2008年09月26日
パフォーマンスダンパーの使い方
ご案内)オーテックでは、ヤマハ製パフォーマンスダンパーを、当社のコンプリートカスタムカーの一部品として採用していますが、補修用以外の目的(標準車への装着や他車種への流用)のための部品単体販売はしておりません。また、補修用部品をご自分で調達された方への取り付けのアドバイス等は行っておりません。
オーテックでは、フェアレディZ(Z33)バージョンニスモ、エル/セレ/ノートのライダーパフォ/ハイパフォ、ティアナアクシスに、ヤマハさんのパフォーマンスダンパーを採用させてもらってます。
パフォーマンスダンパーの話はかなり関心が高いようで、ブログのアクセスも多いです。そんなこんだで、単品で買えないか?という質問もいただくのですが、僕たちはコンプリートカスタムが商売のスタイルなので、パフォーマンスダンパーを後改造のためとか、流用チューンのためには販売していません。すみません m(_ _)m
でも、そんな話をしてても面白くないので、パフォーマンスダンパーの使い方についてコネタを出します。
図1-1を一般的なノーマルボディとします。まぁ、どこの部分を絵にしたのかは別にどうでもいいのですが、クルマのボディにはこんなふうになっている部分がそこいらじゅうにあるということで。こういう構造体は、図1-2のように変形します。
ここに棒を渡して補強すると当然変形は減ります。ストラットタワーバーなどがいい例ですね。あ、ノーマルボディだと変形するからダメとかいう話ではありません。この変形は計算された変形であって、タイヤやサスペンションなどとの関係からもバランスされた変形です。なので棒のように変形しない(少ない)もので繋ぐデメリットもあるわけで、これをある程度ストロークさせれば?という発想が出てきます。
下の図は、以前紹介したパフォーマンスダンパーの有無での振動の大きさの差を計測した例ですが、これを見ると全般的にパフォーマンスダンパー付きのほうが振動レベルが抑えられているものの、周波数の低い(ゆったりした振動)領域では逆に振動が大きくなっています。
これは、パフォーマンスダンパーも文字通りダンパーなので、速く動かすときとゆっくり動かすときで減衰力が違い、補強部品として効くピストンスピード領域と、振動減衰部品として効くピストンスピード領域があるということになります。
玄関扉などは、ドアから手を離したときに『バッタンッ!』ってならずに上品に閉まるようになってますが、ドアをゆっくり開け閉めするときと、速いスピードで開け閉めするときでは重さが違うのを感じたことがあると思います。これは、ドアの上にあるダンパーのせいであり、あれと似たようなもんです。
ってことで話をもとに戻しますが、パフォーマンスダンパーの使い方はざっくりと下の図2-1、図2-2のような大別できると思います。装着方法-Aのほうは前述したダンパーの特性を応用して補強と振動減衰の両方を使い分ける発想。そうでなく、変形防止は棒(青)で行い、そこにパフォーマンスダンパー(赤)を付けるという方法が装着方法-B。
オーテックのやり方は基本的には全部Bのほうになります。補強とセットでやっていない場合でも変形の極少ない部分に装着しています。
剛性を上げるということは変形を抑えるということですが、ここでいう変形は荷重を抜けば元に戻る範囲の変形で、荷重を抜かれたボディはバネのように振動します。オーテックではパフォーマンスダンパーには変形の抑制は担わせず、主に振動の減衰にだけ使っているっていう感じです。
この装着方法は、設計思想みたいなものであり、どっちが優れた考え方かってこともないと思います。つくづくクルマというのは面白いですねぇ。
装着方法-Aの場合に比べてBのつけ方だと全然ストロークしないから、ダンパーとしての効果が使えていないんじゃないか?ということをよく聞かれますが、以前ヤマハの技術者の方が『鉄の塊から削りだしてボディを作っても分子レベルではプリンみたいなもの』って話をされた通り、ガッチガチに固めたところにつけても変化が出るんです。
パフォーマンスダンパーをつけると車庫入れ程度の極低速でもハンドルが重くなるのがわかります。でも、人によって走る場所も違えば走り方(スピードやハンドルの切り方)も違うので、パフォーマンスダンパーがないほうがいい、とおっしゃる方もいます。
カスタマイズをすると、大抵なんかしら変化があらわれます。それが単なる変化なのか自分の狙った効果なのかは、やってる本人が完成した姿を描けていないと判定できません。でも、行き着く先なんて見えてなくても、延々と変化を楽しむのもカスタマイズのひとつの楽しみですよね。
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Posted at
2008/09/26 14:05:50