
いや~、まさに
「日本語ロック」
あたりはに~
わかにか~
きくもり~
まどのす~
だれを・・・
松本隆のドラムも最高
大滝詠一のシャウト!
四辺は俄かにかき曇り
窓の簾を洌たい風が
ぐらぐらゆさぶる
正午のてれびじょんの天気予報が
台風第二十三号の
接近を知らせる
空を鼠色の雲が
迅く迅く迅く迅くはしり風は
どんどんどんどんふいてくる
台風 台風
どどどどどっどー
どどどどどっどー
みんな吹きとばす
※ ※ ※
「Motoharu Radio Show」2011年4月5日放送より
佐野元春 : 自分、NHKで「ザ・ソングライターズ」という番組をやっていまして...
大滝詠一 : 失礼しました、本当に。佐野くんから出演依頼がきましてね。いや、本当に僕はアレだったんですけれど、今日はその「ソングライターズ」のラジオ版ということでひとつ、あのお許しいただければというようなことで。
佐野元春 : ははは。ありがとうございます(笑)。うれしいです。'69年と言えばウッドストックがあったりとか、当時のロック・ジャーナリズムは「ニュー・ロック」なんていう言葉で、いろんな新しいバンドが出てきた、本当に激動のときだったんじゃないかと思うんですけれども、はっぴいえんどでとにかくやりたかったことは何だったんですか?
大滝詠一 : 何だったんですかね。とにかく日本語のロックというのは細野さんが考えたキャッチフレーズですから、えーっと思ったわけですけれどね(笑)。あの頃にもよく訊かれたんだけれども、日本語のロックって、日本語で歌ってどうでしたかって、よく訊かれるんですけれどもね、まず第一感はノリが悪いんですよ。こんなもん歌ってかっこ悪い(笑)。これが第一感です、やってる側の。自慢じゃないですけれど。どうやったら、なんからしく聴こえるようになるんだろうかということの闘いだったですね、三年間はね。
佐野元春 : 僕らの世代で聴いて思ったことは、はっぴいえんとの詩、例えば大滝さんが書かれた「颱風」という曲があって、英語の音韻を、日本語の音韻に置き換えて歌うというか、詩を書くというか、それをやった初めての世代かなって僕思ってるんですけれども。これも意識的にやってました?
大滝詠一 : 意識的にやりました。それ以前の人たちの、あと、前の聴いてみるとね、日本語で歌ってるんですよ。日本語っていうより漢字で歌ってるんですよ。で、松本くんは漢字が多いでしょ。字面はね。漢字で自分がおそらくノリが悪かったのは、漢字で歌っていたからだと思うの。だから全部音(オン)に分解したんですよ。だから僕の歌詞カード全部ローマ字になってるとよく言われたんだけれども。
佐野元春 : リスナーのみなさん。今、大滝さんのこの証言はとっても大事なことを言われてるんですよね。僕、「颱風」の歌詞、今一度手元にあるんですけれど、ちょっと読んでみたいんですよ。「四辺(あたり)は俄にかき曇り窓の簾(すだれ)を冽(つめ)たい風がぐらぐらゆさぶる」。こういう情景からはじまるんだけど...
大滝詠一 : それはね、例えばフォーク・ソングだと、"四辺(あたり)はー 俄にー かき曇りー" とか "窓の簾(すだれ)をー 冽(つめ)たい風がー" とか、こうなるんですよ。必ずこうなるんですよ。こうなって何がおもしろいもの? つまり、それは誰かがやってるし、誰でもやるから、誰もやらないことはないかと考えた(笑)。それで文節切るっていうくだらないアイディアを思いついた。
佐野元春 : まるでその日本語を英語のように...
大滝詠一 : 日本語英語ということもあるんだけど、ただ要するに、音に分解して文節切るということ。だから「四辺(あたり)は俄に」じゃなくて「あたりはに」で止めた。次は「にわかにか」で止めたっけね(笑)。馬鹿だよね。ふふふふふ。
佐野元春 : 馬鹿じゃなくて(笑)。これはとっても大事なことなんで、ちょっと僕、復唱したいんですけれど。「四辺(あたり)は俄にかき曇り」ですよね。普通のシンガーだったらば「四辺(あたり)は 俄に かき曇り」ですけれども、はっぴいえんど、大滝さんという歌手がやったのは「あたりはに わかにか きくもり」(笑)。これ、はじめて聴いた人は何なんだろうなって思いますよね。
大滝詠一 : 思いますよね(笑)。
Posted at 2015/07/16 18:50:57 | |
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