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2024年05月12日

ドイツ出身の菊水紋 レッツ商会 22型商館時計 明治30年頃

少しお休みしておりました時計ネタ。
このところオクは負け続きでして、予算の関係もあって良い仕入れができていませんでした。
まぁストックはあるのですが…それはやる気の問題です。
そろそろ扇風機もやりたいなと思いつつ、なかなか手が出ません。


さて、今回の個体はこちら。









レッツ商会の時計ですが、あまり見かけない「菊水マーク」のもの。
ファブルブラントのように製品ランクによってマークを分けていたのかもしれませんが、その辺りは不明です。

菊水と言えば家紋の他、ミリタリー関係で知られる単語でもあります。
家紋の方では楠木正成が有名でしょう。
天皇家の十六八重表菊がルーツであり、楠木正成に後醍醐天皇より下賜されました。
しかし正成は「天皇家と同じ家紋は身に余る」として、中国の故事「風俗通義」の「甘谷」を表した意匠の菊水を選んだ…というエピソードもあります(この辺、時間軸の前後等ありましたらすみません。付け焼刃なもので…)。

そんな菊水紋がトレードマークになっている、かなり日本的なものなのですが…
「家紋ってそのまま意匠登録できたのかな」という疑問が湧きます。

確かにJALのように、家紋ベースでデザインされたマークはあります。
三菱のスリーダイヤも岩崎家の「三階菱」に山内家の「三つ柏」を合わせた物です。
しかしこちらは…かなり本物に近い。

と言う事で見比べると、「水」の流れ方が家紋とは若干異なるようです。
また現在のルールでは、家紋は公的機関に登録して使用するものではないので、誰もが自由に使えるとの事でした。



こちらがその登録情報。
実際の物を掲載するのは初ですね。

明治30年3月12日申請、同年5月13日登録となっています。
意匠登録第8861号です。
その他にも、有名な「蝶に矢」や「月にカゲロウ」、先日のアルミ側にあった「旭日にFR&Co.」等が連番で登録されています。

マークの登録と製品への使用時期が一致するとは限りませんが、機械を見ても明治30年頃と見て問題無いでしょう。


では分解へ入ります。
現状動くのと、中が何となく奇麗なので…近年にオーバーホールされているかもしれません。



まずは針と龍頭を外して機械を取出し。
ケース外径が60mm越えでしたので、もしや23型か…と思いきや、またも22型。



地板直径49.7mm。
50mm越えの個体が欲しいのですが、中々引けません。惜しい。



ダイヤル裏には書き込みがありました。
10 10.2でしょうか。
和暦と考えると、大正10年か昭和10年の10月2日と読めますね。



ナンバーズマッチです。



奇麗ではあるのですが、既にこの写真からも不備が分かります。
3つの内2つは、出品写真で見える位置ながら買ってから気づいたので、まだまだ目利きが足りませぬ。
見えない不備は鼓車ばねの固定ビス欠品。

不備その2は、地板をケースへ固定する埋めネジが捥げている事。
頭だけ捥げて折れこんでいるので、取り外すには専用工具が要りそう。
ドリルを使ってみたものの、案の定何事も起きず。
グラスバックからも見える位置なので気になるが…仕方なしか。



とはいえヤーゲンセン様式のカッコいい機械です。
2・3番車ブリッジには「Fr.Retz & Co.」の刻印。



不備その3。
香箱車ブリッジのビスが1か所異なります。
これ…ゴリアテくらいの大きい時計の、地板をケースに止めるビスじゃないかしら。



分解の最後の方で、エボ―シュ工房のマークを久々に発見。
リンゴに矢が刺さったウィリアムテルマークなので、FHFフォンテメロンですね。



お次は香箱。
ちょっと大きいなと思えば、ゼンマイは少々短そう。
ですが…



先端が逆カーブの、新し目のゼンマイが入っていました。
ニバ系らしい白合金で、これなら短くても一応大丈夫…なのかしら…?
香箱側の引っ掛けはビスを打って作り直してありました。

これで一応全バラ完了。
11石でしたので、まぁ普通クラスなのかしら。
ひげは青焼きブレゲでしたが…

不足のビスも捥げた箇所以外は代用が見つかりましたので、洗浄へ参りましょう。
そもそも奇麗なのだから念入りに洗わずとも良かろうて。



洗浄後、予想通りベンジンはあまり汚れず。
アンクル手前まで組んでザラ回し。
特に問題無さそうです。



続いてアンクルとテンプを組んで動作確認。
テンプ中心に撮ってみました。
やはりゼンマイが弱めなのか、テンプの振りも頼りない感じ。
とはいえビートエラーは小さいようです。



ケースの磨きと一緒に前面風防の傷を取ります。
大きいのは仕方なしですが、小傷で曇った感じなのをクリアにします。
写真では小傷は写りにくいですね…



ケースも状態は良いものの、ヒンジ付近にやや凹みあり。
軽く叩き出しをします。



無理せずこんな程度で。





その後、弱々しいながらきちんと動き、無事完成となりました。
緩急針の位置がシビアで、触れた程度でも日差-10分から+3分程度に一気に変わってしまいます。
あと姿勢差も結構あるみたいです。



機械もぱっと見のビスが揃いました。
折れ込んだヤツが取れるともっと良いのですが…



輝く菊水印。
過去一番に時代と日本を感じると思うのですが、いかがでしょうか?



さて、ここ最近になって時計の好みも見えてきまして…
私はサイズ大きめで、龍頭巻きより鍵巻きが好きなようです。
機械のブリッジは3/4プレート等より、しっかり輪列の見える銘々受けタイプ。
なので出物の取捨選択もできるようになってきました。
手あたり次第買ってしまうと色々影響が出ますので、良い傾向かと思っています。

という事で、時計ネタの更新頻度も少し落ち着くと思います。
扇風機もまたやりたいですし。
ブログ一覧 | 時計他アンティーク系 | 趣味
Posted at 2024/05/12 21:54:47

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「キメラに見えて実は… 三菱電機 400mm(16吋)扇風機 昭和22年? http://cvw.jp/b/2115746/48413646/
何シテル?   05/05 23:07
菊菱工廠と申します。 「工廠」なんて言いましても、車いじりは飽くまで素人。 電装系なら結構自前でこなします。 ちょっとした金具作りなんかも。 ナ...
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