2009年09月13日
家が岐阜基地に近いこともあり、よく県防災ヘリコプターを飛び立つをの間近に見る機会の多い私としては、今回の事故はショックでした。
ヘリコプター(以下ヘリ)回転翼機とも言います。
誤解されがちなのですが、あくまで翼(以下ローター)でありプロペラ(推進器)とは少し違うのです。簡単に言いますとローターはしなるのですがプロペラはしなりません。
イメージとしては、図① の様に2機の飛行機がお互い近距離で旋回しております。そうやって、滑るように上昇しているのです。
今回事故の原因となりました。尾翼にある片側の小型ローターは、大ローターの動きにつられる機体のバランスを取っております。図②
以上がヘリの主な特徴なのですが、あまり知られていない事がありましてヘリは、空中停止(ホバリング)を行うのに斜面が苦手なのです。
地面効果(Ground effect)という現象で、地面と水平になっておれば問題がないのですが、斜面等で地面と遠い位置が生じますと、そこの風圧が減じ機体がそこから滑り落ちてしまうのです。
私たちは、普通に山岳部でのヘリの救助を見ておりますが、滑り落ちそうな斜面方向に対抗して(例えるとノーマルタイヤで凍結した坂道をアクセルを吹かして見かけ停止するイメージ 図③)補正 図④を行いつつ、急変し易い天候を意識し(風向き視界)更にそこは、ヘリの実用高度5000mに対する3000mでの救助活動なのです。
元々ヘリコプターは、大変にデリケートな機械であり、操縦されます方は、世界的にもトップレベルの技術を持っている神業的技法の持ち主なのです。
なにが言いたいかといいますと、今件は、いつ起こってもおかしくない事故であり山岳救助そのものが常に極限状態であるのです。
単に事故原因が操縦的過失とは、いい難いという事を当プログで伝えたいのです。
要救助を求められ亡くなられた方には、失礼なのですが、最近の山岳部での遭難を見ますと、あまりに山をなめ過ぎているのでは無いかと思えてならないのです。
今回は、60歳を過ぎた高齢者の方が心不全で救助を求められた様ですが、最初からリスクが高かったのではないかという疑問が沸きます。
最近TV・CMとかで高齢者の登山を煽るような放送がされていますが、裏に様々な事情や仕掛けがあるのです。
(潤沢に酸素ボンベがあるないとか・・・)
登山は、ハードルの高い運動であり、一般に平地での徒歩距離換算では、登頂高m×10倍に等しいといわれております。
3000m級の山を登るのであれば、平地で装備を背負って30kmを歩く体力がいるのです。(あくまでも場合ですが)
先輩にロッククライマーがいまして、登山家として一番難しい事はなんですか?と聞いた時の「登らない判断」との答えには、納得させられました。
あと、興味深い話として富士山批判論を展開しておりました。
「富士山知っちょるじゃろうが」
「はい」
「あんなのが、あるかい日本人は山を舐めちょるとよ!」
「え”・・・・」
「あん山は、3800m級にしては、世界にも類を見らん、登り易しぃ、人に優しい山よ、さすがわ霊峰じゃが」
「じゃけんど、そんおかげ、と言うとなんじゃけど、みんな山を舐めちょる」
「・・・・・」
「あん山が特別よ、本当わ山は怖いとよ・・・夏山は特によ・・・」
更にショッキングな話が・・・
「チョモランマのテッペン付近には、置き去りにされた死体がゴロゴロしちょっとよ・・・」
「・・・・・・」
「高すぎて、回収出来んとよ・・・みんな暗黙の了解よ・・山の掟よ」
まだ続き・・・・
「よく写真とかで出ちょるキレイなヤツは、本当に条件のいい一瞬よ!」
「それで、みんな、だまされて来るちゃが・・・」
「ほとんどが、霧やら雨やら曇り嵐で、ゼンゼン見えんとよ」
「なにかを求めて登るちゃけんど、そこでもオレは他所モンじゃった・・・・」
かなり酔っておりました・・・
最近に、山と渓谷と言う雑誌から、昨今の事故(事件と言っても良いですね)からか別冊誌:山で死んではいけないが出ました。
まさしく山の警告だったのです。
毎年、無謀な登山者は増えるようで、表に出ないだけでも、細々とした件が結構あるみたいです。
規約でキャンセルもありとあっても天候不良で登れなくなった時にツアーに詰め寄ったり
軽装、軽備で降りられなくなり、他の山岳グループから救助されたり・・・
(時間、経費をかけ万全の体制で臨んだパーティが、そのために挑めなくなる心情は、想像できません・・・・)
高山植物の不法持ち出し等・・・
繰り返しますが、今回の要救助者たちも、登山を軽く考えていたのでは無いか。
自身の年齢、体調等を憂慮し自重すべき事は無かったのか・・・業務とか仕事では無い故に、レジャーを行う場合は、自身にも社会にもリスクを軽減することが社会人のしての努めではないのか。
登るなとは、言いませんが、高度な社会互助やサービスが無頼無謀な輩(やから)により破綻するのは最近の常で、我々の権利というのは、自己責任という細いヒモでぶら下がっているだけなのです。
けっして、タダの空中タクシーでは無いのです。(一回の飛行に50万~くらいかかります)また、損なわれた人命は、取り返しがつきません。
でも、それでも、彼らは、救助要請があったら、当たり前に命がけで飛んで行くのでしょうね・・・・・
岐阜県防災ヘリコプター隊関係者様
心より、お悔やみを申し上げます。
Posted at 2009/09/13 19:47:15 | | ニュース