
ちょっと間が開いてしまいましたが、九州旅行記の続きを書きたいと思います。
今日は九州旅行5日目、3月14日の話です。
それ以前はこちらからどうぞ↓
九州旅行記1 ~沈まぬ夕日の果て~
九州旅行記2 ~時を巡る坂の街~
九州旅行記2-2 ~海は忘れない~
九州旅行記3 ~ムツゴロウの土地と人間の土地~
九州旅行記3-3 ~城の主は~
九州旅行記4 ~飛行機たちの午後~
これまで書いていませんでしたが、九州旅行のそもそもの目的はサークルの合宿でした。
鉄道研究会に所属していたのですが、私が属していたサークルも他大学の鉄道研究会の例に漏れず、現地集合現地解散の合宿をします。
『何それ、合宿じゃないじゃん!』
って思う人が大半だと思いますが、文字通り『宿を合わせる』だけです。
言ってしまえば、旅に出る口実として『合宿』を行うのであって、その道中は各々鉄道を好き勝手に楽しみたいという、いかにも鉄道研究会らしい催し物なのです。
そして、3月14日が合宿日、つまり宿へ時間通りに行くことが求められる日でした。
朝早く目覚め、この日、最初の目的地である内之浦宇宙空間観測所へ向かいます。
『うちのうら うちゅうくうかん かんそくじょ』
素晴らしい五七五です。
到着し、見学者申し込みをして、中へ入ります。

施設最深部に『衛星ヶ丘(ほしがおか)展望台』があり、そこからは衛星追跡アンテナ(Φ34m)が見えます。
このとても大きなパラボラアンテナで衛星を追跡し、様々なデータを収集します。

こちらは展望台の脇にあるΦ20mの衛星追跡アンテナ。
私の愛車と比べて、この大きさがあります。
この大きなアンテナが、衛星に指向するために動きます。
展望台を降りて、Φ34mのアンテナに近づいてみます。

もう、信じられないくらい大きいです。
そして、裏面をびっしりと覆い尽くす鉄骨、頑強な印象を与える脚、紺碧の空とそれを支える真っ白なアンテナ…とても美しいです。
小さなアンテナもありました。

奥に見えるのはΦ20mのアンテナです。
観測ロケットの打ち上げなどに使われるKSセンター。

観測用のシングルロケットシリーズのほかに、我が国初の人工衛星『おおすみ』を搭載したL-S4ロケット5号機もここから大宇宙へと旅立ちました。
L-S4のモックアップが展示してあります。
KSセンターからさらに下り、入り口ゲート近くの広場まで来ると、日本の宇宙開発に尽力された糸川博士の銅像と、おおすみの記念碑が置いてありました。

『人生で最も大切なものは逆境とよき友である』
そして、イプシロンロケットの発射台までやってきました。
もともとは大型のMロケットの発射台でしたが、改造されてイプシロンロケットの発射台になりました。
横にはM-Vロケットの地上試験機と発射台の一部が置いてありました。

このボロボロの構造物がロケットの発射炎を受け止め、安全な打ち上げが行われていたそうです。
お疲れ様でした。
敷地内には宇宙科学資料館があり、我が国の宇宙開発の歴史を学ぶことができます。
はやぶさやイプシロンロケットで若干の盛り上がりをみせましたが、やはり、まだまだ国民の理解を得られて無い部分だと思います。
一人でも多くの人に知ってもらいたいですし、何よりも宇宙への盲目的な憧れ、夢、希望を感じられる場所だと思うので、お勧めです。
内之浦宇宙空間観測所を出て、大隅半島の先端、佐多岬を目指します。

道中、海がとてもきれいだったので、写真をパシャリ…。
海沿いだから、平坦な道かと思っていましたが、とても起伏に富み、道幅も狭く、峠道でした。
そして、意外なほど遠い…
道端には菜の花と柑橘類が黄色を添えて、少し汗ばむほどの陽気の中、南へとクルマを進めます。
そして…
特別、何かがあるわけではない。
ですが、なぜか皆、最果てを目指したくなるものです。
大型バイクに乗ったおじさんたちと共に、愛車で最果てに辿り着いた歓びを噛みしめました。
さて、最初にも書いたようにこの日はタイムリミットがあります。
佐多岬に着いたのが12時過ぎ。
18時にはクルマを宿に停めた上で、鹿児島駅にいなければなりません。
あまり余裕がない…。
そして、まだ桜島を見ていない…。
佐多岬からひたすらに鹿児島湾を左手に見ながら、桜島の前景が見える場所を探します。
旅もすでに5日目。
連日の多走行に、体も悲鳴を上げつつ、それでも走らずにはいられない。
愛車と共に走る歓びは、初めてこのクルマに乗った日から色褪せることなく、むしろより一層輝きを放っているかのような思いの中、鹿児島湾を見渡しながら走り続けます。
ようやく桜島が姿を現したので、漁港にクルマを停めます。
火山灰によって空全体が霞んでますが、噴煙を上げる桜島をバックに愛車の写真をパチリ。
桜島を一周したい思いもあったのですが、時間的な都合もあり、途中まで…
気になっていた黒神の鳥居を見に行きます。
現在、大隅半島と桜島は陸続きですが、それは1914(大正3)年の大噴火によるものです。
桜島の東側に位置する黒神地区は全687戸が火山灰により埋没。
同地区にあった腹五社神社の鳥居だけがわずかに顔を覗かせていたようです。
写真の鳥居は高さ3mあったようですが、今、地面から顔を出しているのは腰より低いくらいの高さ。
猛烈な噴火と降灰の様子を後世に伝えるために、当時の村長が保存したそうです。
ここまで走ってきた道、周辺の小学校や民家は、このとき埋もれた村の上に広がっている…。
火山災害の恐ろしさを改めて感じさせられました。
桜島の噴火は続いており、道路にもうっすらと火山灰が…。

こんな電光表示も、この地域ならではなのかもしれません。
さて、いよいよ集合時間が近づいてきました。
鹿児島市内へ向かいます。
狭い道の最奥に本日の宿、合宿地がありました。
クルマを停めると、後輩の自転車が…
(仙台から自転車で来たのかぁ…)
駅でサークルのメンバーと合流。
二人足りない…
とりあえず宿へ戻ると、同期はレンタカーで、後輩はバイクでやってきました。
(なんのサークルだっけ?)
全員集合したところで、食事に出かけます。
前日、鉄板焼きとシロクマは食べたので、この日は海の幸を…。

注文を受けてからマグロをたたき、注油もなしの、本物のネギトロで、すごく美味しかったです。
再び宿へ戻り、どのようなルートで来たのか、芋焼酎片手にルート発表会をしました。
やはり、鉄研の合宿は楽しいですね。
これが最後の合宿かと思うと、少し寂しいです。
ルート発表会を終え、酒もまわったところで、この日は終了。
あとは帰路になります。