「違和感」の正体

先日、祖母の通夜で感じた違和感の答えを自分なりに記してみようと思います

始めは祖母の「死」そのものなのかと思いました。
しかし、祖母が亡くなったという事実ではない事は一瞬で分かりました。何か落ち着かないその感覚は明らかに悲しさと言う感情とは違っていたからです。
通夜の後、親族と話しながら色々考え続けても明確な答えは出ませんでした。

翌日の夜勤中も引っかかって仕方がありませんでしたが、その夜勤明けで上司から「この前の試験の結果が来てるから」と呼ばれました。試験と言っても会社の昇進試験ではなく、頼まれたから半ば受けたような検定試験です。渡された葉書を開くと、不合格の文字がありました。

葉書を見ながら試験の際の様子をふと思い出しました。接客に関する面接試験でしたが、面接官をお客様に見立てて実技をする・・・と言うものです。接客を全面に打ち出した検定と言うこともあって、受付から面接官・受験者に至るまで独特な雰囲気でした。皆で演技をしているようなものです。
この出来事を思い出した瞬間に、感じていた違和感が何であったのかに気付きました。

それは、現代の異様なまでの『過剰』さに対してです。

接客の検定試験では極端なまでに演技をし、模範的なサービスで皆合格しようとします。しかし、それは見方を変えれば、過剰なサービスの押し売りです。
そして通夜で感じていたのは、綺麗な会場で至れり尽くせりで全てが進んでいく事実に対して。人が亡くなったのにどこか現実感がなく、ただのセレモニーに感じられたのです。
悲しい出来事のはずなのに、それを感じさせないのは気持ち悪くすらあります。そんな考えをする私がおかしいのでしょうか・・・。

確かに綺麗で全てが至れり尽くせりの現代社会は便利で快適です。いつの間にか正月でも休業する店舗が少なくなり、24時間営業のコンビニや飲食店が増えました。スマートフォンを筆頭に情報機器の進化は留まるところを知りません。
しかし、それに比例して人間は頭を使う必要がなくなるのです。言われたことだけしていれば良い状態になってしまいます。

生きている人間が様々な事柄に頭を使わなくなったら、行き着く先は皮肉にも機械に支配される世の中なのかもしれません。祖母の死がきっかけとは言え、考える良い機会になったと思います。