一貫で聴講してきたのでレポートがありますのでちょこっと公開。(量が多いので整理しながら何回かに分けて)
*********************************************************
聴講内容
Lexusについて
・05年8月に日本でLexusが開業されたが、今までに無いブランドの捉え方、
ディーラー形態であることから当初考えていたイメージが末端まで浸透している状況
ではなく、レベルの差があるのが実情。また販売も掲げていた目標に対しては
厳しい状況ではあるが、ゼロベースからのブランド確立という意味では10年後に
結論が出る作業の途上であると考えて欲しい。
⇒この素直な言葉に惹かれ、今回の購入のきっかけになったかもです。
・Lexusブランドが「米国で成功したブランドの逆輸入」というマスコミの捉え方は誤解。
北米で軌道に乗るまでには6年を費やし、現在でも7万ドル以上の車に関しては
BM、MB、キャデラックが圧倒的に強い中で戦っている状況。
⇒この辺も奢らない感じが好感ありです。
・とはいえ、トヨタ自動車全体での北米の販売ウェイトは一番高い状況である一方、
日本国内での販売が伸び悩んでおり対応策「GNT=がんばれ日本のトヨタ」計画の一環で
LexusブランドのRe-launchが決断された。
⇒逆輸入ではなく、「出直し」というところに大きな決意を感じます。
・日本のLexusブランドは、景気の回復と、広がる格差、富裕層の増加に伴う
輸入高級車の伸長に対し、国産車から輸入車への流出組の阻止と国産車上級志向の
キャッチアップを優先させた施策を展開している。行く行くは輸入高級車との
真っ向勝負。
⇒だそうです。BM、MBとガチンコさせているのはマスコミ側のようですね。
・北米では車格と価格で明確にTOYOTA/Lexusが住み分けされているが、
日本では既存のTOYOTAブランドで高級国産車としてのポジションがある部分もあり、
差別化を徹底。TOYOTAという企業ブランドにぶら下がる“バッファローマーク+TOYOTA”という
事業ブランドが顧客から同一視されることから、Lexusブランドを企業ブランドから
直接分岐した事業ブランド(=バッファローマーク+TOYOTAと同列)と位置付けて、
出来る限りTOYOTAブランドが見えないようにしている。
⇒TOYOTAブランド企業名TOYOTAに挟まれた苦労が見えますね。
Lexusのコミュニケーションについて
・LexusのRe-launchに際しては内部の考え方、外部へのメッセージ、イメージ
全てのベクトルを同じにするための施策を徹底した。
・最高級の本質、商品、販売・サービスを提供するために静岡にLexus研修センターを
設立し、全ディーラースタッフが登録され、商品、おもてなし、開発者の想いなどを
営業の末端まで共有するための研修を行う。
また全GM(店長)を北米に派遣し、現地のLexus店の見学や交流を通じて体感させた。
・また“Lexusブック”ともいえるマニュアルを作成し全員が所持。
基本は“三つの最高級”をお客様に提供することを軸に50以上ものキーワードが
網羅されており、広告、DM、接客時など全てのステップでこの本に記載された
キーワードで制作・対応することを規定している。
逆に言えばマニュアルに出ていない言葉を使ってはいけない。
⇒Lexusブック、見て見たいですよねぇ。誰か見た方います?
Posted at 2006/05/23 09:08:20 | |
トラックバック(0) |
ブランド | クルマ