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TECHNITUNED βの愛車 [ヤマハ SR500]

整備手帳

作業日:2021年5月30日

BST34 キャブレター フルオーバーホール その1

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目的 修理・故障・メンテナンス
作業 DIY
難易度

初級

作業時間 30分以内
1
もうすぐ梅雨入りですね。
バイクのオフシーズンにキャブレターのオーバーホールは如何でしょうか?

分かっているような、分からないようなキャブレターのオーバーホールを、理解を目的に行いたいと思います。

今回は2型後期のBST34がお題です。
丁度騒音規制が掛かった頃から採用されたキャブレターに成ります。
SR400と500は同じ口径の本体が使用されていますが、ジェットなど調整がそれぞれの排気量で違います。調整の部品は圧入されている物もあるので交換は困難です。

3型のSR400の方も機構はそんなに変わらないんじゃ無いかな?と思います。

2型のSRに3型のキャブを装着すると、始動性が向上するという う わ さ もありますね。
2
先ずは負圧キャブの概要から。

写真はスロットルバルブです。アクセル開けると開く所。アイドリングではこんな小さな隙間から抜ける空気でエンジンがアイドリングしています。

隙間が狭い=ゴミの付着での流量変化が大きい と言う事なので良く洗浄しましょう。

バルブは+ネジで止まっていますが、燃料吐出口との距離とか組み込み精度の問題があるので、外してはいけないそうです。
3
よく見ると、パイロットスクリューの頭が少し飛び出しているのが見えます。この穴からはアクセルの量によらず負圧に応じた少量の燃料が吐出しています。意味合いは始動〜アイドリング〜極小スロットル時のベースとなる量の吐出です。その量はパイロットスクリューの締め込みにより調整ができます。ここは露出もしているので、何時でも汚れ気味の詰まり気味です。(キチンと基準値に設定しているときは露出しません。今回はたまたま。でも調子の悪いときは大概ここのエア系が汚れています)  
そのちょっと奥のスロットルバルブの直下には、始動〜低開度時の燃料の吐出口が3つほど見えます。複数個に分けて吐出するのがミソで、スロットル開度に合わせて良い感じに吐出できる様になっています。
車のウェーバーキャブがサーキット向きだと言う話はここの穴が一つしかなくて、低開度での燃料が細かく調整が出来ないので、低回転が扱いづらいってのが理由になっています。対してソレックスがストリート向きだと言われたのは、このキャブのように穴が複数個になっていて低開度のアクセルに対してリニアに燃料供給が出来たからと言われています。
SOLEXって国内製造していたのはMIKUNIですよね? このキャブにもSOLEXの技術が引き継がれているのかも知れません。

極小開度時(大体穴の上にバタフライバルブがある位。アクセルで2mm位かな?)の燃料はここで供給します。
4
反対側のエアクリーナー側です。

大きな吸入口から径が絞られてベンチュリーになっています。
その奥に見えるのは「負圧バルブ」。正式名称はなんて言うんでしょうね? 強制開閉でのカッタウェイに当たる部分です。

スロットルバルブが開いてエンジンの吸入力(負圧)が負圧バルブの背面まで到達すると、負圧バルブの背面付近に開けられた穴から通路を通りダイアフラム室に負圧が導かれます。そうするとダイアフラムが負圧に引かれてバルブを持ち上げ、それに応じた量の混合気がエンジンに供給される事になります。

〜ここは長くなるので読み飛ばしてね〜
例えばこのキャブレターのキャパシティーがMax30馬力だと仮定します。
低回転でアクセルを全開にした時のエンジン出力が『10馬力』だったとすると、“負圧バルブ”の開度は概ね「1/3」になっています。
高回転でのアクセル全開時は『30馬力』が出て負圧バルブが「全開」になります。アクセル全開時『15馬力』では負圧バルブの開度は「1/2」ですね。
これらの動作の何が優れているかというと、ベンチュリーを流れる空気の流速がどの運転状態においても一定しているという所です。これはアクセル開度が変化しても同じ理屈で負圧バルブがエンジンの状態(負圧)に応じて開度をコントロールして、ベンチュリー部の空気の流速を一定に保ちます。すると運転状態に合わせた燃料の吐出が安定的に行える様になります。
まぁキャブレターがうまく対応してしまうので、「まったりしている」と言われる事もありますね。

一方、強制開閉式はアクセルを全開にするとベンチュリー部のバルブが強制的に「全開」になりますので、上の例になぞると、10馬力の場合アクセル全開時の“ベンチュリーの流速”が1/3になってしまいます。エンジンが要求する吸気量よりもバルブが大きく開く事で吸入音も響き渡ります。更にアクセル全開が5馬力の時は1/6の流速です。そこまで流速が低下すると霧吹きが上手く出来なくなってしまい「エンジンがゲップする」という状態に落ち入り失速する事になります。対策としては口径の小さなキャブを選定して最低限の流速を確保しますが、高回転のフィーリングは少しばかり犠牲になる事になりますし当然流速も安定する訳ではありません。(SR400/500も強制開閉キャブは少し小口径ですね。)そして素早くアクセルを開く操作はベンチュリー部の空気の急減速になりますので、霧吹きがうまく行かずに燃料が入らないので加速ポンプで強制的に燃料を吹き込んで、エンジンの出力を上げる→出力が上がり空気の要求量が増加→ベンチュリーの流速が上がる→霧吹きが復活する。と言うテクニックを使います。加速燃料が足りないとネガな走行フィールになってしまうので、気持ち多めの燃料吐出となる様に調節します。(強制的に空気が入るから燃料も強制的に入れるのとは意味合いが違うんですね。)
低回転でアクセルを全開にしてから回転が上昇して最大出力に至るまで強制開閉キャブレターではベンチュリー内の流速が絶えず変化しますが、キャブレターには燃料を可変させる機構は何もありませんよね? ベンチュリー内の圧力変動やプライマリーチョークでの風量に対する吐出量の増加特性、ハーフスロットル時はカッタウェイのカットの角度によるメインノズルへの風当たりの変化などの工夫して燃調をとっています。
4気筒の大きい排気量のバイクに強制開閉がもてはやされるのは、そういった不安定さや荒さを、マイルドな4気筒に「味」として付加できるのが理由としてあるのかもしれませんね。

SRは負圧が大きめなので、VMキャブだとエンジンブレーキ時にスロットルバルブが張り付く傾向が強くて、アクセルが重たくなるのが悩みです。


上記よりCVキャブには加速ポンプが存在しなく、口径の大きな物が採用されるのはその様な理由からなのです。(生まれながらのちょいビッグキャブと言えますね。)



Fiは流速などは関係なく、ポートの直近で燃料をピュッピュ.ピュッピュしますので、負圧バルブなんて言う吸入に邪魔な物もなく燃料も適切な量が強制的に入るので、低回転でもトルクフルで燃費も伸びる。

だけれどもレスポンスが良すぎてFI化の時代に低回転でギクシャクが発生してしまった車種もあるので(本当はパイロット領域の制御の解像度が足りてなかったんでないのかな?)、FIでありながら負圧バルブが付いたエンジン(車種)も存在しました。←それほど運転性に長けた機構って事だと思います。
5
ダイアフラムASSY。

この黒いゴムがダイアフラム。まぁゴム膜のことよね。
この膜の上を負圧にしてバルブを持ち上げるってことです。

ダイアフラムは破けていなければ使用できますが、古くなると少し硬くなってきます。そうすると負圧に対する動作にリニアさが無くなってくるので、本調子では無くなってきます。
6
負圧の通路始まり。
負圧取り入れ口が見えます。

負圧バルブ背面付近の負圧取り入れ口からサイドの樹脂の部品を通ってキャブ上部のダイアフラム室へと続きます。
7
負圧の導入ルート

途中にバックファイヤーなどの圧力がダイアフラムを痛めない様にワンウェイバルブが装着されています。

この樹脂のパーツ、時々カッコ悪いなと思いますがすごい重要な役割を持っていますね。
部品を出すと3,619円。

割らない様に。
8
負圧室の下側は、ダイアフラムの動きを妨げない様に、6の写真のキャブの吸入口に繋がって大気圧になっています。

その1 負圧バルブ編 終了。

つづく


その2へ
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/car/2422595/6397802/note.aspx

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