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自動車メーカー各社がPHV（PHEV)の新型車を次々と開発し市場へ投入する準備が整って来た。
EV化が進み自然エネルギーの推進と相まって地球環境の悪化に歯止めがかかる。
方向性としては歓迎。

しかし、実際の運用では問題がある。
出先の充電だ。
EVは電気だけで走るから航続可能距離以上に走ろうとすれば出先で補充電が必要になる。
経路充電は必要不可欠だ。

一方でPHVはガソリンエンジンを併用しているから補充電は必要不可欠ではない。
また、PHVは自動車の分類としては電気自動車ではないから「電気自動車専用」と制限された場合の取り扱いに誤解を生じやすい。
これらが時にはすれ違いを生じているようだ。

高速道路を管轄するNEXCOでも、判りにくい運用を示している。
サービスエリア・お買物ホーム>施設・サービス案内>EV急速充電スタンド

前提として
「急速充電器整備にあたっては、ＥＶの利用者が電欠なく目的地に到達できるよう、その途中における経路充電を提供するため、ＳＡ・ＰＡに充電インフラを配置しております。」

特記事項として
「なお、ＰＨＶに関しては電欠が生じた場合にあっても内燃機関により走行が可能なため、高速道路上での充電インフラ利用は想定していませんが、急速充電器に対応する充電口を有するＰＨＶの利用は妨げないこととしております。」

「利用は想定していない」が「利用は妨げない」
これが非常に判りにくい。
素直に解釈すれば、PHVは充電インフラの利用対象ではないが、利用を阻止しないということだろう。

例えれば、子供専用の公園では大人は利用対象ではないが、大人だからという理由で退去を求めたりはしない、的な意味合いだろう。
「良識で判断してくれるだろう」と大人の分別を期待している。

では現地の高速道路の充電器にはどのように注意喚起されているだろうか。
最も目立つのはこの表示だ。

NEXCO中日本では、この表示について
「このマークのある駐車マスは電気自動車急速充電専用の駐車マスとなります。」

電気自動車専用のスペースだから、電気自動車以外の車両の利用は想定していない。
EV急速充電スタンドの運用方法と同じ考え方が示されている。

ところが、急速充電器を利用できるPHVを排除していないから、実際には利用できてしまう。
使えるものは利用したいのがユーザーとしての気持ちだから、充電カードを所持するPH（E)Vユーザーは電気自動車専用の駐車スペースに侵入してしまう。

NEXCO各社が中途半端な運用方針を示している背景には、あちこちから横やりがあるのだと思う。
充電インフラが脆弱な現状では、EVの電欠防止を最重要として掲げ「専用」にしたいところだが、PH（E)Vメーカーやユーザーからの苦情や要求を回避したいから、あいまいな表現を使ってしまう。


一番良い解決策は、自動車の多くが電気モーターで走行するようになっても現在のガソリンスタンドをガソリン車が利用するくらいの利便性が確保できる環境が整えられることだ。
しかし、それまでの準備期間は、何がしかの不自由が生じてしまう。

現時点では、急速充電できるPHVは数が少ないから社会問題化していないが、ごく近い将来は当たり前のように走るようになるだろう。
そうなる前に、車社会の共通認識を育て上げるためには、今から明確にしておいた方が良いように思う。

高速道路の急速充電を電気自動車専用と位置付けるなら、実際の運用でも専用になるように表示や啓発に努めてほしい。
急速充電できるPHVの利用も認めるなら、「妨げない」という判りにくい運用ではなく「電気自動車と同様に利用できます」と明確にして欲しい。


「電気自動車専用」という言葉の解釈があいまいになると迷惑するのは実際のユーザーだ。
電気自動車専用、電気自動車・PHV専用、PHV専用などを明確に使い分けることができるように関係各位の精進を期待しています。


※以上は、NEXCO各社に要望として伝える内容です。一般道はこの限りではありません。