
近畿地方も今日やっと梅雨明けした模様ですが、今回お届けするのはタイトルどおり、梅雨の晴れ間の週末に軽く遠征してきた
丹後半島ツーリングの続編です。
丹後半島西海岸のシーサイド・ドライブにアクセスするルートとして、今回のドライブで発見したのが「
丹後広域農道」。旧峰山町内の府道663号から標識に従い農道への分岐をたどれば、目の前には高規格の立派な2車線道路がど~んと出現します。
何もない長閑なカントリー・サイドの真っ只中を、広域農道と名付けられた交通量皆無の高規格道路(
シークレット・ハイウェイ)が貫いて走る景色は、毎度のことながらちょっと現実離れしており、普通の人なら違和感を禁じ得ないでしょう。ハッキリ言って、
税金の無駄遣い以外の何ものでもありません。しかし、自分の場合はドライブのたびに、このようなシークレット・ハイウェイの発見を楽しみにしており、その恩恵にたっぷり浴しているのですから、納税者として御上に文句を言うつもりなど全くありません。
バラマキ上等!、ビバ・地方創生です(汗)。
さて、この丹後広域農道。実走してみると、アップ・ダウンを繰り返しながら伸びていくストレートと緩めの高速コーナーが交互に現れます。前方の見晴らしも良く、5速・6速でハイスピード・クルージングを安全に楽しめるコースですね。タフなワインディングもいいけれど、晴れた休日には、こんなドライブもなかなか気持ちが良いものです。
広域農道を抜け府道53号を経由し北西方向に進んでいくと、海岸沿いに半島を1周する
R178へいよいよ到達です。
丹後半島の海岸線は、ブランド蟹で有名な
間人、白亜の灯台が日本海に突き出す
経ヶ岬、入り江を囲んで舟屋づくりの家々が軒を連ねる
伊根、おだやかな海面の向こうに
天橋立を望む東海岸など、実に表情が豊かですが、今日は網野のあたりからR178を時計回りにぐるりと一回りしてみようか!というのが当初のプラニングです。
さっそく海沿いの国道へとGTIを導けば、コーナーをクリアするたび紺碧の日本海が目の前に広がり、青空には白い雲が放射線状に弧を伸ばしています。夏本場にはまだ少し早いけれど、フロントガラスに映るパノラマはスカッとさわやか!気分爽快です。
シーサイドを国道沿いに進んで、間人の手前あたりにくると、階段状に棚田が海の間近まで広がって、青々と育った稲が潮風に揺られていました。紺碧の海と緑の稲のコントラスト。こんな風景、他所ではなかなかお目にかかれませんね。思わず気持ちもほどけてしまいそうな景色を愛でつつ、ゆるりと海岸線をめぐるクルージングを楽しみました。
それにしても「
間人(たいざ)」というのは、珍しい地名ですよね。
調べてみると、その昔、都の戦乱を避け当地に身を寄せた間人皇后(聖徳太子の母)の名に由来するとのことで、退座した皇后に因んで読み方が「たいざ」なのだそうです。昔からの言い伝えですから真偽のほどはわかりませんが、「人間」の字が逆さまになっている語感のインパクトが独特です。国道沿いに掲げられた青少年健全育成標語(元気に育て間人の子、みたいなヤツ)を眺めていると、「
早く人間になりたい」と思わず別のところから声が聞こえてきそうです(嘘)。
そんな物思いにふけりながら、間人から半島の北海岸・丹後松島へ。ここを過ぎると、R178は海岸線を少し離れ、内陸を走るルートに入ります。変化に富んだ絶景のドライブコースといえど、R178は一本道の国道。休日のドライブに繰り出してきた関西ナンバーだけでなく、地元の軽自動車も普通に行き来する生活道路ですから、GTIらしい豪快なドライブはさすがに叶いません。そこで、ちょっと気分を変えようと進路変更。半島の山間部へと分け入る「
丹後縦貫林道」を少し走って、碇高原方面をめざしてみることにしました。
この丹後縦貫林道は、丹後松島の海岸部から標高400メートルの高原まで一気に駆け上がるルート。路面コンディションも含めてそれなりにタフな道では?と覚悟をしていましたが、いざ実走してみると、そんな杞憂は瞬時に吹き飛びます。
「林道」と言いながら、完全舗装・2車線の整備されたワインディングに楽しい中速コーナーが次から次へと連続。まさしく、スポーツ・ドライビングのために造られた(?)
極上の快走路じゃありませんか?!。おまけに、前にも後ろにも対向車線にも他車の姿は1台も無く、完全貸し切り状態とくれば、もう走りまくってみるしかありません。シーサイドでは牙を隠して羊の群れに紛れるしかなかったGTIにとって、ようやく訪れた本領発揮のチャンス。2Lターボ・TSIエンジンも喜びを隠そうとはせず、ほぼ3速固定で短いながらも怒濤のヒルクライムを堪能しました。いやはやコイツは凄い道だ!
極楽ワインディングの林道で標高400メートルを一気に駆け上がると、周囲の景色は一変して、
碇高原牧場の広々とした丘陵が目の前に広がります。牧草地のなだらかな斜面を真っ赤な大型トラクターが行き来し、鼻孔に広がるのはサイレージの発酵臭。まさしく「
牧歌的イメージ」を絵に描いたような高原牧場ですが、ここで一息ついたら、再び山を駆け下りてシーサイドに復帰するつもりです。
ツーリング・マップルとナビを頼りに行く手の進路を確認してみると、海岸線へと至る府道はどうやら牧場のど真ん中に一本だけ伸びている小道を中央突破した先にありそう。ほんとうにここをクルマで走っていいの?と若干の躊躇を感じつつ小径に足を踏み入れ、牧歌的高原のなかをトロトロと進みます。後で調べてみたら、この小道、一般に開放されている府道653号線でした(汗)
牧場の小道を抜けて、府道652→57→621→再び652と繋いで、森の中から田んぼに囲まれたカントリー・ロードを一気呵成に駆け抜けます。そして
伊根の港へ。
かつて20年ほど前に
NHK朝ドラの舞台にもなった観光名所で、1階部分が海に張り出し舟を格納できる
舟屋の景色で有名ですね。しかし、遠くから眺めるとノスタルジックな町並みも、近寄ってみると建物がかなり老朽化していたりして、う~ん?というのが正直な印象でした。東日本大震災を経験した今となっては、津波による被害の心配も否めない気がします。21世紀のニッポン、この風景がいつまで守り継がれていくのか?少し気がかりであります。
伊根の港を後にしたGTIは、再びシーサイド・ドライブに復帰。穏やかな海面越しに天橋立を左に眺めながら、与謝天橋立ICから高速に乗って家路をたどりました。
丹後半島は、京阪神から気軽に日帰りで行き来できるドライブ・スポットですが、
海あり山ありの変化に富んだコース設定は意外と奥行きが深くて、ミニ
伊豆半島的な趣がありました。あとは魅力的な立ち寄り温泉などをドライブに組み込めれば、鬼に金棒ですね。温泉開拓は、次回のドライブの宿題にしてみようかと思います。