僕は駅前のビジネスホテルの一室で、ぼんやりと天井を眺めていた。
オレンジ色のほんのりとした優しい光が、白い壁に覆われた部屋をうっすらとオレンジ色に染める。
夕焼けのようなどこか温かくも切ない気持ちにさせる空間を演出していた。
それは、女の子の体から伝わる温かみを知りつつも、少年から大人の階段を登った事を僕に気付かせていたのかもしれない。
つけっぱなしにしたテレビから、午後10時を知らせるニュースが流れる。
いつもと変わらず淡々と伝えられるニュースを読む声は、僕の胸の高鳴りと相反しているようで、少しばかり愉快であった。
毎日毎日同じことばかりを言っている。
世界中の不幸を伝える大人たちと僕とは違うんだと思っていたから。
何が楽しくて生きているんだろう…
大人が少しかわいそうに思えてくる。
クスッ…
そんな気持ちを察したかどうかはわからないが、僕の耳元にかすかに笑い声が入ってきた。
つい先ほどまで髪の毛をふりみだし、歓喜の声をあげいた5歳年上の女の子の声であった。
シーツが乱れるほどに激しく動いていた体は、ほんのりと桜色をしていたが、静かな呼吸とやわらかな温かみだけを残して、僕の体に寄り添っていた。
一糸まとわぬ僕たちは、うすい毛布にくるまりながら、互いの体を寄せ合い、額をくつけたり軽く口づけを交わしたりしていた。
僕のケータイがなる…。
「ひょっとして女の子から?くーちゃんってそういう人なの~。」
リサはニヤニヤしながら冗談っぽく言った。
「そう思う?そんなに慣れている男だったら、告白するのに言葉はつっかえませんよ。」
「でもさ~…。初めてのわりには…結構よかったよ…。」
「は…?うるさいな。まぁ…。こっちも…なんていうか…」
「私は、もうこの年だもの。そりゃ初めてじゃないけど…。こんなにドキドキしたことは…」
「別にいいよ。」
「信じないんだ。早く電話でなよ。」
「うん。」
ナンバーディスプレイのところを見ると、シンからであった。
応答ボタンを押すと、夏の終わりが近づいてもまだパートナーを探せていないアブラゼミのような大きな声でしゃべる声が、僕の鼓膜に突き刺さった。
「おい!くーちゃん、俺が便所言っている間にどこ行ったんだよ!ケン兄ちゃんに訊いたらバリオスのテストしたいって言うからキー渡したとしかいわね~し…。」
「その割には電話かけんの遅いじゃん…。おまえ、乗ってたろ…。」
「へ…。ばれた?俺の単車も調子がよくってよ~。ダイシン管からの排気音がもう最高~!おれ…イッチちゃいそう…。」
「そんなことは言われなくてもわかるよ。あ…おれはもうイッちゃったけど。」
プ…クスクス…
と笑うと、様子を聞いていた口元がにやりとした。
「あれ?くーちゃん、今女の子の声しなかった?」
「空耳だよ。お前、19000回転の音を聞きすぎておかしくなったんじゃね~の。」
「そうかもしれない…。あ…。そんなことよりテストは終わりだって!おわり!大変なんだよ~!」
「どうしたんだよ。盆と正月が一気に来たみたいなテンションで…」
「バカ。俺の頭は一年中夏休みだって!水着のちゃんね~がいつでもフィーバーしてっから…
じゃなくってさ、今イクミチャンから連絡あって、今日合宿かなんかで俺達の地元に来るんだってさ!最終の電車で着くみたいだから、むかえにいくんべ~よ。しかも、リサちゃんもいっしょみてーだしさ。」
「え~。リサちゃんも来るの!それは一大事だ。今10時を少し回ったところだから…。」
迫真の演技をする僕を見たリサは、足をバタバタさせて笑っていた。
「ごたごた言うなよ。どこはしってっかしらね~けど、とりあえずいつものコンビニな!10時半までに来いよ」
「わかった。それじゃ。」
僕は電話を切った。
「へぇ~。どこのリサちゃんが来るの~。イクミチャンと一緒なんだ…。」
「ちょ…ふざけ過ぎだろ~。シンには言えねぇんだからさ…。今は…。」
「それって…私とこんなことしたから?」
「それもあるけれど、あいつの思考回路がショートするな。頭降るとたまにカラ~んって音するから…。」
「ちょっと~友達でしょ。」
「うん。親友だよ。」
「私もなんて言われる事やら…。」
「何とも言えないよ。不器用ですから。」
「はいはい。それじゃまた。私はシャワーしてから駅に向かうから、時間稼ぎよろしく。」
「なんで。イクミちゃん着いたらすぐ会うんでいいじゃん。」
「女の子の身だしなみ。よろしくね~。」
そう言い残し、リサはバスルームへと消えていった。
「はいはい。」
僕は部屋を出た。
ほんの2時間ばかりであったか。
停めたときには温まった金属の音を出していたエンジンは、手で触れるくらいにまでなっていた。
僕は愛機にまたがりエンジンをかける。
セルを回すと、あっという間にエンジンがかかる。
独特の感触が伝わるチェンジペダルをローに入れ、僕は走りだした。
少しずつ温まるエンジンの様子を見ながらスロットルを開け、回転数をあげていく。
8000回転…
12000回転…
回転数を上げるたびに聞こえるバリオスの声は、先ほど聞いたリサの声と相まってくる。
単車は女…。
そんなことを聞いたことがあるが、いま一致した気がする。
通勤ラッシュが終わった金曜日の夜の国道は、いつもとは違っていた。
バスの排気ガスの暑さもない。
ゆったりと走る自動車の影もない。
目の前に広がるアスファルトの路面は、僕の行先を、十戒のごとく切り開いていったのであった。
市民会館前の信号を左折し、一本路地を入るといつもの公園にたどり着いた。
既にシンは来ていた。
ライムグリーンを基調に、ピンクや赤、白を差し色に入れた疾走感あるレーサーレプリカは、オーナーがエンジンを掛けて走り出すのを今か今かと待ちわびている。
オーナーも同様だった。
口に何やらくわえて…
「く~ちゃんのもいい音してんな~。だけど遅いって。今から出なきゃ間に合わないジャンよ。女の子はまたしちゃいけね~って兄貴も言ってたしよ。」
「でもさ…。さっきリサちゃんから電話があって、イクミちゃんがおなかすいたっていうからご飯食べてからくるって言ってたよ。」
「は?俺も飯食ってね~し。」
「おまえは大丈夫だ。何とかなるベ。」
「んなこたね~よ。」
「んなことあるって。こないだアップハンつけたときには飯食うンも忘れてやってたじゃん。」
「でもさ~それとこれは別だって!俺も一緒に食べたいって!」
「わかったわかった。向こうもご飯食べてくるから、こっちもなんか食いに行くんベ~。」
「く~ちゃんも食ってねえのかい。お互い似たもん同士だな。単車にどっぷりハマってさ。」
にこりと笑いながら僕たちはこぶしを突き合わせた。
「そしたら…。いつものラーメン屋行くベ。満塁軒!おやじの指からいいダシがでるんだよな~。」
僕が言う。
「ひゃっひゃっひゃ…。あれ、きっとトイレから出てから、おやじ手~洗ってねーぞ。コクがありすぎるもん、味噌ラーメン…。」
「それ以上言うなよ。食えなくなるだろ!ま、行くベ。」
僕たちはラーメン屋に向けて走り出したのであった。
…
…
…
「ごっそさ~ん。は~うまかった。」
「あんたよく食べるね~。こっちが気持ちいいわ~。替え玉。2個分にしといてやるから。」
「おばちゃんいつもわりいんな。くーちゃんはひとつしか食べてないから、くーちゃんはらいなよ。」
「意味わかんね~。てかお前いくつ食ったん・・・。」
「6玉!」
「おまえはウシか?胃袋いくつあるんだよ。」
「いいっていいって。こうやってるのを見ると、息子がいたらこんな感じだったんかな~とも思うしね。それに何より、あんたら教えた田中君はうちの娘と幼なじみでさ。たびたびお店に来るのよ。あっ…。あんた。山崎君だっけ?君の話はよくしているんだよ。」
「え~。もういいよ。あいつ滅茶苦茶にいうんでしょ。」
「そんなことないよ。あいつは好きなことなら一生懸命やれるから、思い切ってバイク屋さんの職場体験いかせてみようって言ってたんだからね。」
「初耳だな。どうして今まで言わなかったの?」
「やつらが中学出て自分の道を歩き始めるまでは黙ってて・・・。そう言ってたからさ。それに、真面目な子をつけてその子の負担にならないか心配してたのよ。でも、それはないみたいね。」
「なるほどな~。」
その時だった。
ボボボボボボ…。
クァ~ン…
フォァ~ン…
ヒュイ~ン…。
それは…
F1マシンが走り去るような…
いや、アメリカのジェット戦闘機が離陸したような…
何ともいえぬソプラノサウンドがした。
シンはさっと立ちあがり、ラーメンの代金をカウンターの上に置き、一目散に外に出た。
「おばちゃ~んつり、いらね~から。」
「いや、足りてね~し。これ。奴の分です。」
「はいよ。それにしてもあんたは面倒見がいいのね。まあ、そのうちいいことあるわよ。」
もうあったよ…
心の中で思いながら僕は外に出た。
「あ~見失った…。」
「ずいぶんと甲高い音だな~。アイドリングは低音だけど…。」
「訳がわからね~。あ!はぁイイだんベ。迎えに行くベ!」
「うん。」
駅に向かって2台の4気筒マルチは走りだしたのであった。
駅に着くと、イクミとリサがいた。
「わりい、遅くなっちゃって。こいつがラーメン6杯も食うからさ。」
「そりゃおまえだろ。ごめんね待たせちゃって。」
「もう。女の子を待たせた上に、シン…。あんたウソついたわね。私に向かって…。またスクワットやらせるけど…いいのかな~。」
「ご…ごめん。それよかどっかいこうよ。今からだと…。カラオケとか…ゲーセンとか…」
「ふふふ…。さすが高校生。」
「何がおかしいんだよ。いいだろ」
シンが言う。
「懐かしいね。てか、バイク乗せてくれるんでしょ。」
「もちろん!ほら。」
シンがイクミにヘルメットを渡す。
「うわ~。リサ…私たち初めて乗るね…ドキドキするね…。」
「うん。楽しみだな~。」
「おい、く~ちゃん俺の夢がかなったよ。こんなにかわいい女の子後ろに乗せられるんだぜ。背中に感じるアレ…。楽しみだな~。」
僕の耳元で囁くシン。
「だな。おし。行くベ。」
20分ほど、生ガスのにおいとフレグランスの香りを楽しんだ僕たちは、カラオケボックスに着いた。
「よ~し。歌うぞ!」
そう言って息巻いていたシンだった…。
受付の店員が言う。
「お客様、こちらの男性の方、何か身分証は…。」
「へ…。あ…。」
僕がおもむろに免許証を取りだそうとすると、シンが制止した。
「なんで必要なん?」
180センチの大男がバイトであろう大学生風の男の店員に詰め寄る。
鬼気迫る表情はまるで般若のごとく…。
「当店は22時以降の18歳未満のおきゃく…ひ…。」
「18未満の客がなんだって!あ~!もっとでっけえこえでいってくんね~かな~。俺、単車のエンジンブン回してっから耳が遠くって…。」
「ですから…わ…わ…。」
「おい、にぃちゃんよ。歌えね~なんてこたぁねえベ。あ…なんなら俺の単車でいいとこ連れて行ってやるよ。な…いこうよ…。」
「い…いえ。大丈夫です。251号室にご案内します…。」
「251だってさ。コミュニケーションって大事だよな。さすが俺のダチ!」
そう言ってシンは颯爽と部屋に向かっていった。
部屋に入ると…。
「シン、あんたムチャしすぎ!警察来たらどうすんの!」
イクミが言う。
「いいんだよ。せっかく来てくれたことだし。」
「バカなこと言わないで。あんたに何かあったらね…。」
「あれ、心配してんの!ひょっとして俺のこと好きなんかい!」
バチン…。
カラオケルームに響く音。
「そんなんじゃないから。もう。いいから歌って…。」
「へ~い。」
少々ふてくされ気味のシンであったが、いつもの曲を入れて熱唱した。
うまいとは言えないが、一生懸命だった。
「これ…単車の名前がいっぱい出てくるんだよな~。やんちゃな感じの奴だけどさ…。」
そこから色々と盛り上がる曲を入れて一気にテンションをあげていった。
成人している彼女達のお酒も進む。
もちろん…
イクミは完全に出来上がっていた。
「ほ~ら歌って歌って。う…き…きもちわる…ちょっと…そと行ってくる…。」
「イクミ…。大丈夫?手伝うよ…。ほら…。」
「大丈夫。ねえ、シン。ちょっと…いい・・・・。」
先ほどの勢いはどこへやら。急に女の子っぽくイクミが言う。
「は~。ったく。ほら…立てるか…。」
「だ…だいじょう…」
「大丈夫じゃないじゃんよ。ほらおぶってやっから…。」
「ごめんね…。」
そう言って二人は外へ出た。
「行っちゃった。どうする…。あと30分くらいあるよ。」
僕が言うと、リサは何も言わず見慣れないタイトルの曲を入れた。
「これって…。しらね~な。コメディチックな歌詞だな~。焼き肉の唄?何?」
「いいから聞いて…。」
僕は思わず息をのんだ。
歌詞の一言一言が心にじんわりと響く。
先ほどまでの光景がフラッシュバックしてくる。
歌い終わったリサを見た僕は、彼女のことを愛おしく思い、抱きしめたくなった。
しかし…。
リサは半身になり、受け付けなかった。
いたずらな笑みを浮かべながら彼女は言った。
「次はく~ちゃんの番だよ。アンサーソング歌ってよ…。」
なるほど。
って…。
おれ…
あ…
おもむろにデンモクを叩く。
立ち上がりマイクを手にしてうたった。
これならば…。
歌えるぞ…。
「へぇ~。生まれる前の曲なのに、よく知ってるね。」
「うん。まぁ、俺の今の気持ちとかにすごくマッチするんだよね。それに透き通るようなメロディとかさ」
「あれ…どんな歌詞だったっけ…。サビの部分…。メロディしか出てこない…。ちょっと歌ってみて…」
「うん…。」
そう言って僕はサビの部分を歌い始めた。
するとリサが立ち上がり僕の方に歩み寄る…。
「いつまでも離れなくさせるんでしょ…。」
「…確信犯だな~全く…。」
少しうつむきながら微笑みを浮かべたリサを見た僕は、彼女のことが愛おしくて…
先ほど我慢した分の感情がにじみ出てきて、爆発した。
僕はリサを強く抱きしめた。
「い・・痛いって…。」
「ごめん。でも我慢できなくて…。」
無情にも時間の終了を告げる電話が鳴った。
僕たちは外へ出る。
イクミとシンの分のカラオケ代を払って…。
「そういえば奴らどこ行ったんだろう。」
そう言いながら駐輪場に行ってみると、あの夏の光景が広がっていた。
そこにはヒンズースクワットをする大男がいた。
「はい。気合い入れて~。ほら、へばるんじゃない。男だろ!」
「ひ…勘弁してくれよ…。あ…く~ちゃんとリサちゃん!助けて…。」
その情けない顔を見た僕とリサは笑い転げてしまった。
「は~面白い。だけど明日バイト入っているから帰るベ。」
「ようし。ここまでだ。ほらシン、送ってって!」
「はい先輩。」
「おまえ、いつから後輩になったんだ~?あ?」
「もう…。」
そういったやり取りをしながら僕たちは彼女たちをホテルまで送り、シンの家に向かっていった。
シンの家について気付いた。
明日はバイト代が出る日。
僕はその話をケンに伝えた。
「そうか~。よかったな。よし。日曜日は走りに行こう!いい景色を見ながらさ。」
「はい!」
僕は胸を高鳴らせて家路へと着いたのであった。
…
…
…
バイトが終わった。
店長から渡されたバイト代を手に僕はシンの家に着いた。
これで晴れて、僕のモノになる。
白い馬。
白いバリオス。
たまらなくうれしかった。
お金を渡して僕は愛機にまたがる。
今までとはちょっと違う。
シートの感覚がしっくりと来る。
スロットルをひねると、バリオスも嬉しそうに応えてくれる。
跳ね上がるようにしてタコメーターの針は踊る。
エンジンからの熱が布一枚を通して僕の体に伝わってくる。
前足を天高く跳ねあげた神馬のエンブレムは、僕の心を躍らせてくれる。
しばらくはここに置いておくつもりだが…。
ケンが言う。
「くーちゃん、おめでとう。これで晴れてオーナーだよ。オイル替えといたぞ。明日はよろしくな。」
「はい。」
「よかったな、くーちゃん。」
シンも満面の笑みを浮かべる。
高鳴る胸の鼓動を抑えてその日僕は布団に入ったのだった…。
…
…
…
…
「おはようございます!」
僕は朝一でシンの家に行く。
「おう。昨日は寝られたかい?」
「はい。もちろんです。」
「今日は何人か俺の知り合いも来るからよろしくな。」
「楽しみだな、くーちゃん。」
「ああ。って…カナさんも行くの?」
フルフェイスのヘルメットを片手に持ったカナの姿を見て僕はビックリした。
「うん。私も実は乗るんだ~。意外…?」
「いや…。知らなかっただけです。」
そう言ってカナはバイクを取りに行った。
しばらくして…。
「お待たせ!」
そこに現れたバイクもまた異様な輝きを放っていた。
定規で引いたようなまっすぐなラインのタンク。
黒光りするタンクに差し色で入れられた赤いライン。
少し高めのハンドルと銀色に輝くメーターケース…。
武骨な黒いエキパイの先に付いたモナカ管…。
少しばかりアンコが抜かれているであろうシート。
リアサスは憧れのオーリンズ製であった。
…
これ、バリ渋…。
「どう。私のFX。ケンちゃんのお下がりだけど。カッコいいでしょ。」
僕は息をのんだ。
上背は僕と変わらないのに華奢な子が…。
「ようし。準備はいいかい。他の仲間と集合する地点まで先導するからついておいで。何かあったら遠慮なく言うように!」
「はい。」
僕たちは腹の底から精一杯の返事をした。
皆でバイクのエンジンをかける。
下っぱらまで響く重低音でアイドリングするGPz1100…
甲高い音でブリッピングしながら出発の時を待つZXR250…。
華奢な女の子が乗る男バイクZ400FX…。
そして、僕のものになった相棒、バリオス…
レーサーレプリカ直系のエンジンは、狼のように吠えている。
いよいよ集合場所に向けて出発をする。
もちろん…
みんなでローギアに入れたときの儀式を済ませて…。
ガッコン…。
ということは次は幻のニュートラルか。
そんなことを想いながら心をときめかせていると、集合場所に到着した。
しばらく談笑していると、2台のホンダのバイクがとこちらの方へと走ってきた。
スマートでありながら少しボリュームのあるタンク。
シルバーの車体に落とされたブルーのライン。
教習所で見たことあるような、、、
ないような…。
四角いテールは少し古めのバイクの証なのか…
そしても一台…
戦艦のように大きな車体。
タンクからは両サイドにエンジン一気筒分はみだしている。
またがっているのが大きい男だからかさほど違和感はないが…
エンジンを軽く吹かす…。
あれ…。
この間ラーメン屋にいたときと同じ音…。
これが音の主か…。
大型バイクにまたがった大きな男がヘルメットを外した瞬間…
それは衝撃であった。
昔バイク屋でお世話になった梶山がCB750Fを…
そしてぼくがバイクに乗る大元となった田中がCBX1000から降りてきたのであった…。
続く…