
「風が強く吹いている」
三浦 しをん 著
新潮文庫
寛政大4年の清瀬は、理想的なフォームで疾走する蔵原と運命的に出会います。
清瀬は、同大学に入学予定ながら、無一文の蔵原を自分の住む竹青荘に引き込み、合わせた10人で箱根駅伝出場を目指すことを宣言します…。
文章は硬軟のバランスがよく、読みやすかったです。
また、無駄な記述もなく、それでいて伝えるところはしっかり感じ取れました。
駅伝という個人競技でありながら、集団競技の要素も兼ね備えた特徴と、素人集団というハンデを逆手に取ることでしか出せない個性を旨く織り交ぜ、既存のスポ根小説にはない柔らかさがあったように思います。
ただ、ここからは苦言を一つ・・・。
まず持って、こんな簡単には箱根駅伝には出られません。
箱根駅伝は大学長距離界最高峰の大会であり、今でも多くのファンを魅了して止まないのは、これに出るための努力が並々ならぬものであるからだと思います。
さらに、市民ランナーのひとりとして、1キロ3分のペースで、20キロ以上走ることのハードさは、たとえ他のスポーツで素養があったとしても、たった一年では克服不可能だと思います。
こんな設定の甘さにちょっと不満<(`^´)>を感じた次第です。
オススメ度・・・4.0
Posted at 2012/04/28 12:49:27 | |
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