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2015年04月07日 イイね!

The Perfect Storm  パーフェクト ストーム

The Perfect Storm  パーフェクト ストーム人にはそれぞれ好むと好まざるとに関わらず災害や事故に犯罪、戦争などの死ぬまで忘れられない状況や事態、様々な経験と記憶がある。

自分はこれまで震災や台風、落雷、豪雨、山崩、山火事などの大きな自然災害を現場で目の当たりにして来た。

強大な自然に力を見せつけられた瞬間に人は人本来の姿に戻り本能的に家族や仲間の身を守ろうとする。

自然に刃向かうのではなく、安全な場所に逸速く退却撤退したいが避けられないこともある。

陸上や沿岸部ならば救命救助機関や施設、手段や対処方法、退避場所など選択肢も多い。



陸地から遠く離れた洋上を航海中に猛烈な嵐に遭遇し長時間に渡り、狂風に吠えられる。

大きなビルの様な高波に叩かれ、山のようなうねりに揉まれた記憶は今でも忘れられない。


Roaring 40s、Furious 50s、Shrieking 60s  吠える40度(南緯)、狂う50度、絶叫する60度

そう呼ばれる海域まで下がらなくとも吹かれる時は吹かれる。

インド洋 マダガスカル島を南下、ケープタウンへの難所 アフリカ大陸南端の喜望峰。

真冬の日本海、波凍る北太平洋、ベーリング海 アリューシャン列島 ダッチハーバー。

台風が発達迷走して猛威を振るうマリアナ諸島、フィリピン海、東シナ海、バシー海峡。



自ら選んだ稼業で義務や任務であっても好き好んで大時化の海に向かう者はいない。

勇気有るアルゴノートやバイキング達も無謀ではなく、報酬、愛社精神、愛国心も関係ない。

乗組員の命、船と積荷を危険に曝してまで国や会社、オペレーターに褒めて欲しくもない。

商船も漁船も軍艦も事前に取れる情報から気圧の動き海象の変化を読み危険を回避する。



航海者 バルトロメウ・ディアス、コロンブス、バスコ・ダ・ガマ、マゼラン達の大航海時代。

羅針盤と天文・地文航法だけに頼り大洋を航海していた勇敢で優秀なナビゲーター達。

彼らに拠り海図、潮汐、貿易風、偏西風など海洋気象は命懸けで研究・運用されてきた。

現代では気象海事衛星などシステムも進化し海象情報もリアルタイムに判るようになった。

しかし荒天大時化の原因となる低気圧は急激に発生発達して台風に成長することがある。

酔っ払いの様に迷走し船舶の航行針路を塞ぎ、横切り、並走し、また追走することもある。


男女差別の理由で今は違うが気まぐれ故か昔から台風には女性の名前が付けられていた。

気象学者が奥方や彼女の名前を付けていたのが始まりだが、それは余計に怖わ過ぎる。 

海員という職業を選択すれば、嫌でも一生に何度か彼女の怒れる海に遭遇してしまう。

出港前に彼女の発生、規模や進路を予測するが航海中や操業中に突然発生することもある。

誰もが彼女を回避しヤリ過ごすが、港でベタ凪になるまで静かに待つ商船も漁船もいない。 


また島影や湾内に避難し投錨していても相手に拠っては走描し座礁することも起こりうる。

海洋気象は自然科学と観測の統計で経験と判断力が重要だが運が良い悪いの場合もある。


彼女達が近付いて来ると普段は優しく穏やかで暖かい海が白波を立て怒り始める。  

マストを擦り抜けた突風がワイヤで裂けて唸り船首が叩いた波飛沫がブリッジの窓を襲う。

やがて立っているのも精一杯になり船内備品が悪霊が悪戯する如くガチャガチャ騒ぎだす。

激しいローリングとピッチングを繰返し、高い畝りが容赦なく船体を叩きつけ背骨を折る。

波間をもがき空転するスクリューの振動と主機の負荷変動に甲高い過給機のサージング音。

サイドブリッジに白黒の海面が迫り波がデッキを洗い積荷を海に引き摺り込もうとする。

船尾から押され船首から高波の谷間に何度も引き込まれ、次も浮き上がれる保証はない。


実際に救助を求め悲鳴をあげる他船のSOS、必死のMaydayを聞いたことがある。

また老練古参の船長や一等機関士から同僚と船を失った時の悲しく惨い体験も聞いた。


自分は陸に上がった今でも猛烈な嵐、大時化、Perfect Storm に遭遇する夢を見る。 


Few have seen the sea so and lived to tell.



潮を吹き跳ねながら進むシャチやクジラのような艦船。



航跡も打ち消す荒天に人も鋼鉄の鯨も波浪に抗えず翻弄される。


北海で荒れ狂う波の谷間を行くスタントロール船、アイルランドの船乗りもタフな奴らだ。

>

黒面の悪霊が船底を叩く音、吹き荒れる突風は悪魔の口笛にも聞こえる。


板子一枚下は地獄。 

これまで遭遇した陸上での震災や事故とは違う自分には忘れられない光景。

この時ほど古い小型Uボートでも眼下を行く潜水艦が羨ましく思えたことはない。


時に彼女達は巡洋艦隊や空母機動部隊を襲う 友鶴事件 第四艦隊事件 ハルゼー台風

先の大戦中、フィリピン海で台風に因りの作戦行動中の駆逐艦3隻が沈み9隻が深刻な被害を受け790名の死者を出した米海軍は後にJTWC合同台風警報センターを創設した。


Fighting Sailor は戦闘で死ぬ事を覚悟するが、洋上での事故や遭難、負傷は辛く厳しい。

荒海で商船が転覆沈没すれば高波だけではなく、材木やコンテナなど浮遊する積荷が襲う。

タンカーなら流出油が絡み付き、液化気化ガスや有害ケミカルなどの危険物に囲まれる。

北洋なら瞬殺、水温が高い南洋でも人が漂い泳ぎ続けられる生存時間など知れている。


蟹工船は地獄だった・・・・・ 笑わせるな。

波静かな湾内に錨泊する安全な大型母船でやる加工缶詰作業だ。

ブラック企業がー

頭でっかちの左翼が机の上で書いた小説を読んでも荒れ狂う海の恐ろしさは分るまい。



北大西洋の真ん中で冬の嵐に捕まったコンテナ船 ”OOCL BELGIUM”

追い波に揉まれコンテナが荷崩れを起こし流出するくらい傾いている。



この後、リバプールでダメージを調べる為に船体検査を受けたようだ。



怒れる冬の北大西洋を航行する自動車専用船、トップヘビーなカーキャリアは傾斜も激しい

書類が散乱したブリッジでクルーはS/B状態。



船長が風波に立てるよう指示を与え操船しているが車両甲板の積荷固定、間隔が気になる。



オレゴンからスタンションを立て北米材をオンデッキに満載し天津に向かう北太平洋。

千島(クリル諸島)付近で嵐と遭遇。



アフターデッキが波に洗われエンジンルームに侵入したビルジを汲み出している。

荷崩れが転覆の原因になる場合もある、カーゴのラッシングと点検は重要だ。

海難とは人や船舶だけではなく、積荷の損傷や機関・推進器・舵の故障も含まれる。



富山港から出港したロシアのフォアブリッジ・スタンゲート船。

オンデッキした中古車はウラジオストク港に向かう途中に日本海に落した。



辛うじて生き残った車も陸揚げ前にスクラップになった。


もう一日、出港が早やければ、いや遅ければ・・・・・

「航海」先に立たず。とは、このことである。

High wave Heavy swell.  海が怒り狂いだせば、無力な人間にはどうにもできない。

人は船が沈み溺れそうになり、海の怖さ自然の強大さ、島や陸の有り難さを実感する。


海を舐めるな。

勇気と知恵が無い者は海を渡れず、恐れを知らぬ者は海から生きて帰れない。



何時、収まるのか。どう沈むのか。救命艇は。海水温は。と緊張する大時化の真ん中。

そんな時、陸では自分と同年代の若者達はテレビを見て笑い歩行者天国で踊っている。

可愛い彼女とドライブや食事、デートを楽しんでいるのか・・・・と考える。

大波に叩かれ大きく傾斜するブリッジの手摺に掴まりながら何とか立っている。

これが本当の波浪ワーク。


紛争海域や狭水道航行、海賊強盗、触雷、洋上補給、瀬取沖荷役、離接舷岸、投揚錨、荷役準備、ホールドクリーニング、ガスパージなど荒天以外にも船には多くの危険が有る。

下らん映画やドラマを見て海の仕事を解ったような気になっているなら大間違いである。

精神的にも肉体的にもキツいデッキワークや整備なども沢山熟さなければならない。


「俺はアホか。」 

と思ったことは何度もあるが、良いこともある。

職席階級で上下関係が厳しい船内生活だが、チームワークで動く文字通り「運命共同体」

同じ船に乗り同じ目標を持ち同じ危機を乗り超え同じ釜の飯を食い同じ当直に立つと生まれた国も言葉も宗教習慣も違う外国人クルー達とも家族同然の強い仲間意識や信頼関係が生まれる。

一緒にクリスマスや新年を祝う自分の部下に Jump Ship 脱船する者は1人もいなかった。

海洋国家日本の海員は精神力、判断力、運航知識、操船技術だけでなくモラルも高い。

日本の海運各社はフィリピンを初め東南アジアに士官海員養成所も創設した。

海上保安庁と海上自衛隊も海外の沿岸警備隊や海軍から士官候補研修生を招いている。

エネルギー資源をはじめ国民の衣食住の多くを輸出入に依存し経済を海外との貿易に委ねる島国である日本の内外航海運や遠洋近海水産業、海洋調査開発を担う海員は領海やシーレーンを護る海上保安官や陸海空自衛官と同様に重要且つ愛国心と責任感も必要な職務である。




古来、日本人は太陽神を崇拝し宇宙、太陽、自然の恵みに感謝して生きて来た民族。

日本船のブリッジには神棚がある。

毎日、安全を祈願し拝礼するが、自分は「凪いでほしい」など無理なお願いはしない。

ミッドウェー海戦の出撃時のように乗組員全員が手を合わせても沈む時は沈むものだ。

神様に拝むことも大事だが、以前に最善を尽くせる良き海員、日本人になるべきだと思う。

これは現在、外交・安全保障上、日本が置かれている状況にも同じことが言える。

船乗りは海と星空、船を愛するロマンチストでありながら、究極のリアリストでもある。


自分は自分が選んだ仕事を後悔したことはなく、水の星である地球と海にも感謝している。


地球は7割が海であり、人をはじめ地球上の生物は海から生まれて来きた。



そして海洋国家である日本の周辺海域に眠っているメタンハイドレートやレアメタルなどの海底資源はエネルギーの時給率はおろか日本を資源輸出国に変え世界の経済秩序まで新しく変えてしまう可能性のある素晴らしい自然の恵み。

海洋資源の発見は新世界、新大陸の発見にも等しい。



the sea will grant each man new hope ・・・

— Christopher Columbus

海は人々に希望を与えてくれる。

- クリストファー コロンブス



海は広く 海は人を育て磨いてくれる 海は生命を産んだ優しい母である。

- Mikkola




Кра́сная икра́  赤いキャビア 極東安全保障経済戦略

Empire of the Sun 7 「太陽の帝国」 マリアナ諸島 テニアンの戦い

Posted at 2015/04/07 21:45:37 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日本の未来 | 日記

プロフィール

「朝、伸び過ぎた髭も剃らずにお出掛け。
「お誕生日おめでとうございます♡」と言って
くれたのは交通安全協会のおネエちゃんだけ。
自費で5年前と同じ免許証入れのプレゼントw
毎回、焦りまくりボタン連打の深視力検査ww
今年もなんとか運転免許更新を無事にクリア。」
何シテル?   05/25 16:15
元・気楽な海上サラリーマン  現・厳しぃ陸上自営隊  時々・トランスポーター 
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