お盆の混雑期に三日半で2150kmのロングランを実行した。
幸運も手伝って無事に楽しく充実した旅になった。
いつものように事前に綿密な充電計画を立ててあったので、充電による時間の無駄はほとんどなく電気自動車だからというデメリットは全くなかった。
むしろ電気自動車の特権を活用したことで得をしたことの方が多かった。
全行程は下図の通り。
往路と復路の二日間で1500km以上走行したのだが、お盆の入り(13日)は帰省ラッシュで、日中は渋滞で身動きが取れなくなるから、最も混雑しない未明の時間帯に日本海に抜けることで回避した。
帰り(16日)も東北自動車道はUターンラッシュで50kmの渋滞だとラジオから流れていたが、上越を経由して猛烈に渋滞する経路を外し、深夜ETC割引を利用できる午前零時に最寄りのICを出る時間帯は渋滞もなくなってスムースに流れていた。
高速道路が主体とはいえ二日で1500km超はガソリン車に乗っている時だったら絶対に嫌だ。
リーフの乘り易さがあって初めて可能になったと言える。
電気自動車は遠乗りに向かないという固定概念は、電気自動車の乗り方を知らない人達の妄想でしかない。
電気自動車の優れた移動方法を知らない人は、電気自動車の遠出は難行苦行だと思い込んでいる。
確かに効率良く充電するには事前の充電施設の調査など頭を使う必要がある。
ただなんとなく走って素早く移動できる車ではないからだ。
裏を返せば、電気自動車で遠出する楽しみはそこにある。
ガソリン車のように高い燃料費を使うよりも頭を使った方が経済的で脳の活性化にもよいだろう。
旅の楽しみは現地に行くことだけではなく、地図を見て、ガイドブックを調べ、気象状況など多様な情報を集めてより良い旅にするための計画を立てるところから始まる。
ガソリン車で出かけていた時でもそれなりに時間をかけて旅の計画を立てていたが、電気自動車に乗るようになって数段レベルアップした。
特に電費シミュレータを開発したことにより、旅程を分単位で計画し、時刻ごとの気温予報により現地での正確な電費が計算できるようになった。
これにより必要にして最小限の充電が可能になったことで、二日で1500kmの距離でも楽に移動することができた。
帰り(16日)のルートと電費シミュレーション。
計画通りにいつも実行しているわけではなく、臨機応変に速度を変えたり、異なる充電場所を利用する場合でも、基準となる電費を正確に把握しているので不安なく予定を変えることができる。
バッテリー残量のヘビがどうのこうのという運まかせでヒヤヒヤすることとも無縁だ。
今回の旅では残量1セグで3kWhを残して不測の事態にも対応できることを徹底した。
最悪の事態、例えば予定していた充電施設が故障しても最寄りの代替施設に移動できることで電欠することは無い。
車にこうした機能が備わっていれば誰でも同じようなことができるのだが、日産ができるのに付けていない現状では、できるユーザーとできないユーザーの違いは大きくなってしまっている。
リーフで遠出する楽しみは、自分がレベルアップしたことが結果として現れるところにもある。
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もう一つ、電気自動車の長距離移動を楽にするための必須要素が電費の向上だ。
2151km走った消費電力は222.58kWhで電費は9.7km/kWhとかなりの好成績。
乗員2~3名、高速道路は東北自動車道で時速100キロそれ以外は90キロ、猛暑でエアコンを使い、土産物の冷凍の海産物が入った車載冷凍庫は付けっ放し、大量の水やお茶・経口補水液(計14kg)など積載重量もかなりある中では上出来だ。
溝が浅くなった低燃費タイヤ(PZ-X)の効果もあるが、バッテリー残量の少ない範囲を利用することで回生発電量も多くなるなど、これまでに得た電費向上技術が発揮できた。
信州に比べれば山が低く、厳しい峠越えがない東北は高い電費で走りやすいことも影響しただろう。
当初の計画では厳しく見積もって電費は8.8km/kWhとしていたが、実際は一割向上したことで、経路充電がかなり楽になった。
電費が良ければ充電時間を短くでき、バッテリー残量に余裕があるから高速道路でも流れに乗れる。
長距離を早く移動するために電費の良さはとても重要だった。
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走行用リチウムイオンバッテリーは出発の時点で75%まで劣化していた。
カタログ値基準で18kWh、実用領域は15kWhしかない。
新車の時よりも5kWhも少ないバッテリーだが、経路充電技術がそれを補って、おそらく初心者ユーザーの新車よりも早く移動できるだろう。(さすがに30kWhリーフには敵わないかもしれないが)
帰宅したらバッテリー容量は若干戻って77%になっていた。
この状態なら今年の冬は、なんとか乗り切れそうだ。
来春までにはリーフのバッテリーは他社製に切り替わり性能向上が期待できる。
黎明期の二次電池は、後発の製品で性能が下がることは絶対にない。
来年の今頃は、理想的には30kWhに載せ換えたいところだが、最低でも24kWhには変えているだろう。
バッテリー性能が上がれば九州へ三千キロの旅に出ることも楽になる。
一つの旅の終わりは、次なる旅の始まりでもある。