
試乗車が出てからしばらくスバルディーラーへ行くことことが出来ず、
遅ればせながらようやくWRX STI typeSへ試乗してきました。
6MTとドデカいリアウイング故に自分が買うことはないであろうモデルですが、スバルの走りのフラッグシップの最新モデルとあっては自分としては乗らずにはおられない心境でした。今回も担当のWさんに同乗して頂きました。
今回の試乗車はtypeSということで、愛車レガシィBP5と同じくビルシュタインダンパーを装備していることが素のWRX STIと違うポイントのようです。(素のSTIはカヤバ製ショック)
早速乗り込みます。
クラッチとブレーキを踏んで、エンジンスタートボタンでエンジン始動。実はMTを運転するのは7年ぶりで内心ドキドキでした。
その7年前に運転したのがモデルチェンジしたばかりのGRB型インプレッサWRX STIでした。なんとなく縁を感じないでもありません。
その時乗ったのはこの車。なんか雪降ってますが・・・
クラッチペダルは想像していたよりも軽かったです。クラッチが繋がるまでの遊びは大き目でしたがなんとか発進。
ステアリングは本革でグリップ部分にディンプル加工がしてありなんだか固い握り心地。太くてしっかりしており好感触です。
GTカーのレガシィのしっとりとした本革MOMOステとは性格が違うんだということが伝わってきます。
段差を乗り越えてみて思ったのは、ボディの剛性感から来るサスペンションの動きの正確さ。
実はこれはゴルフ7Rでも感じたことなのですが、まるでサスペンションが丸太ぐらいの太さがあるように感じるようなしっかりとした動きをします。(何とも変な例えですが・・・)
GRBではスパルタンだなと感じた乗り心地が比べれば随分しっとりしています。大人のスポーツカーになった、という感じ。
もちろんレガシィに比べれば確実に固いのですが路面のいなし方はハイレベルでボディとサスペンションの進化を感じました。ゴルフ7Rと遜色ありません。この新型WRX STIはより太いタイヤ(なんと245/40R18)を堂々と履きこなしています。
流石にBPレガシィもこれらの車と比較するとボディ剛性が劣るなと思わざるを得ません。進化具合に時の流れを感じます。
コーナリングですが、今回からトルクベクタリングが装備されておりどんなものかなと思っていたのですがとても気持ちの良い回頭をする仕上がりになっています。ステアリングを切り込むとノーズの入りが実に自然で「スッ」と入っていきます。コーナリング中もドライバーの意志通りに支持します。というのも作動音が聞こえたからトルクベクタリングが効いていることが良く分かりました。WRX STIのトルクベクタリングではブレーキを作動させるためブレンボの鳴きがかすかに聞こえます。シューっという微かな金属音でした。ODOは1800kmでしたが試乗車ゆえに乗られ方がハードなせいで音が鳴っているだけかもしれませんので悪しからず(笑)
車を操る楽しさ、思い通りに曲げて思い通りに加速し、思い通りに減速する。そういったスバルの車作りの頂点に位置する車として恥じない仕上がりになっていました。ロールはしっかり抑え込みながらもどこか動きはしなやか。BPレガシィとキャラクターは違えどその仕立ては自分としてはただただ心地良い。動物のようなしなやかな走りはまさにスバルスポーツだと感じました。
ところで素人の杞憂でしょうが、トルクベクタリングによりブレーキの容量を食っていってしまうので発熱(フェード)は大丈夫なのかな?と思いました。普段の走りで問題になることはまずないでしょうが・・・。これはWRX STIに限らずゴルフ7HLについても感じていたことです。蓄積したブレーキ系の発熱により緊急時の制動性能に影響が出なければ良いことですが。
スバル車の内装のレベルは年々向上しており、安っぽさは感じません。シートのホールド性も当然ながら全く問題なし。
遮音性も向上しており、GRBではスパルタンそのものでカツンカツンと跳ねた石がフロアを叩く音がよく聞こえていましたが新型WRX STIではしっかりとカットされていました。
そのことを担当さんに質すと売る相手の年齢層が高くなっているのでその対策もあるだろうとのことでした。(低い質感・快適性では目の肥えた層に選んで貰えない)
WRブルーパールの色も抑え目になったし、リアウイングの有無も賛否両論だそうです。まあ確かに価格帯を考えれば止む無しでしょうね。メーカー側も売れなきゃ話にならないから大変だなと感じました。
エンジンの性能。
愛車と同じ、勝手知ったるEJ20ターボではありますが、躾けが随分違いました。
2000回転でMAXトルクを出す愛車のEJ20Xとは違い、より高回転側に振られています。
低速回転は細いというほどではないですが、やはり回さないと本来のパワーは出てこない印象でした。
そのかわり3500回転を超えた頃から強烈なトルクと快音を発しつつレブまで駆けていきます。高回転型エンジンの持つフィールは心地良いものでした。(さすがに試乗でレブまでは回してないですが)
サウンドジェネレーターなどなくてもエンジンの素性の良さを耳でも楽しむことが出来ます。
この点はゴルフ7Rにも勝ってると思いますネ。
乗る前に気になっていたのは電子スロットルの制御。
スロットル開度にリニアな燃料噴射をするのがスバルイズムだと信じていたのですがなんでもこの新型WRX STIでは低開度の燃料噴射量を増やしてトルク感を増しているとのこと。
「なにーっ、そんなのは邪道だー!」とまでは言わないですがどんな仕上がりになっているか心配していました。
心配は杞憂で、全然分かりませんでした。(この恩恵で低速トルクが細いと感じなかったのかもしれませんね。)短時間の試乗では感覚とパワーの出方の差による違和感は全くありませんでした。長く乗って行けば違った感想も出てきそうです。
(そういえばGRBはもっと高回転型だった気がする。)
担当さんはEJ20ターボは次世代WRX STIでもキャリーオーバーするかもしれないとは言っていましたが、このような細工をせざるを得ないということは限界も見えつつあると思います。
今月号のベストカーにてWRX STIとWRX S4の0-400mタイムの差がほとんどないとありましたが6MTとリニアトロニックのレシオカバレッジの差とMTの変速時トルク抜けタイムロスが伝達効率の差をほとんど埋めてしまったものと思われます。より低い回転数からMAXトルクを出し続けるFA20DITとリニアトロニックの組み合わせの実力は侮れないということでしょう。(95年のインプランエボ対決の頃よりタイムが遅くなったともありました。パワートレーンが環境性能対応で思う様に実力UPできなかったのと安全基準によるボディ重量増のせいかな。時代は変わっているということでしょう。)
同じEJ20ターボに乗っている身としては出来るだけEJ20ターボにはカタログ落ちして欲しくないですがどうなることやら。
よりハイパワーレンジをカバーするFB25DIT(?)の登場も噂されています。まだまだスバルから目が離せません。