休日の高速道路料金を地方で「上限1000円」にする割引が、先月28日に本格スタートした。通行台数が増えて行楽地がにぎわう一方で、大渋滞や料金システムトラブルなど心配された混乱はなかった。利用者にはおおむね好評のようだ。しかし、残念ながらこの大幅値下げは筋の通った景気対策には見えない。メリットを受ける層が偏っている上、さまざまな副作用も予想される。国によるゆがんだ支援だと言わざるを得ない。
今回の値下げの特徴は、休日に遠距離を走る乗用車への優遇が際立って大きい点にある。例えば、青森中央-名古屋の普通車の通常料金は2万600円だが、これが1000円に下がる(東京近郊を通らない場合)。割引率は何と95%だ。近距離ほど割引率は小さく、青森中央-盛岡なら4100円→1000円で76%の割引。一方、大型車は「上限1000円」の対象外なので休日昼間の割引がなく、平日も昼間なら3割引きにとどまる。そして、自動料金収受システム(ETC)機器のない車は、一部の例外を除き割引ゼロ。このアンバランスは尋常でない。当然ながら、ETC未搭載の人やトラック業界から「不公平だ」との不満が出ている。
他の交通機関にも「全国一律○○円」といった割引は存在するが、それは民間企業の話。格安料金を提供しても全体として収益を最大化する、という一応合理的な理由がある。だが、税金を使った景気対策は性格が違う。一部の利用者を過大に優遇するのは禁じ手ではないか。
「不公平」はもう少し広い意味でも指摘できる。「平日昼間3割引き」などを含む今回の値下げ全体で5000億円の財政負担(2年間)が生じるが、この巨額の支援をなぜ車という交通手段だけに与えるのだろう。高速道路が安くなれば、他の交通機関から利用者が流れる。日本旅客船協会によると、本州四国連絡高速道路などと競合するフェリー航路は、3月28、29日の輸送量が前年同期より3~5割も減ったという。
自動車をめぐっては、地球温暖化対策として二酸化炭素(CO2)排出量の削減が国土交通省の重要な政策課題のはずだ。しかし、高速道路の値下げは、通行台数の増加や渋滞の拡大を通じてCO2の排出を増やす懸念もある。交通政策全体の中での位置づけが吟味されないまま、与党の選挙対策として出てきたのが今回の大幅値下げではないか。
さらに、利用者自身も不便を被る可能性がある。スタート時の渋滞はさほどでなかったが、ゴールデンウイーク、お盆休み、年末年始の渋滞はやはり心配だ。ただでさえこうした時期の渋滞はドライバーを悩ませてきた。「上限1000円」で渋滞が悪化することはあっても、改善に向かうことがないのは明らかだ。
このように問題の多い値下げだが、もう実行に移されてしまった。利用者は一度下がった料金に慣れるだろうから、期限である11年3月末で元の料金に戻せば反発は必至だ。だがそれでも、著しく不自然な「上限1000円」の部分だけは、延長せず2年で打ち切ってもらいたい。
「平日3割引き」など他の値下げ部分まですべて廃止するのはさすがに影響が大きすぎるから、料金水準全体は現在の割引の平均的なところで維持せざるを得ないと思う。ただし、複雑な料金体系は整理した方がよい。今の料金は、曜日、時間帯、車種、ETCの有無によって割引率が違い、きわめて分かりにくい。割引の種類を減らした上で、原則として通常料金に一本化してはどうだろう。
その場合、収入が恒常的に減るので、「高速道路建設で生じた約40兆円の債務を45年かけて料金収入で返済する」という現行計画は、根本から組み替えが必要になる。旧日本道路公団などの民営化時にできたこのスキームは、今の値下げが続く限りは国が年に何千億円も債務を肩代わりしないと維持できず、既に事実上破綻(はたん)している。それなら、返済期間を延ばすなどの見直しをして収入不足をカバーする方がよほどすっきりする。
あるいは、財団法人・統計研究会の宮川公男理事長らが「便益を受ける利用者が負担するのが公平」だとして提言する「永久有料化」も、検討の価値がありそうだ。ちなみに、民主党が主張する無料化は、最終的に全債務を税金で返すことになり、高速道路を使わない人から見ると非常に不公平だと思う。私は反対だ。
1000円であれ無料であれ、利用者にはありがたい。だが問題は全体としての費用対効果である。今回の値下げで地方の観光が活性化するかもしれないが、5000億円の財政負担に見合うかどうかは大いに疑問なのだ。
売日変態新聞より
相も変わらず曲解の得意な変態新聞の記事ですが、異議がいくつかあるので反論してみたいと思います。
一方、大型車は「上限1000円」の対象外なので休日昼間の割引がなく、平日も昼間なら3割引きにとどまる。そして、自動料金収受システム(ETC)機器のない車は、一部の例外を除き割引ゼロ。このアンバランスは尋常でない。当然ながら、ETC未搭載の人やトラック業界から「不公平だ」との不満が出ている。
この部分だけをとれば確かに不公平だと思いますが、真の問題はなぜもっと安い値段、あるいは無料にするべきじゃないのかなと。
例えばパリの環状線、外環は無料で利用できます。そういうのを組み合わせてパリ近郊の家からOrleansまで10.90ユーロ(走行距離:180Km前後、約1500円)
似たような距離を日本で再現すると練馬-長野間だと通常料金で4900円にもなります。
つまり高速道路は万人のためにある以上、もっと安い価格で提供するべきではないかと思うんですよ。
次に
自動車をめぐっては、地球温暖化対策として二酸化炭素(CO2)排出量の削減が国土交通省の重要な政策課題のはずだ。しかし、高速道路の値下げは、通行台数の増加や渋滞の拡大を通じてCO2の排出を増やす懸念もある。交通政策全体の中での位置づけが吟味されないまま、与党の選挙対策として出てきたのが今回の大幅値下げではないか。
CO2という言葉を使えば何でも許されるみたいですが、じゃあ、変態新聞さんはすべての移動はタクシーを使わず、電車のみで移動しますか?
毎日の買い物に必要な流通はトラックをやめて電車&馬車にすればいいんですか?
道路の使用がCO2を増やすと言ってもそれは現代社会では仕方がない話。つまりナンセンス過ぎると思うんですよ。
たとえば、どうやったらハイブリッドや次世代燃料車に持っていくとか…そういう論議に持っていったりとか、建設的な方に持っていく方がメディアとしての在り方だと思うんですがね。
最後に
「高速道路建設で生じた約40兆円の債務を45年かけて料金収入で返済する」という現行計画は、根本から組み替えが必要になる。旧日本道路公団などの民営化時にできたこのスキームは、今の値下げが続く限りは国が年に何千億円も債務を肩代わりしないと維持できず、既に事実上破綻(はたん)している。それなら、返済期間を延ばすなどの見直しをして収入不足をカバーする方がよほどすっきりする。
あるいは、財団法人・統計研究会の宮川公男理事長らが「便益を受ける利用者が負担するのが公平」だとして提言する「永久有料化」も、検討の価値がありそうだ。ちなみに、民主党が主張する無料化は、最終的に全債務を税金で返すことになり、高速道路を使わない人から見ると非常に不公平だと思う。私は反対だ。
これも論点がずれてると思うんですよ。
まず第一にこれだけの負債を抱えているのなら、負債を減らすためにはどうすればいいか、無駄な高速道路を造るのはやめて、抜本的に見直したらどうかというべきところを、ユーザーが支払うべきだの無料化は反対だのと不毛な論議で終わるべきじゃないと思うんですよ。
高速道路を直接使わなくても、間接的には流通などという形で恩恵を受けている以上、本来は税金で賄われるべきものなので本来は無料が当然だし、そういうところにメスを入れないから未だに談合だのなんだのって問題が起きてると思うんですよ。むしろ国に対して云々言うよりも、この財団法人の宮川某の発言に対して苦言を申すべきだと思うんですが、親朝、親中の変態新聞じゃ無理ですかね
Posted at 2009/04/08 21:54:41 | |
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自動車関係 | 日記