
「曼荼羅道」
坂東 眞砂子著
集英社文庫 800円
柴田錬三郎賞受賞作品です!
多根沢麻史は、夫婦揃って失業し、家業である売薬をするため、実家のある富山に戻ります。
亡くなった祖父蓮太郎の残した別宅に住むこととなり、そこで一冊の手帳を見つけます。
それは、売薬の命とも言えるものであり、麻史は、書かれていた立山への登山道、「曼荼羅道」にある村々を訪ねてみることに・・・。
祖父蓮太郎は、第二次世界大戦前、南洋のマラヤ(マレー半島)に渡り、現地の娘であるサヤを妻とし、子を成したものの、戦況の悪化により、サヤたちを残し、帰国します。
戦後の混乱により、棄てられた形となったサヤたちは、艱難辛苦を味わいながらも、蓮太郎の元に辿り着きます。
蓮太郎は、狼狽しながらも、古い空き家を見つけ、サヤたちを住まわせます。
そして、家族、周囲の目から逃げるように、売薬の旅に出掛け、曼荼羅道へ入って行きます・・・。
ちょっと前置きが長くなりましたが、現代と過去を上手く融合させ、男女の情念を描いた小説です。
全体を通して完成度は高いものの、ちょっと贅肉というか、不必要と思える部分が多々あり、著者特有のネットリした文体と相まって、少し読み難さを感じました。
おススメ度・・・4.0
Posted at 2012/01/16 22:57:10 | |
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